「命を削りながら戦っている」苦悩の原英莉花を奮い立たせた世紀の一戦

「命を削りながら戦っている」苦悩の原英莉花を奮い立たせた世紀の一戦

“世紀の一戦”で闘志を取り戻した原英莉花 迷いなく目前の一打に命をかける(撮影:米山聡明)

<資生堂レディスオープン 2日目◇1日◇戸塚カントリー倶楽部(神奈川県)◇6570ヤード・パー72>

今年4月。世間がゴールデンウイークに差し掛かろうとしている時期に、原英莉花は悩んでいた。「山登りして、バンジージャンプしているみたい」。練習したとおりにうまく打てず、自信を喪失。ギアを上げたいところでストップをかける自分が何度も顔を出す。技術以上に、メンタル面の問題が深刻だった。


コース内の表情にも見て取れた。基本的にどこか不安げで、たまに白い歯を見せるときには苦笑い。迷いがそのままショット、パッティングに表れて、結果が出ずに自信を失う。まさに負のスパイラルにハマっていた。

そんなとき、今まではあまり見なかった他競技に目を向けてみた。すると、どうだ。自分はなぜこんなことで悩んでいるんだろう。そう思えるくらいに輝いていた。

特にキックボクシングの那須川天心と武尊との試合は大きな刺激となった。「命を削って戦っている選手を見て、私は何やっているんだ、と思いました。東京ドームが埋まるほど熱烈な戦い。注目されて、それに応える努力が素晴らしかった」。日本格闘技の最高峰と呼べる戦いは、奮い立たせるには十分すぎるほどだった。

考え方は大きく変わった。もう一度、一から積み重ねることも決めた。もちろん前進ばかりではない。失敗も自分の糧。少しずつ成長していることも分かった。そうして、一歩ずつ立ち直ってきた。

そして迎えた地元大会。「スイングも大事だけど、今は結果を残したい」。今までのように、コース内で迷うことはなかった。ラウンド中の笑顔も増えてきた。そんなメンタルに比例するようにバーディも増えていき、「67」でトータル6アンダーの9位タイまで順位も上がった。

あとはこの日のプレーを確固たるものにするだけ。「あしたは日曜日にいいところで勝負できるような位置で終われるように。一打一打大切に戦いたい」。猛暑の中で、まさに命を削るような戦い。苦しい状況でも一歩踏み出す気持ちの準備はできている。(文・秋田義和)

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