ゴルフクラブはフィーリングでなく「フィッティング」で選べ

ゴルフクラブはフィーリングでなく「フィッティング」で選べ

「自分だけのクラブ」を見つけたい

 各メーカーが独自の理論で「飛ぶ」「曲がらない」と謳うゴルフの新作ドライバー。しかしどれが自分に合うのかがわからないうえ、シャフトとの組み合わせまで考えれば選択肢は何千通りに及ぶ。この中からどうやってクラブを選べばいいのだろうか。クラブデザイナーの松尾好員氏がアドバイスする。

「最近、米国では新興メーカーの『PXG』が時間をかけたフィッティングをするクラブ販売でシェアを広げています。ショップやメーカーのフィッティングを経て、自分のスイングに合うヘッドやシャフトを決めるのが世界的な流行。カスタムシャフトになる可能性が高く価格は高くなるかもしれませんが、自分のスイングのクセも分かっていいと思います」

 今回、本誌記者はミズノ東京店の「ミズノゴルフスタジオエスポート」を訪れた。クラブフィッティングの重要性にいち早く着目し、2001年からフィッティング事業を始めたミズノでは、この夏より「3球の試打でスイングにマッチしたクラブを弾き出す」という新しいシステムをスタートさせている。

 測定に使われるのが、ミズノが新開発したセイコーエプソン製の「シャフトオプティマイザー3D」だ。

「スイングを構成する9要素(ヘッドスピード、スイングテンポ、トウダウン、前反り角、しなり係数、インパクトライ角、シャフトリーン角、アタック角、フェーストゥパス角)を3球の試打で測定することができます。

 これまでデータを手で入力していたものが、専用アプリケーションと連動しているためタブレットに解析結果が即座に表示されます。より短時間で、より正確なフィッティングが可能となりました」(ミズノ認定クラブチーフフィッター・上原剛氏)

 確かに、測定器をシャフトに装着した7番アイアンを3球打っただけで、推奨候補がベスト1から12番目まで弾き出された。もちろんミズノ製品に限られるが、ドライバーからウェッジまでカバーされている。上原氏が続ける。

「ゴルファーにはそれぞれスイングのクセがあり、我々はこれを『スイングDNA』と呼んでいます。初心者、上級者にかかわらず、どんなレベルのゴルファーであっても自分のスイングDNAがある。ゴルフを始めた時からのスイングの特徴で、実はそれがミスショットの原因のひとつになっているのです。

 それを練習で修正するのはプロでも難しい。でも、それぞれが持つ感覚を大事にしながらマッチしたクラブを見つけることで、ミスが大幅に軽減されます」

 記者の場合、インパクト時のライ角は平均的だったが、ややダウンブローが少なく打ち込むタイプではなかった。同時にインパクトでフェースが開き気味だったことも判明。ヘッドサイズが大きめのキャビティタイプのアイアンが最適で、ドライバーは最新のアスリート向けモデルが2タイプ選ばれた。

 これまでクラブ選びはヘッドスピードが基準だと考えていた記者だが、フィッティングを体験したことでクラブ選びに対する認識が大きく変わった。

 スイングテンポ(シャフトのたわみ具合)、トウダウン(インパクト直前のトウダウン方向のたわみ度)などのスイングの要素が、平均的数値とどれぐらいズレているかをチェックすることで、自分のスイングのクセが明確になった。そして、クラブの特性を利用することで、スイングを変えないで球筋が変わった。

◆各メーカーが続々参入 フィッティングはもはや常識だ

 ミズノだけではなく、近年は他社もフィッティングに力を入れ始めている。

 プロギアでは「サイエンスフィット」というサービスでスイング解析を行なっている。これまでリアルタイム計測が困難だったインパクト時のフェースの入射角やフェースアングル、ボールの回転数など、スイングに関するデータを収集。

 修正ポイントはもちろん、リストターン系やボディターン系などのスイングタイプも判別し、スイングにあった最適のクラブを科学的に発見する。数回のショットで最新科学機器と数多くのデータをもとにスイングが診断でき、プロギア契約のツアープロもスイングチェックに活用している。

 ダンロップは「プロの目」と「科学の目」でプレイヤーのスイングを分析。独自で育成したクラブドクターと呼ばれるスタッフが「プロの目」でアドレス、グリップ、スイングなどをチェックし、「科学の目」はダンロップが開発した「デジタル・インパクト・ワールド」計測器で細かく解析する。

 クラブドクターはレッスンに関する知識と経験もあり、いつものスイングから必要な修正ポイントを指示。その上でスキル、年齢、ゴルフスタイルなどに合わせ、ワンランク上のクラブや、よりやさしいクラブを薦めてくれる。

 ブリヂストンスポーツのフィッティングシステムは、日本最大級のゴルフスクールで培われた豊富な知識と技術を持つフィッターが独自開発した「スイングシミュレーション」。

 現在のスイングからヘッド軌道、フェースアングル、ローテーション、シャフトの動きを診断・分析。このスイングデータをもとに、実際に試打しなくても様々なヘッドとシャフトの組み合わせを仮想試打でき、理想のクラブスペックをより正確に知ることができる。

「どのような最新ギアを使っても、自分のスイングに合っていないと理想の弾道にはなりません。高価な商品でもあるゴルフクラブだけに、フィッターのアドバイスを受けてクラブ選びをするべきです」(前出・松尾氏)

撮影■藤岡雅樹、取材・文■鵜飼克郎

※週刊ポスト2017年9月1日号

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