不動裕理超えの史上最速10戦5勝 決勝イーグルにつながった西郷真央の“緻密な思考”

不動裕理超えの史上最速10戦5勝 決勝イーグルにつながった西郷真央の“緻密な思考”

強いぞ西郷真央! 貫禄逃げ切りで今季5勝目(撮影:米山聡明)

<ブリヂストンレディスオープン 最終日◇22日◇袖ヶ浦カンツリークラブ 袖ヶ浦コース(千葉県)◇6713ヤード・パー72>

トータル10アンダーで4人がトップに並ぶ大混戦。その状況で西郷真央は16番パー5の3打目を、グリーン左手前のバンカーで迎えた。右サイドに切られたピンまでは25ヤード。「ライはきれいで、(グリーンの)ラインはほぼストレート。思ったところに打てればやさしいシチュエーションなので、タップインできればという感覚で打ちました」。


58度のウェッジで放った一打が、そのままカップに吸い込まれる。劇的なイーグル奪取。ここで後続と2打差の単独トップに浮上すると、両手を広げ喜びを爆発させた。

運も味方したシーン。そんな風にも見えるが、西郷の言葉を聞くと、ここに至るまでの思考は実に緻密だ。袖ケ浦CCのインコースにあるパー5は、16番、18番と終盤3ホールに集中。ここが勝負所になるのは明白だ。西郷も「獲らないといけない」と思いながら、16番ティに入った。しかし、そのティショットをラフに入れると、セカンド地点でキャディとともにこんなマネジメントを組み立てた。

「グリーンをキャッチするのは難しいけど、(ショートサイドになる)右のバンカーには絶対に入れてはいけない。ただきょうの調子を考えると、(刻んで)3打目勝負よりバンカーに入ったとしてもグリーン近くまで運んだ方がいい。こうやって冷静に判断できました。イーグルにつながる、いいジャッジだったと思います」

ほどなくして“狙い通り”ボールは左手前のバンカーへ。そして決勝の一打が飛び出すことになる。4番で1つ落とした前半は「追われている感覚で苦しくてつらかった」という心境。ハーフターン時には稲見萌寧に逆転される。ただ、ここで追う立場になると「攻めないと」と腹をくくった。11番は7メートルを沈めるガッツパー。そして13番では奥3.5メートルを沈め、ようやく初バーディを奪った。「スコアを落としそうな流れから、いい流れになった。イーグルにつながった要因がこの辺りにありました」。

3週前の「パナソニックオープンレディース」で今季4勝目を挙げたが、その後は2週連続で予選落ち。この間には、師匠のジャンボこと尾崎将司のもとを訪れ指導を受けたほか、「自分を見つめ直す」ため、携帯電話に保存してある過去のスイング動画を何度も確認した。

その時々で何を考えて、このスイングになったかを記したメモも、5年分はデータとして残っている。「携帯を無くしたら大変なことになっちゃう。無くさないように気をつけています(笑)」。過去からつながる財産によって、不振から立ち直ることができた。

最終18番ホールもバーディで締め、終わってみれば2位の稲見に2打差をつけトータル13アンダーで完勝した。出場10試合でのシーズン5勝は、2004年に不動裕理が打ち立てた出場11試合を上回る歴代1位の最速記録になった。「もう10戦もしたんだという感覚。記録は驚きですけど、ほんとうにうれしいです」。ツアーの歴史に新たな1ページを刻んだことを、素直に喜んだ。

来週には渡米し、6月2日(木)開幕の「全米女子オープン」(ノースカロライナ州、パインニードルズ・ロッジ&GC)に臨む。「試合中はそのことは考えずに集中しました。でも結果的にいいステップが踏めました」。国内最強の20歳は、自信を胸に初めての海外メジャーの舞台に立つ。(文・間宮輝憲)

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