ウッズ欠場の落胆と新たな予感 米ツアーは波乱の幕開け【舩越園子コラム】

ウッズ欠場の落胆と新たな予感 米ツアーは波乱の幕開け【舩越園子コラム】

ライダーカップは副将として歓喜を味わったが…再びこの笑顔を見られるのはいつになる?(撮影:GettyImages)

早いもので、米ツアーは2015-16シーズンが終わったと思った途端、もう2016-17シーズンの開幕である。


振り返れば、米ツアーはタイガー・ウッズがデビューした1996年以降、毎年のように「タイガー・ウッズの年」を繰り返してきた。ウッズが勝利から遠ざかって以降は、ウッズに代わる誰かが目立った活躍をしてきた。たとえば一昨年は、マスターズと全米オープンを制したジョーダン・スピースがシーズン前半で、全米プロ制覇後にスターダムを昇りつめたジェイソン・デイがシーズン後半で、それぞれ話題と注目を独占する形になった。

だが、昨季は特定の1人や2人ではなく、たくさんの選手に光が当たった1年だった。マスターズを制したのはダニー・ウィレット、全米オープンはダスティン・ジョンソン、全英オープンはヘンリック・ステンソン、そして全米プロはジミー・ウォーカー。メジャー4大会のチャンピオンはすべてメジャー初優勝者となった。リオ五輪ではジャスティン・ローズが金メダルを獲得。プレーオフシリーズ最終戦を制して総合優勝に輝いたのはローリー・マキロイ。そして、シーズン終了時に世界ランキング1位の座を死守していたのはジェイソン・デイだった。

ビッグタイトルすべてが異なる選手の手に渡ったことは、それだけ選手間の差が縮まってきた証だ。メジャーでは勝てずとも、年間2勝を挙げたラッセル・ノックス、米欧対抗戦のライダーカップで米国勝利の立役者になったパトリック・リードやライアン・ムーアなど、確実に頭角を現した選手たちもいた。

とはいえ、世界ナンバー1に輝いた経験とメジャー優勝の双方を擁するマキロイやデイは別格だとしても、それ以外の他選手たちは、これからの世界の頂点を目指す本当の戦いに突入していく段階にあるわけだから、群雄割拠とは少々ニュアンスが違う。昨季活躍した彼らの中でピラミッドの頂上付近に生き残れる選手は果たして誰なのか。その人数が絞られていくであろう新シーズンこそが、群雄割拠の新たなる1年になりそうな予感がする。

ところで、その新シーズンの開幕戦となる今週のセーフウエイ・オープンで14か月ぶりに戦線復帰するはずだったタイガー・ウッズが、開幕3日前の月曜日に棄権してしまった。昨季のウッズは試合には出場できなかったが、公けの場で球を打った機会は何度かあった。マスターズ後にジュニア大会の練習場で披露したドライビングは300ヤードを軽々超える豪打だったと報じられ、手術後の腰の状態は順調に回復しているとも報じられた。

だが、ウッズが大会ホストを務めるクイッケンローンズ・ナショナルのメディアデイでは、短い池越えのパー3で何度打っても池が越えられず、周囲で見ていた関係者や米メディアは、みな凍りついてしまった。それゆえ、今週の開幕戦で復帰するウッズに寄せられていた米ゴルフ界の興味や関心は、腰よりもショットの回復度だったと言っていい。

棄権を表明したウッズは、午後になって自身のHP上で、その理由をこんなふうに明かした。「僕は元気だし、順調に回復はしているけど、心の底から考え、迷ったけど、やっぱり戦うための準備は整っていない」

2週前のライダーカップでは米国チームの副キャプテンを務めるなどして、なにかと多忙だったウッズは、復帰戦を迎えるための準備が十分にできなかったようで、ウッズ自身、残念がっているが、彼の復帰を心待ちにしていた米ゴルフ界全体の落胆ももちろん大きい。

しかし、ひとたびショットの感覚や精度が「戻っている」、あるいは「戻った」という状態になれば、メジャー14勝、通算79勝、百戦錬磨のウッズが長いブランクを瞬く間に克服し、一気に優勝争いに絡み始める可能性はもちろんある。今は焦らず、ウッズの本当のカムバックを待っているしかない。

ウッズで幕を開けるはずだった開幕戦はウッズの姿が見られない波乱の幕開けになってしまったが、ともあれ期待がいっぱいの新シーズン、新時代は今週、その幕を開ける。

文 舩越園子(在米ゴルフジャーナリスト)

<ゴルフ情報ALBA.Net>

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