辻にぃセレクト!初優勝に燃える5人の“強み”と“課題”#1【辻にぃ見聞】

辻にぃセレクト!初優勝に燃える5人の“強み”と“課題”#1【辻にぃ見聞】

アマチュア時代から優勝争いを繰り広げている3人 それぞれの強みと課題とは?

7日(金)に開幕する「ニッポンハムレディス」から後半戦がスタートする国内女子ツアー。前半戦ではイ・ミニョンと青木瀬令奈の2人がツアー初優勝を挙げたが、残り5か月でツアー初優勝を挙げそうな選手は誰なのか。上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が5人をピックアップ。まずはアマチュア時代から優勝争いを繰り広げている3人を解説する。


■堀琴音は昨年までの課題を克服 後半戦に期待大
今年の開幕前から“もっとも初優勝に近い選手”と呼ばれていた堀琴音。残念ながら前半戦での悲願はならなかったが、直近の5試合でトップ5に4回入るなど上昇気配。後半戦への期待は大きい。

「堀さんはシーズン序盤からピンだけを見た攻撃的なゴルフを展開していましたが、それにゴルフの状態と合っていないように見えました。それが試合が経つにつれて調子が上がり、堀さんの持ち味である“攻めのゴルフ”とゴルフの状態がリンクしてきましたね。そして今年はパターが良くなっている。元々リズム、テンポの良いプレーですが、それがこれまでの課題だったパッティングにもつながってきた印象です。明らかに去年よりも迷いが少ない、というか迷う前に打つことができている。だからカップへの入り方も良くなっているし、去年46位だった平均パットが10位に上がるなど数字にも表れています。今、一番優勝に近い選手でしょうね。課題はこのオープンウィークで良くなっている流れを切らないことくらい。それが出来ればおのずと頂点は見えてくるでしょう」

■安定感抜群の森田遥 最後の1ピースは“自分のタイミング”
14試合中12試合で予選通過、また「全米女子オープン」への出場権を得るなど前半戦を通じて安定したゴルフを見せたのが森田遥。平均パット数4位、平均パット数(合計)は1位と堂々たる数字を叩きだした。

「自信を持っているパッティングに加えて、リカバリー率も11位ですからグリーン周りの安定感は素晴らしいものがあります。乗ったらバーディ、乗らなくても寄せワンできっちり2点で上がる。これが森田さんのスコアの肝です。アプローチはあまりガチャガチャしないオーソドックスなスタイルで技を駆使するタイプではない。でも寄せられる位置を知ってるし、自分なりのグリーン周りの攻略法を持っているからきちんと寄せてくる。ボミさんに近いものを感じますね。もちろん、2打目を外しても寄せられる方に打てているマネジメントも見逃せません」

一方で課題に挙げたのがショット。「フェアウェイキープ率85位、パーオン率56位はいただけません。パーオン率はピンを狙うし、外しても良い方向に打っているから仕方ない部分もありますがシード外の数字です。同じようにマネジメントしているであろうキム・ハヌルさんは2位ですからね」

特に辻村氏が気になっているのがフィニッシュでバランスを崩す場面が多いこと。「森田さんはトップから切り返しのところで下半身ではなくヘッドから動くタイプ。別に悪いことではありませんが、森田さんの場合はタイミングがまちまちになりがち。インパクト際で詰まってる感じがある時があります。練習を見る限り色々模索しているところだと思います。その中で自分のタイミング、自分のスイングを見つけることができれば、“勝てる選手”の1人になれると思います」

■柏原明日架はもったいない 良い意味で適当さを
堀、森田と同様にアマチュア時代からプロの試合で優勝争いを繰り広げている柏原明日架も未だに未勝利。「バランス、体幹は素晴らしいし、身にまとっているオーラもアスリートそのもの。加えてパッティングが抜群に上手い。パッティング時には体が締まっていて姿勢が良いですね。常に体の中心にエネルギーがある。ショートパットなんて外れる雰囲気がないですからね。加えて開幕時にスイングを見たときに、癖になっていた左ひざが目標方向に流れてしまうのが無くなり、左足がしっかりと壁になってクラブも立って降りてきていました。今年は飛躍の年になると思っていましたよ」

だが、3月の「アクサレディス」で3位タイに入って以降はトップ5なし。「ワールドレディスチャンピオンシップ サロンパスカップ」の8位が最高位だ。辻村氏は「期待しているからこそエールを込めて」と厳しい言葉を投げる。

「トップ選手に負けないポテンシャルを持っているのに、それを活かしきれていないように見えます。その理由は“悩みぐせ”ではないでしょうか。柏原さんは型にこだわりすぎていて注意点が多い。こだわるな、と言うわけでは決してありません。ですが、こだわりは1つにまとめないと。あっちこっちにポイントがあるから集中できてないように感じます。もっと良い意味で“無造作”というか大体でいいんじゃないかな。コースに入るまでに準備しきって、ティオフしたらある程度開き直ってプレーして欲しい。取り組み方で損をしているように見えます。持っている能力だけで考えれば常にトップ10に入っていておかしくない選手ですから」

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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