「言葉よりアクション」でPGAツアーをアピールしたシャウフェレの勝利【舩越園子コラム】

「言葉よりアクション」でPGAツアーをアピールしたシャウフェレの勝利【舩越園子コラム】

ことばよりも態度で(撮影:GettyImages)

トラベラーズ選手権の開幕前、ブルックス・ケプカ(米国)がリブ・ゴルフへの移籍を正式に表明。ブライソン・デシャンボー(米国)やパトリック・リード(米国)らとともに、米オレゴン州のパンプキンリッジで開催されるリブ・ゴルフ第2戦から参戦することが明らかになり、ゴルフ界に衝撃が走った。


ローリー・マキロイ(北アイルランド)も「信じられない。驚いた」とショックを隠せない様子だった。

しかし、PGAツアーを率いるジェイ・モナハン会長は、来季から予選落ちなしの秋の新大会を創設することや2024年からの8試合における賞金額の大幅アップ、シーズンの括りを1月から12月のカレンダーイヤーに戻すことなどの新施策を次々に発表。

それらの施策は明らかにリブ・ゴルフを真正面から意識した上で捻り出された対抗策だが、ともあれ、PGAツアーはできることを最大限に行なっていくという強い意思表示でもあった。

「戦うための武器がマネーのみだとしたら、我々PGAツアーはその戦いには臨めない」と言い切ったモナハン会長は、お金では手に入らないものを武器にして、これからもPGAツアーを世界一のゴルフツアーとして率いていくという覚悟を毅然と表明した。

トラベラーズ選手権の優勝争いは、まさに、そんなモナハン会長の意思を受け止めたかのような展開になった。

最終日を首位で迎えたザンダー・シャウフェレ(米国)に猛追をかけたのは24歳のルーキー、サフィース・ティーガラ(米国)だった。

前半でスコアを2つ伸ばし、後半も13番、15番とバーディを重ねてシャウフェレを捉えたティーガラは、ついに17番のバーディで単独首位へ浮上。

しかし、パー4の18番でフェアウエイ・バンカーにつかまり、ボールは高いアゴのすぐ手前に止まった。そこから出すだけとするか、それとも少しでもグリーンに近づけることを選ぶか。

迷った末の第2打は「何百万年に1度というぐらいの大トップだった」というミスショットでバンカーから出せずじまい。3打目でバンカーから脱出し、4打目をうまくピン3メートルに付けたが、ボギーパットはカップに蹴られてダブルボギー・フィニッシュ。

初優勝を追い求めるルーキーならではの無茶や余裕の無さが詰めの甘さにつながったと言わざるを得ないが、そんなティーガラの悪戦苦闘を18番のティイングエリアから眺めていたシャウフェレは「フェアウエイを捉え、グリーンに乗せ、パーを取るのみ」と自身に言い聞かせると、その通り、しっかりとフェアウエイを捉え、ピン1メートルに付け、最後はバーディで締め括り、ティーガラを2打引き離して堂々勝利。

東京五輪・金メダリストの貫禄を漂わせながら、4月のチューリッヒ・クラシックに続く今季2勝目、通算6勝目を達成した。

今大会開幕前には、シャウフェレもリブ・ゴルフへの移籍が噂され、実際、英国ではシャウフェレの名前が「移籍リストに載っている」と報じられた。

だが、シャウフェレはきっぱり否定し、「僕が戦う場所はPGAツアーだ」と断言。その直後に見事な勝利を飾ったシャウフェレは、あらためてPGAツアーへの想いをこう語った。

「僕はPGAツアーにとても満足している。メジャー大会でも勝ちたいし、このPGAツアーでもっと勝ちたい。そんな僕の想いをみんなに伝えるためには、言葉よりもアクションで示すほうが、より強く伝わる。この勝利は、そのためのアクションの第一歩だ」

「より少ないゴルフで、より多くのマネー」が得られるリブ・ゴルフを選んだ選手たちがPGAツアーに背を向ける一方で、PGAツアーにしかないものに価値を見出し、PGAツアーを必死に守ろうとしている選手たちがいる。

シャウフェレの勝利も、今季から憧れのPGAツアー選手になった新人ティーガラの大健闘の末の惜敗も、「PGAツアーこそ」という強い想いを人々に示しているかのようだった。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

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