選手もギャラリーも“新感覚” 3日間で1億円を稼いだ香妻陣一朗が語る「LIVゴルフ」

選手もギャラリーも“新感覚” 3日間で1億円を稼いだ香妻陣一朗が語る「LIVゴルフ」

LIVゴルフに参戦している香妻陣一朗 高額賞金だけではない、その魅力とは(本人提供)

現地時間29日からの3日間、「LIVゴルフ・インビテーショナル」の今季第3戦が米ニュージャージー州ベドミンスターのパンプキンリッジGCで行われる。サウジアラビアの政府系ファンドがバックアップし、グレッグ・ノーマン(豪州)がCEOを務める「LIVゴルフ」。3日競技で高額賞金などが話題で、フィル・ミケルソンやダスティン・ジョンソン、ブルックス・ケプカ、ブライソン・デシャンボー(いずれも米国)ら人気選手も参戦している。“金満ツアー”とさえ呼ばれているが、まだまだ知られていないことは多い。


■海外メジャーに出る感覚で「LIV」の出場を決めた

「LIVゴルフ」は3日間54ホールのストロークプレーで予選カットなし。優勝賞金は400万ドル(約5億3700万円)。最下位の48位でも12万ドル(約1600万円)を得られる。また同時に4名1組、12チームによる団体戦も行われる。初日、2日目は各チームの上位2名のスコア、最終日は上位3名のスコアで競い、優勝チームには300万ドル(約4億円)で3位まで賞金が用意されている。また通常の大会ならば1番ホール、あるいは1番と10番からスタートするが、LIVゴルフは各ホールから全組がティオフするショットガンスタートを採用。特徴の一つとなっている。

初戦は15位で24万5000ドル(約3200万円)、2戦目は6位で80万ドル(約1億800万円)を獲得した国内男子ツアー2勝の香妻陣一朗にLIVゴルフについて聞いた。

「1億といっても税金とか引かれるので、1億円獲得した感じはないですよ(笑)。もちろん賞金も魅力的ですが、僕の中では海外メジャーに出るのと同じ感覚です。日本ツアーよりも強い選手がフィールドにいるので、世界のトップ選手を見ると自分の刺激になりますし、自分のレベルアップのために何が必要なのか肌で感じられます。(LIVに出たことで)罰則のあるツアーもありますが、今の僕には無関係ですので迷わず出ました」

自身のレベルアップのために、海外のトップ選手が出場するフィールドでもまれることを第一に考えた。2戦目の2日目には2010年「全米プロ」、14年「全米オープン」覇者のマーティン・カイマー(ドイツ)、最終日には18年の「マスターズ」覇者で米国男子ツアー9勝のパトリック・リード(米国)と同組。終盤まで優勝を狙えるようなリードの猛チャージを目の当たりにした。

「もちろんショットの精度は高いですし、パッティングも決めてきますが、一番感じたのは、(スコアに直結するような)変なミスをしないんです」。大きなミスを生まないスイングの再現性の高さを感じており、自身の今後の課題になったという。

■ショットガンスタートでゲーム時間は短縮される

今季の全米プロと全米オープンに出場した香妻。海外メジャーとLIVゴルフの違いは試合のフォーマットやホスピタリティにもある。「普段ないのでチーム戦は楽しかったです。2戦目は3位を狙えたので、そこも見ながら楽しんでいました」。1戦目は12人のキャプテンが選手をドラフトする形でチーム編成されたが、2戦目は香妻のほか谷原秀人、木下稜介、稲森佑貴の4人が参加したことで、“チームジャパン”で戦った。

1打及ばず4位だったが、ストローク戦だけのトーナメントと違った楽しみもあるという。また、各チームには名前やロゴがあり、キャップやTシャツなどのグッズも販売され、各チームの“応援”をする準備もできている。今週の3戦目も前出の4人が出場し、チームジャパンは前戦同様「トルクGC」の名前で臨む。

「みんなが同時にスタートするのっていいなって思いました」。ショットガンスタートはプロトーナメントとしては斬新だが、メリットも多い。スタート時間は現地時間の13時過ぎ。ギャラリーは12時頃から来場して、おのおの見たい選手のスタートホールへと向かい、すぐにお目当ての選手を見られる。また、最初から18番ホールのスタンドに座っていても、すぐにいろんな選手が来る。

「ゴルフの大会は一日が長いですけど、ショットガンなら5〜6時間でその日のゲームは終わるので、お客さんはいいかなと思います」。朝7時前からスタートして22時頃までラウンドしている全英オープンは極端だが、一般的なトーナメントでも午前中から夕方までゲームを行っている。LIVゴルフのスピード感は特筆すべきものだ。

また、ラウンドする時間帯が同じことで、午前は風が強かったが、午後は風が弱いといった天候による不公平感が減るメリットもある。ただ、2番ホールスタートの選手が優勝した場合は、1番ホールがフィニッシュホールになるので、この辺りは今後の課題かも知れないとも。ちなみに大会前日のプロアマ大会は1番、10番から通常通りスタートするという。

■ビジネスクラスに、高級ホテルなど手厚いホスピタリティ

選手へのホスピタリティもすごい。「基本的に移動や宿泊費はすべて出してもらえます。経費がかかりませんね」。海外の試合では車の貸与がある場合も多いが、移動費や宿舎は自費がほとんど。しかし、LIVゴルフでは選手と1名分の往復の航空代(ビジネスクラス)とオフィシャルを用意。現地では車の貸与もあるし、ホテル内には選手ラウンジがあり、食事もそこで済ませることができる。

ロンドンで開催された初戦に向けて、当初はビジネスクラスで渡英する予定だったが、人生初という「ファーストクラス」だった。初戦を終えると翌週は米国で全米オープン。米国へ向かう選手はLIVが用意したチャーター機で移動した。

選手が泊まるホテルはその地区での高級ホテル。「ホテルには選手ラウンジがあるので、そこで多くの選手とコミュニケーションが取れます。出場選手の数も少ないので、トップ選手と顔なじみになれます」。大会終了後には、“打ち上げ”パーティのようなものもあり、世界のトップ選手と親交を深める場にもなるという。

■試合中にドローンを飛ばすなど映像制作にもこだわり

トーナメント中継にも力を入れている。全ホールにテレビカメラが設置されて全選手の全ショットを収めている。また、上空には「ヘリコプターみたいなのもある」と大小のドローンが飛んでいる。試合の模様はYouTube、日本だと「DAZN」で視聴できる。同時進行でカメラ台数が多いことから、一人の選手がアドレスしてボールを打ち、ボールが止まると、すぐに次の選手へと映像が切り替わり、テンポが速い。

「インスタとか映像もかっこいいんです。たくさんのクリエーターがいるんでしょうね」

SNSでの各選手の紹介映像もこっている。また練習日の“企画モノ”として、選手が打ったボールを高速ドローンで止まるまでを追いかける新しい演出も。ゴルフにおける新しい映像制作にもこだわりを感じる。

ノーマンCEOは「私たちが知っているゴルフシステムに新しい次元を追加し、世界中のプレーヤーとファンに真の可能性を最大限に引き出す機会を提供していく」と話しているが、高額賞金だけでなく、選手やゴルフファンに新しいスタイルを提供したいと考えているようだ。

LIVゴルフは招待試合のため、現状では細かい出場カテゴリーはない。3戦目までは各ツアーの賞金ランキング上位者の資格はあるが、そのほかは複数年や単年の契約選手、世界ランキングなどに基づく招待ということになる。今年は年間8試合の予定だが、来季は14試合に拡大が決まっている。

<ゴルフ情報ALBA.Net>