【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】畑岡奈紗の活躍がもたらすものを最大限にするには

【小川淳子の女子ツアーリポート“光と影”】畑岡奈紗の活躍がもたらすものを最大限にするには

畑岡奈紗の快進撃が国内女子ツアーへの追い風となるか(撮影:GettyImages)

米ツアーでの快進撃が続く畑岡奈紗を見て、日本にいるライバルたち、そして、日本でゴルフ関連の仕事に携わる面々は、何を思い、行動するのだろうか。


「ウォルマートNWアーカンソー選手権」で米ツアー初優勝を飾り、続く海外女子メジャーの「KPMG女子PGA選手権」最終日に「64」をたたき出す。トータル10アンダーとして、9打差23位タイから一気にトップに並び、プレーオフへ。相手は、いずれもメジャータイトルを持っているパク・ソンヒョン、ユ・ソヨン(ともに韓国)とだ。

残念ながら1ホール目でバーディが取れずに脱落。2ホール目でバーディを取ったソンヒョンが優勝した。それでも、1977年の樋口久子以来となる日本人2人目のメジャー優勝まであと一歩のところに迫った。

メジャータイトルが見えてきたことで、周囲が畑岡を認めるのはまちがいない。そうなると、米ツアーの“お客様”ではなく、自分の“ホーム”と感じることが増えてくるはずだ。こうなると、より、自分のプレーに専念することができる。

レベルの高いツアーで戦い続けることで、どんどん力をつけていく畑岡。元々のポテンシャルが高いのはもちろんだが、それを磨き続ける努力と、レベルの高い場所で戦い続ける経験が、どれほどの財産になることだろう。19歳の柔らかい心には、乾いた砂が水を吸い込むように、ひとつひとつの経験が何倍にもなって返って来る。

もちろん、コースの内外での苦労は大きい。母国であり、国土も狭い日本のツアーで戦う比ではない。昨年それを痛感したが、それでも、畑岡は迷わず米国でのプレーを続けている。

このことは、畑岡自身だけではなく、周囲にも大きな影響を与えるはずだ。まず、畑岡の存在そのものが、日本のゴルフ界に刺激を与える。まず、ライバルたちにとって米ツアーがより身近なものになる。そして、日本人プレーヤーの存在が内外にアピールされる。畑岡が帰国し、プレーした際の注目度も上がり、ゴルフ界そのものに対するエコノミックインパクトも大きい。

これをどう生かすか。同じプレーヤーたちの中の何人が、畑岡の活躍を見て「彼女は特別だから」と思うのではなく、自分の可能性を信じ、畑岡から吸収し、挑戦意欲を持つことができるか。

ツアーは、日本ゴルフ界の“顔”となる畑岡が持ち帰る情報を分析し、日本でも生かす。畑岡がもつ宣伝効果を(米国で活躍しているとしても日本ツアーのメンバーなのだから)最大限に利用する。絶対にしてはならないのは、畑岡をつぶすような行動だ。

メーカーも、畑岡を通して得られる情報を今後にどう活用していくか。メディアは、畑岡の活躍を冷静に分析し、それを伝える。活躍は大きく取り上げるのは普通にすればいい。その一方で、大きな視野で見守りつつ、厳しく扱うべきときはそうすることも大切だ。また、畑岡が理不尽な目に遭ったときは、その内容に目を光らせるのも仕事の1つだ。

いずれも、改めて書くまでもなく当たり前のことではある。だが、1987年に外国人として初めて米ツアー賞金女王になった岡本綾子の存在は、まちがいなく日本のゴルフ界を大きくした。スタープレーヤーの誕生が与える影響をどれほど大きく育てられるか。

「メジャーに勝つまであと一歩だと思う」と、いい切った畑岡は、まだまだ大きく羽ばたくはずだ。彼女がもたらすパワーを増幅させること。それは日本でゴルフに関わるもの達にとっての使命ではないか。(文・小川淳子)

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