女子ツアーは新人の勢い止まらず 尾関彩美悠はすでに勝つためのゴルフを身に付けている(羽川豊)


(ルーキー尾関がツアー初優勝(C)共同通信社)

【羽川豊の視点 Weekly Watch】

 プレーオフにもつれた先週の男子ツアー「ANAオープン」は大槻智春の劇的なチップインイーグルで幕を閉じました。

 ギャラリースタンドの観客が「その瞬間」を目撃して立ち上がり、誰もが想像しなかった結末だけに感動的なシーンでした。

 勝敗のかかった状況ではフェアウエーキープが鉄則です。ラフに曲げたらスピンがかからず、距離感を合わせづらいからです。

 18番パー4で行われたプレーオフ1ホール目に石川遼が3番ウッドで、大槻はドライバーでともにフェアウエーをとらえました。

 石川は確実にフェアウエーにボールを置くこと、大槻は2打目に短いクラブで狙うマネジメントだとわかります。だから2打目に150ヤード近く残った石川に対して、大槻は130ヤード。ただその時点では、どちらが有利とはいえません。

 石川の2打目は傾斜を利用してピン横3.5メートルのバーディーチャンスにつけ、いいゴルフをしていました。その直後に大槻がPWで放った2打目がカップインでした。

 グリーン回りからのチップインはよく目にしますが、100ヤード以上の距離になると珍しい。きっと青木功さんが勝ったハワイアンオープンのチップインイーグルに次ぐ名場面として、長く語り継がれるでしょう。

 大槻は今季3度の2位があり、「ゴルフパートナーPRO-AM」でもプレーオフで敗れ、「日本ツアー選手権」では終盤17番で池につかまるなどツアー2勝目に手が届かず何度も悔しい経験をしてきました。そんな過程を経て、競った状況でも決して逃げなかったことがスーパーショットにつながったといえます。

 大槻のように男子プロ一人一人がいいゴルフを積み重ねて、男子ツアーの楽しさを根気強く訴え続けることで、いずれ人気にもつながるはずです。

■相乗効果で新鮮な選手が次から次へと出現

 女子ツアー「住友生命レディス東海クラシック」は尾関彩美悠が初優勝。2週続けて昨年のプロテストに合格したばかりのルーキーが勝ちました。今季は岩井千怜が2週連続優勝など、プロになってすぐの選手が大活躍です。やはりアマ時代にツアーに出場し、アマタイトル獲得も大きい。すでに勝つためのゴルフを身に付けており、スコアをつくるうまさもある。

 尾関は前年大会でローアマを獲得し、「日本女子アマ」を制し、プロテストもトップ合格しており、チャンスが巡ってくれば勝利をつかむだけの力があったのです。勝つ喜びを知っており、勝つために何をすればいいのかを理解し、先輩プロに物おじしないで、自分のゴルフに徹することができる。女子ツアーは相乗効果もあり、新鮮な選手が次から次へと出現してくるはずです。

 PGAツアーは2022-23年シーズンが「フォーティネット選手権」から始まりました。3日目まで不完全燃焼だった松山英樹が最終日にボギーフリーの7バーディーを奪い、70位発進から45人抜きの25位フィニッシュ。爆発力は健在であり、本当に調子が悪ければビッグスコアは出ません。松山には何の心配もなく、次は初日から72ホールの組み立てが課題になってくるでしょう。

(羽川豊/プロゴルファー)

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