【辻にぃ見聞】畑岡奈紗が反復性を更に高めるのに必要なのは“力感”のコントロール<後編>

【辻にぃ見聞】畑岡奈紗が反復性を更に高めるのに必要なのは“力感”のコントロール<後編>

マネジメント力の高さも一流 セルフプレーで難コースを制したことが何よりの証明だ!(撮影:上山敬太)

 史上初となるアマチュアのメジャー覇者が生まれた「日本女子オープン」。ゴルフを始めて6年の高校3年生・畑岡奈紗のスイング以外の強さ、今後さらに強くなるための『深層』を、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が語った。


■難コース攻略は“自分のゴルフ”が分かっているからこそ

優勝スコアはトータル4アンダー。プロでも厳しかったコンディションの中で優勝できたのは、“自分のゴルフ”が分かっているからこそ、と語る辻村氏。

「飛んで正確性の高いショット共に彼女の才能を感じるのはマネジメントの部分です。トッププロはプロキャディとともに作戦を練ってコースを攻略していくわけですが、彼女のキャディはお母さん。マネジメントについて少しは相談しているでしょうが、基本的にはセルフプレーと思っていいでしょう。それでも井上誠一さん設計の難コースを攻略できたのは彼女の判断力、決断力に他なりません」

「緊迫した場面で正しいチョイスをできるのは自分のスタイル、クセを分かっているからです。マネジメントは人の真似をできるものではありません。例えば14番のパー5では、フェアウェイからの2打目をレイアップしました。首位に立っていましたし、距離的にも2オンを狙える。アマチュアならイケイケで攻めていきがちな状況ですが、彼女はこのコースでフェアウェイから打つことの大事さを分かっているからそういった選択ができました。結果としてバーディを獲ることはできませんでしたが、彼女のマネジメント能力の高さが窺えた1コマでした」(辻村氏)

 また、クラブセッティングも光った。今週のコースではフェアウェイウッドでティショットを打つ機会は少ないと判断。『フェアウェイから打つなら上がりやすい方を』とスプーンを外してバッフィをバッグイン。その4Wは最終日の史上最長パー4・17番のセカンドで使い、残り210ヤードからパーオンに成功。最大の難ホールでパーをセーブするのに重宝した。

■さらに羽ばたくためには“力感”をコントロールすること

 ここまで畑岡の感覚、スイング、マネジメントと総合的に評価してきた辻村氏。今後畑岡がさらに強くなるためには何が必要なのだろうか。

「これからプロとなって戦っていく中で必要となってくるのは、力感のコントロールだと思います。今大会では体にエネルギーがみなぎっていて、とてつもない力強さを感じましたがプロになれば毎週試合があります。今までよりも試合数が増えるなかで、移動、取材など限られた時間の中で調整することになるので、思うような状態で戦えないことも出てくるでしょう。スイングだけでなく、これからは全てにおいて全力投球というわけにはいかないですし、メンタル面もこれまでとは大きく違うはずです。プロとして圧し掛かってくるプレッシャーは計り知れません。その中で毎日反復する体力、精神力が問われます。そのような環境でも戦っていけるように、力の入れるところ抜くところのメリハリのつけ方を覚えれば、まさに鬼に金棒となるのではないでしょうか。いかに力感を最小限に抑えて、最大限のパワーを出せるか。力感は毎日変わりますし、これで良いというゴールもありません。その中でできる限り100点に近い答えを出せるかが大事です」

「彼女を見ていると“常に世界を見ているな”と感じます。国際経験も豊富ですし、目標が高い。そして周りに感謝する心を持ち、様々なところから学ぶ姿勢がゴルフを始めて6年という短期間でここまで急成長できた要因だと思います。ゴルフ界にも大谷翔平選手のようなとてつもないスケールを持った選手が出てきたなと思うとワクワクが止まりません」(辻村氏)

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子、濱美咲らを指導。今季は上田の出場全試合に帯同し、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。


<ゴルフ情報ALBA.Net>

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