男子ツアーを揺るがすプロアマ問題に対する“選手の目” 独特の文化に求められた常識【記者の目】

男子ツアーを揺るがすプロアマ問題に対する“選手の目” 独特の文化に求められた常識【記者の目】

「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」での片山晋呉 本人の口からは何が語られるのか(撮影:村上航)

ゴルフ界に大きな波紋を起こした、片山晋呉による“プロアマ戦問題”発覚からもう少しで1カ月が経過しようとしている。今日27日には日本ゴルフツアー機構(JGTO)の理事会が行われ、その席上でこの件の調査報告も行われる。さらに夕方から行われる記者会見には片山本人も出席。問題発生後初めて、本人の口から直接今回の問題について語られることが予想される。


5月31日から行われた「日本ゴルフツアー選手権 森ビルカップ」のプロアマ戦に端を発した、今回の問題。今月15日にはブログで、片山が「同伴ゲストの方々に不愉快な思い」をさせたことに関して謝罪した。この「不愉快な思い」に関して、公式な発表はないものの、関係者らの証言を集めると、自身の練習を優先するなどした片山の態度にゲストが不愉快な感情を抱き、ラウンドを切り上げた、というのがことの真相のようだ。

この問題が発覚した時、男子ツアーは2週間のオープンウィーク中。そして、問題発覚後の初戦となったのが先週行われた「ダンロップ・スリクソン福島オープン」だった。選手達はこの問題をどう見ていたのだろうか。会場で聞いてみた。

「前代未聞」と話したのは、プロアマ戦への出場経験も豊富な中堅選手だ。そして、この話が、今後及ぼす影響について、「変なプレッシャーになって、余計に気を使い過ぎてしまう選手も出てくるのではないか」と危惧した。この選手は、「礼儀は大事。でもヨイショし過ぎる必要はない。このスタンスが正しいかは分からないけど、楽しんでもらいたいという気持ちで、自分はこれまでプロアマに参加してきた。クレームは出たことがない」と、これまで通りの臨み方をすることを強調した。しかし、頭の片隅にはモヤモヤが残る、そんな印象もうかがえた。

別のベテラン選手も、“気の使い方”という部分を言及する。「相手(ゲスト)から見たら、自分の振る舞いがどう思われているかは分からない。人と人だから。プロゴルファーには接客業というよりも、職人気質の選手も多い」。自分は正しいと思ったことが、相手にどう受け取られているということに思いをはせるのは、何もゴルフの世界に限った事ではない。そして、それが問題として表出してくると、過剰に意識してしまうというのも、十分に理解できる心情だ。

トーナメントは、スポンサーが資金を出し、それをもとに賞金提供や大会運営が行われる。それだけに、今回の問題はツアーにとって忌々(ゆゆ)しき問題となった。青木功がJGTO会長に就任した2016年以降は、「プロアマ戦」というものに対する考え方がより明確なものになった。それは「プロアマ戦は練習ラウンドではない」というものだ。そのさなかに起きてしまった問題なだけに、選手達の戸惑いもひとしおだ。

今回話を聞くなかで、多くの選手の言葉で共通していたのが、「一言」の重要性だった。長くツアーで活躍する選手の一人は、「気遣いの一言があれば、こんなことにはならなかったのでは」と問題を両断した。この選手はプロアマに臨む前に、一緒にラウンドする人の名刺は見ないようにしているという。その理由は、「参加者を肩書で判断しない。社長、部長に関わらず、プロアマでは、同じゲスト。同じように気を回せるようにするため」というものだ。その気持ちで臨むと、「声をかけてラウンドしていると、向こうから『プロ、練習してください』と言ってくれることもある」。

また別の選手も、「ゲストも理解がある人が多い。合間に『練習してください』と言ってくれる方も少なくない。気持ちがあれば、僕は過剰に『おもてなし』をしたり、ペコペコする必要はないと思う」と語る。また、年間に数試合のプロアマに参加するアマチュアの話も聞いたのだが、「挨拶とかレッスン、プロとの会話があれば、『練習してもいいですか?』と言われても誰も文句は言わないと思う。その前段がないから、こんな問題になったのでは」と指摘した。“魚心あれば水心”。ある種、独特な文化ともいえるプロアマにおける問題が表出した原因は、ごく当たり前の感覚の欠如だったのかもしれない。

プロアマに関しては試合前日に開催されるという慣例など、仕組みの部分で考えるべき点も残されているのかもしれない。しかし、今回についてはJGTOの自浄能力が試されることになる。片山自身が何を語るのか。また同席する青木会長はじめ、団体がくだす決断は? “ホスピタリティ”という言葉が取り沙汰された問題に、一つの区切りがつく日となる。(文・間宮輝憲)

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