【辻にぃ見聞】2季ぶり8度目のVの成田美寿々「次戦次第で今後も来る」

【辻にぃ見聞】2季ぶり8度目のVの成田美寿々「次戦次第で今後も来る」

成田ショットとパットの繋がりのよさが勝因に(撮影:上山敬太)

初日からビッグスコアが連発した今年の「大東建託・いい部屋ネットレディス」。4日間で22バーディ・1ボギーという圧巻のプレーを披露した成田美寿々が、2季ぶり通算8度目のツアー優勝を飾った。バーディ合戦となった今大会を、上田桃子らを指導するプロコーチの辻村明志氏が振り返る。


■完璧なプレーで2季ぶりVの成田 勝因は「ショットからパットへの繋がりの良さ」

今回から4日間になったこの大会。去年から1日増えたとはいえ、優勝スコアが9アンダーから21アンダーと急激に伸びたことについては、「雨の影響が大きかった」と辻村氏は語った。「鳴沢のグリーンは大きいので、どの面に乗せるかが重要。いつもは“硬くて速い”グリーンに苦しめられるんですが、今年はずっと天気が悪くてグリーンが軟らかかったため、ボールも止まるしスピードも落ちて、遠くの面からのロングパットのタッチも合いやすかった」。

そういう状況もあり、21アンダーと今季のツアーで最もいいスコアで優勝した成田。前回のこのコラムでも「状態が良くなっている」と語っていた辻村氏だが、今大会のプレーを見て、「すごく状態が良かった。ほぼ完璧なプレーでつけ入る隙が全くなかった」と大絶賛した。今大会中、井上透コーチと昨シーズンの開幕前から取り組んできたスイング改造について、「しっくりなじんできた」と手ごたえを述べた成田。悩みの種だったパットも、鈴木愛らへの指導で知られる南秀樹氏にコーチを要請。その南コーチが、「今週はパットの音が良くなった。パターのヘッドで叩くのではなく、シャフトを使って押し込むパットが打てるようになった」と語るほど調子は上がっていたようだ。辻村氏は成田が今回完勝した要因の1つとして、“ショットからパットへの繋がりの良さ”を挙げた。

「今大会が始まる前に練習場で見たときから、体とクラブの一体感がいいなぁと感じていました。状態が良くなかった時はいいフィニッシュが作れていませんでしたが、今回はピタッピタッと決まっていた。スイング全体のバランスやタイミングが良かったんだと思います。元々彼女はショットメーカーですが、この大会では4日間通してショットの状態が良かった。それが、いいリズムでのパットに繋がったと思います。去年の練習ラウンドの時は、バッグにパターを何本も入れていたぐらいパットに悩んでいるように見えました。今季の開幕前には、南コーチの元で1日7時間に及ぶパット練習を連日やったと聞いていましたが、その取り組みが結果に出てきていると思います。4週前の「ニッポンハムレディス」から5位タイ⇒4位⇒3位タイと続き、今回が完璧な優勝。自信になったと思います」。

成田は今回の優勝で賞金2,160万円を獲得し、賞金ランクを前週の14位から5位へとジャンプアップさせた。今後の賞金女王争いでも台風の目になりそうな勢いだ。「よく言われますが、優勝した翌週の試合が大事。もし今度の北海道 meijiカップでも上位に来るようなら、今後も来る。それぐらい安定感は抜群です。まだ、高額賞金が狙える大会も残っていますし、(賞金ランクの)上の人を脅かして欲しいですね」。

■初日コースレコードタイ“64”のキム・ハヌル 「ビッグスコアの翌日は難しい」

一方、初日に“64”のコースレコードタイを叩き出し単独トップに立ちながら、7位タイに終わった賞金ランク1位のキム・ハヌル(韓国)。辻村氏は「ゴルフの難しさがでた」と話す。

「初日は100点満点のプレーで、これはどんどん行くなと思いました。ところが2日目は全く違うハヌルになりました。あれだけ決まっていたショットのタイミングがずれて、ミスも多かった。前日の自分と比べてのギャップに苦しんでいるように見えました。やはり、ビッグスコアの次の日のプレーは難しいということを再認識させられました」。

■来季の賞金シード争いに異変。「顔ぶれが大きく入れ替わる年になりそう」

4日間全てのラウンドをアンダーパーで回り、自身のツアーベストである4位フィニッシュを決めたのが永井花奈。「彼女は熱心かつ集中した練習をしていて、その姿勢には好感を持っていました。身長は155センチと小柄ですが、全身を使ったスイングが特徴。今季がツアールーキーですが、アマチュア時代からツアープロのような感じだったので戸惑いもないでしょうし、今後も(活躍が)期待できる」と言う辻村氏。その永井は今回の4位で獲得賞金を約2,300万円とし、賞金ランクも37位から23位に上昇させた。辻村氏は今季の賞金ランクの動きを見て、来季のシード争いがいつもと違ったものになっていると分析する。

「賞金シード(獲得)の目安が2,100万円と言われていますので、永井の初シード獲得は確定と言っていいと思います。今季はすでにイ・ミニョンやユン・チェヨン(ともに韓国)、川岸史果、武尾咲希、三ヶ島かな等、初シードを狙う選手たちがそのラインを突破しています。その下にも新鋭がたくさん控えていますし、今年はシード選手の顔ぶれが大きく入れ替わる年になりそう。永井のようにジュニアの頃からプロのような選手も増えている。今年のプロテストでも合格者の22名中、受験資格取得1年目での合格者が11名ということですから、来季以降もこの状況は続くと思います」。

解説・辻村明志(つじむら・はるゆき)/1975年9月27日生まれ、福岡県出身。ツアープレーヤーとしてチャレンジツアー最高位2位などの成績を残し、2001年のアジアツアーQTでは3位に入り、翌年のアジアツアーにフル参戦した。コーチ転身後はツアー帯同コーチとして上田桃子らを指導。上田の出場試合に帯同、様々な女子プロのスイングの特徴を分析し、コーチングに活かしている。プロゴルファーの辻村明須香は実妹。ツアー会場の愛称は“おにぃ”。

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