清武と乾に突き付けられた厳しい現状…世界最高峰リーガ、初の「日本人対決」は実現せず

清武と乾に突き付けられた厳しい現状…世界最高峰リーガ、初の「日本人対決」は実現せず

リーガで初の日本人対決は実現せず。清武はアシストで結果を出したが課題も残った。(写真:Getty Images)

<世界最高峰のリーガ・エスパニョーラで日本人対決!>

 そんな形で注目されていた現地9月17日のエイバルvsセビージャだったが、実際のゲームはシビアだった。

 まず、昨シーズンはエイバルで準レギュラーだった乾貴士がベンチ外に降格。チームとして強度の高い守備から押し込むスタイルを選択したことで、先発どころか、ベンチメンバーにも入れなかった。

 これによって、日本人対決の実現は消えた。

 一方、セビージャの清武弘嗣はインサイドハーフで先発している。しかしアウェイに乗り込んだセビージャは20日に地元のライバルであるベティスとのダービーを控えていることもあり、主力を温存。2軍に近い陣容を組んだ経緯があって、現地の話題は「スペインのクラブとして初の、先発選手が全員外国人」だった。

 雨雲が立ちこめる試合は序盤の攻防があった後、エイバルが優位に立つ。4‐4‐2で2トップが激しく追い込み、がっちりサイドを封鎖し、セビージャを陣内に釘付けにする。いくつか得た好機をネットに叩き込んでいれば、もっと楽な戦いができただろう。

 対するセビージャは新しく組んだメンバー同士だからか、距離感が悪く、ボールがつながらない。しかし前半27分だった。自陣内でパスを受けた清武が、カウンターに入る。エイバルが強攻によって空けた中盤のスペースをドリブルで持ち上がり、ポジション的優位を生かして敵ラインを下げると、相手が向かってきた瞬間にスルーパスを送ってビエットの先制点を演出。股を抜いたパスは巧妙で、タイミングも完璧だった。

 しかし試合を通じ、清武の輝きはこれだけだった。

 その後、エイバルはGKが退場したものの攻め続け、ショートカウンターからペドロ・レオンが同点弾を決めた。数的不利をものともせず、戦術的に機能しないセビージャを凌駕。終盤には、ボランチのダニ・ガルシアもレッドカードを受け9人になったが、最後までセビージャに勝ち越しゴールは許さなかった。

 1-1で終わったゲーム、日本人にとっては甘辛い形だったかもしれない。

 善戦したエイバルに乾の姿はなかった。

 清武は決定的な仕事を果たし、チーム一の走行距離で献身性も示し、『as』紙では2点(0〜3の4段階で数字が多いほど評価が高い)と採点された。その一方、守備の強度は弱く、ボールロストする場面も少なくなく、『MARCA』紙は1点の評価。インサイドハーフとして全体のバランスを取り、攻撃を作り出すことはできなかった。

 なによりセビージャはチームとして低調。レギュラー級のビトーロが投入されてからチームが好転した事実から見ても、先発と控えに差が出始めている。開幕前後は主力だった清武だが、ここから奮起が求められる。

<世界最高峰のリーガ・エスパニョーラで日本人対決!>

 その見出しはいみじくも、清武、乾の現状を映し出す一戦になった。二人にとっては高いレベルでポジションを勝ち取るため、ここから先に厳しい戦いが待っている。(文・小宮良之)

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