LIVゴルフのおかげで得た「運命のいたずら」【舩越園子コラム】

LIVゴルフのおかげで得た「運命のいたずら」【舩越園子コラム】

LIVに行ったミケルソン(左)とPGAツアー年間王者のマキロイ 今後の動きは?(撮影:GettyImages)

PGAツアーのプレーオフ・シリーズ最終戦、ツアー選手権終了後、今年の全英オープン覇者キャメロン・スミスなど6名の選手が新たにLIVゴルフへ移籍。その6名と入れ替わり、4名の日本人選手を含む8名の名前がリブゴルフの出場者リストから消えた。


なぜ?どうして?これからどうなる? LIVゴルフの動きには、常にクエスチョンマークが付いて回る感があるが、そんなLIVゴルフとは対照的に、PGAツアーでは明確な動きがあった。

スミスら6名がPGAツアーから去り、フェデックスカップ・ランキングの上位125位には6つの「空枠」ができた。その枠を埋める形で、126位以下だった6名が繰り上がり、2022-23年シーズンの“フルシード権”を獲得した。

125位以内に食い込めるか、外れるかには大きな違いがあることは言うまでもない。だが、とりわけ今季のフルシード入りには、さらに大きな意味がある。

昨季のプレーオフ第2戦、BMW選手権の開幕前には、タイガー・ウッズがわざわざプライベートジェットを飛ばして試合会場に駆け付け、選手オンリーの緊急会議に参加。王者ウッズがそんな動きを見せたのは初めてのことで、PGAツアーとその周辺には張り詰めた空気が漂った。

そして翌週、ツアー選手権開幕前の会見でジェイ・モナハン会長は新シーズンへ向けての大改革を発表。

合計12大会を賞金2000万ドル級の超高額大会に格上げし、メジャー4大会などを加えた合計20試合への出場を「トッププレーヤー」に義務付けるなどの斬新な内容だった。

その「トッププレーヤー」が「PIP(プレーヤー・インパクト・プログラム)のトップ20」と定義されているところは、さらに斬新だった。

PIPは、そもそもはPGAツアー選手のLIVゴルフへの流出を阻止するための苦肉の策として、昨年、いつの間にか創設され、開始されていたボーナス制度だ。選手たちのグーグル検索への登場頻度やSNSへの露出度などをQスコアなるものに置き換え、ランキング化するというもの。

いわば「人気ランキング」のようなものだったが、その集計方法やランキングの状況には、いつもベールがかけられており、昨年末にフィル・ミケルソンが自ら勝利宣言したと思ったら、実際はウッズが1位になったことが今年になって明かされた。

そんなふうに、どこか不透明性が感じられたPIPを今後はきっちり可視化し、ランキングの基準も単なる人気度や露出度からファンによる認識度へ変更されるという。

新シーズンは過渡期ゆえ、これまでの旧PIPと新PIPが併用されることにはなるのだが、そのトップ20に入れば、超高額賞金を狙える20試合に必ず挑める権利が得られる。

フェデックスカップ125位のラインをぎりぎりクリアできず、一度はシード落ちに泣いたというのに、6つも空枠ができたおかげで繰り上がりでフルシード入りした6名だって、ファンから「素晴らしい」と認識される選手になれば、「トッププレーヤー」に認定される道が開ける。

そうやって、すべての選手が「強い」、「上手い」だけではなく、ファンから「さすがだ」、「手本だ」と賞賛され、拍手を送られる選手になることを目指すようになれば、みんなで向上することができる。

モナハン会長が言った「プレーヤーとファンがともに歩み、成長し続けるツアーでありたい」とは、そういうツアーを目指したいという意味なのだろう。

今年の全英オープン開幕前、ウッズは予選落ちのない54ホールを戦いさえすれば、ビッグマネーが保証されているLIVゴルフは「ゴルフというゲームのために良い方向に向かっているとは思えない」と激しく批判した。

そんなウッズの言葉を借りて言い替えるなら、大改革を敢行し、公平性や透明性を明確化したこれからのPGAツアーは「ゴルフというゲームのために良い方向に向かっていく」のではないだろうか。

LIVゴルフへの移籍者のおかげでフルシードに繰り上がった6名の選手たちも「良い方向」に向かって、ともに歩むことができる。

そう考えれば、「ありがとう。LIVゴルフ」と言いたくなる。6名が授かった「うれしい運命のいたずら」は、そんな大きな意味と意義をもたらしてくれたのだと私は思う。

文/舩越園子(ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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