厳しいコース設定でなければ日本女子ツアーのレベルは上がらず、世界では戦えない(菅野徳雄)

厳しいコース設定でなければ日本女子ツアーのレベルは上がらず、世界では戦えない(菅野徳雄)

チャンスを決められず、また初優勝に手が届かなかった西郷(C)共同通信社

【プロツアー激辛情報】

 ゴルフはコースとの戦いである。今年の日本女子オープン会場は井上誠一設計の烏山城CC(栃木)であり、打ち上げ、打ち下ろしのホールが多い。

 ほとんどのホールはグリーンが砲台状にせり上がっている。グリーン奥のラフは短く刈り込まれているので、オーバーしたボールは途中で止まらずに下まで転がっていく。

 だから、ティーショットだけでなく、グリーンを狙うときも高弾道ボールでないと止まらない。

 大会3日目まで雨の影響が残り、グリーンが軟らかいためボールはよく止まり、あまり転がらなかった。

 ところが最終日になってグリーンのコンパクション(硬さ)もかなり戻ったので、グリーンをとらえてもボールが止まらずにグリーンをオーバーしてスコアを崩す選手が多かった。

 優勝した勝みなみはオフの間、厳しいトレーニングを続けて体づくりをし、スイングもかなり変わった。以前からかなりアップライトなスイングをしていたので疲れてくるとバックスイングで体のひねりが浅くなり、右に押し出すショットが出て、スコアを崩すことがあった。

 しかし、今シーズンはそういうミスはなくなったと言っていた。

 かなりアップライトなバックスイングをしているのに体が深く捻転している。そして全身を使って高いところに振り切ることによって、弾道の高いドローボールで飛ばしていた。

 アイアンもバックスピンの利いたボールを上から落としてくるのでグリーン上ではあまり転がらない。こういう選手が増えてこないと世界で戦うことは出来ない。

 日本女子プロ選手権に続いてまたしても2位に甘んじた西郷真央は、フェードボールで勝と互角に飛ばしていた。だが女子プロ選手権同様、パットが入らなかった。これで何度優勝を逃しているのだろう。

 今回もバーディーチャンスは何度もあった。それなのに入らなかったのは一言でいえば、しっかりヒットしていなかったからだ。ショートすることが多く、カップに届いても弱いためにラインを外れるパットが多かった。

■若い女子プロの活躍を手放しで喜べない

 師匠のジャンボ尾崎は、入らなかったらカップを1メートル以上オーバーする気迫のこもったパットで相手に重圧をかけながら勝ち続けた。

 パットについて、師匠に何か言われたことはないのだろうか。

 今回、最終日にスコアを崩す選手が多かったのは、普段あまりにもやさしいコースセッティングで試合をやっているからだ。若い選手が次々に勝っているからといって手放しで喜んでいてはいけない。

 いいスコアを出させるより、強い選手を育てることを考えて試合を行わなければレベルは上がらない。普段からラフに入れたら簡単にグリーンをとらえられないようにし、グリーン回りも難しくするとかして、厳しいコースセッティングで試合をやらないと世界に出ていってすぐ勝てる選手は育たない。

(菅野徳雄/日本ゴルフジャーナリスト協会顧問)

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