最終組が割を食った予選ラウンド 主催者に問われる“予定通り”の競技進行【記者の目】

最終組が割を食った予選ラウンド 主催者に問われる“予定通り”の競技進行【記者の目】

2日目に最終組がホールアウトしたとき、日没からは20分も経っていた(撮影:佐々木啓)

日本一を決めるナショナルオープン「日本女子オープン」の大会2日目。午前6時45分に第1組がスタートして、最終組がホールアウトしたのは午後5時53分。辺りは夕暮れで赤く染まるどころか、すでに薄暗くなっていた。最終ホールのグリーン脇に用意されていた投光器が煌々と光り、その灯りが消されれば、すぐさまボールは闇に包まれる。120人のフィールドで行われた競技時間は11時間以上にも及んだ。


各組の1ラウンドのプレー時間は4時間31分に設定されていたが、実際はそれを1時間オーバーする5時間30分。そして午前組の遅延により、午後組のスタート時間は15分遅らされ、最終組辺りでは20分も遅れる事態にさえなっていた。ホールアウト時の暗さは、まるでナイタープレーと同じ状態。こんなことが、プロの競技、さらにいえばメジャー大会で起こっていいのだろうか。私はふと、疑問に思ってしまった。

前兆はあった。初日も同様に午前6時45分に第1組目がスタートしたが、最終組がホールアウトしたのは日没時間後の午後5時30分すぎ。そのときも投光器が点けられ、なんとか最終組までホールアウトを敢行した。

なぜこんなに時間がかかってしまったのか。主催する日本ゴルフ協会(JGA)に話を聞くと、「ナショナルオープンにふさわしいセッティングにしようとすると、予選ラウンドで時間がかかってしまうのはしょうがないこと。コースが難しく、予想よりもプレー時間がかかってしまったのが原因」と返答があった。

確かに、今大会のコースには目を見張るものがあった。落としどころが絞られたフェアウェイに、入ればレイアップを選択するしかない長くて元気なラフ。グリーンを直接狙わせない空中ハザード、いたるところに待ち構えるバンカーや池、そしてボールが止まらない硬くて速いグリーン。アンダースコアで回るのは毎日数人程度で、優勝スコアはトータル3アンダー、トータルアンダーパーは2人のみ。これぞ日本一を決めるナショナルオープンであり、“ザ・メジャー”と思わせるほどの面白いセッティングだった。

だからといって「予想よりもプレー時間がかかってしまった」と片付けてしまっていいのだろうか。スタート時間が遅れたわけでもなく、悪天候やトラブルで競技が中断されたわけでもない。風も穏やかで、快晴だった。まさにゴルフ日和ともいえる絶好のコンディションだったのにも関わらず、“日没との戦い”を強いられたことが問題なのだ。

プレー時間がかかった原因には、もちろんコースの難しさも関係している。難しくなれば選手は打つ前にマネジメントで悩む時間も増え、打つ回数が多くなれば自然と時間がかかる。しかし主催側は、シミュレーションによって1ホールあたりの予定配分時間を設定しており、それに基づいて組み合わせを作成した。ではそれよりも時間がかかっていしまっているとき、どれくらい選手を急かさせたのだろうか。

ボールに着いてからマネジメントを考える時間を減らすような指導をするもよし。警告を出してプレーが早くならないのであればペナルティで罰するもよし。移動に時間がかかるホールバイホールでカートを使用させるでもよし。難しいセッティングをつくるだけでなく、“予定通り競技を行うこと”こそ、主催側が注視して取り組むべきことだと思う。

午前組、午後組に分けられるなど“完全に公平”とはいえないゴルフという競技だからこそ、せめて、選手たちが全力のパフォーマンスを行える状態でプレーさせてあげることが主催側の責任だ。全体の遅延を、真っ暗のなかで投光器を点けることで解決しようとし、最終組あたりの選手たちが不利な状況でプレーし、割を食っているように思えた予選ラウンド。さらにいえば、初日で日没ギリギリになってしまったのであれば、2日目は朝イチからその対策を講じられたはずなのに、初日以上にプレー時間がかかってしまっている。

もちろん選手には『サスペンデッドを選択する権利』もある。しかしそれを選択すれば、午前7時前に設定されるであろう3日目のスタート時間まで12時間もなく、クールダウン、食事、睡眠、ウォーミングアップに時間が足りないことは目に見えて分かっている。

私の想いはただひとつ。アマチュアも多く参加できる120人というフィールド、メジャーらしい難易度の高いセッティング、ギャラリー数を無制限にできる大会の規模。何ひとつ欠けることなく、このような大会がずっと続いてほしいということ。プレー遅延については、さまざまなことがかみ合って起きるため、一概にこれが悪いとは言えない。その解決策も一筋縄ではいかないかもしれない。だからこそ、主催者側はもっと“プレー時間”に着目して、全選手ができるだけフェアにプレーできるような運営をしてほしいと思う。(文・笠井あかり)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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