渋野日向子のスイング改造は不安材料ばかり(菅野徳雄)

渋野日向子のスイング改造は不安材料ばかり(菅野徳雄)

今年からトップ位置が低くなった渋野のスイング(C)日刊ゲンダイ

昨年末、渋野日向子が青木翔コーチとの契約を解消したと聞き、アドレスに不満を感じたのではないかと思った。

 渋野はドライバーからショートアイアンまで手元をかなり低く構えており、「ハンドダウン」しているように見える。

 青木コーチに教わってから手元を低く構えるようにしたというが、それまではもっと手元を起こして構えていたのだ。

 そのことについて青木コーチは、「渋野は日本人にしてはかなり腕が長いほうなので、普通に構えても手を低く構えているように見える」と言った。決してハンドダウンに構えているのではないと解説したが、では腕の長い欧米の選手はどうして手元を低く構えないのだろう。

 西洋人は日本人に比べると、身長が同じでも5、6センチぐらい腕が長いとよくいわれる。

 それでも彼らのアドレスは渋野のように手元を低く構えない。腕が長く、それに比例して脚も長いので、ハンドダウンしているようには見えない。

 今年4月、渋野はANAインスピレーションで予選落ちした。今まで通り手元は低く構えて、超フラットなバックスイングに変えていた。上体を深く前傾し、手元を低く構えると左手首が親指側に折れるので、アドレスした時点でリストコックは始まっている。

 だから本当は手元を低く構えれば、バックスイングでシャフトは立って上がるはずなのに、渋野は逆にクラブを寝かせて上げた。それで左手首を手のひら側に折ってフェースをシャットに上げて横振りのスイングに変わっていた。これでクラブをしっかりと振り切ってヘッドを返してやれば低いフックボールしか打てない。球が上がらないので飛距離も出ない。

 米ツアー試合会場のフェアウエーは洋芝であり、日本と違いボールは微妙に沈む。バックスイングでシャフトを寝かせたらバックスピンのかかったショットはできない。グリーンに乗っても止まらないので、ピンが立っている面に止めることは難しくなる。それでは世界のトッププレーヤーと対等に戦うのは不可能だ。ところが、ハワイで行われたロッテ選手権では、トップでシャフトをあまり寝かせずにバックスイングしていた。手の位置は肩より高くは上がっていないけれど、グリップエンドを飛球線の後方線上に向けて、スイングプレーンから外れていない。

「トップの手の位置は低くてもシャフトを寝かせなければよい」と、戸田藤一郎がよく言ったのを思い出す。戦前、戸田はアメリカに遠征し、西海岸のウインターサーキットに2カ月ぐらい参戦し、「アメリカの近代ゴルフを学んできた」と言った。

 バックスイングでシャフトを寝かせたら米ツアーでは戦えないことに渋野は早く気が付いてほしい。

▽菅野徳雄(かんの のりお)1938年生まれ。岩手県出身。立教大卒。1964年からゴルフ雑誌の編集にたずさわり、中村寅吉をはじめ、河野高明、安田春雄、杉本英世、尾崎将司など、数多くのトッププレーヤーを取材。わかりやすい技術論と辛口の評論で知られる。「ゴルフ・トッププロのここを学べ」「ゴルフスウィングの決め手」「即習ゴルフ上達塾」などの著書がある。

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