鎌田大地が両親にプレゼントした新築2階建て7部屋の一軒家【鎌田大地 叩き上げの原点】

鎌田大地が両親にプレゼントした新築2階建て7部屋の一軒家【鎌田大地 叩き上げの原点】

小5から飼っている愛犬のココ(左)とバロン(提供写真)

【鎌田大地 叩き上げの原点】#10

「ダイチは非凡な才能を持った選手」と2006年ドイツW杯でクロアチア代表の主将を務めたニコ・コバチ監督に絶賛された鎌田大地は、独移籍直後のブンデスリーガ1部開幕戦フライブルク戦でいきなり先発。10年夏の香川真司(PAOK)のような大ブレークの予感を漂わせた。が、継続的に出番を与えられることはなく、欧州1年目はリーグ3試合出場にとどまった。「翌年はベルギーのシントトロイデンにレンタル移籍することになり、本人も得点で存在感を示さなければいけないという危機感でいっぱいでした」と父・幹雄さんは息子の胸中をおもんぱかった。

  ◇  ◇  ◇

 欧州移籍した日本人若手選手は、往々にしてフィジカルの壁にぶつかるが、鎌田の場合も同様だった。開幕戦で華々しいデビューを飾った後に試合から遠ざかった間、彼は体力強化にいそしんだ。

「(試合に出られないのは)いらない時間。できれば、そういう時間を過ごすべきじゃない」とシントトロイデンで再起を図った18―19シーズンに本音を吐露した。

「だけどダメだったなりにすぐに(パフォーマンスを)戻していかないといけない。僕には目指しているところがある。そこに行けるように頑張ります」とも発言。1年で欧州5大リーグに戻る野心満々だった。思惑通りにシントトロイデンでは24試合出場・12点をマーク。同僚だった遠藤航(シュツットガルト)、冨安健洋(アーセナル)とともにステップアップのチャンスを得た。

「大地が結果を出してくれて親としてはホッとしました。ただ、次の行き先がどうなるのかは気を揉みました。我々はいつも話を聞くだけなんですが、イタリアに行く可能性もあったようです。最終的に19年夏の移籍期限ギリギリにフランクフルト復帰が決まった。そこで定位置を確保し、20―21シーズンは得点・アシスト合計17という数字を残し、日本代表にも呼んでもらえるようになった。『厳しい世界で生き残るには、目に見える結果しかない』と大地は少し強引なくらいゴールにこだわったんだと思います」と父は息子のタフさとたくましさに敬意を表した。

 異国の生活の中で鎌田自身にも変化があった。

 まずシントトロイデン時代に長男が誕生。両親の幹雄・貴子夫妻にとっては待望の初孫だ。遠距離なのでめったには会えないが、その成長は大きな活力になっている。

 鎌田は妻をサポートすべく、料理男子に変貌した。腕に磨きをかけ、ルーキー主婦以上のレベルに達しているという。

「大地は実家に戻ってくるといろんな料理を作ってくれます。鍋料理なんかは当たり前。天津飯や韓国チヂミ、牛タンをさばいて焼き肉を振る舞ってくれたことも。スイーツもお手の物。シュークリームも自分でいちから作っていましたね。海外で外食はなかなか難しいですし、コロナ禍になってからはより自炊をしなければいけなくなった。ユーチューブを見ながら学んだのかな。ビックリする腕前ですよ」と母・貴子さんは目を見張る。

「私と一緒に暮らした高校時代は、時間がなくて料理はやりませんでしたが、おばあちゃんと岸和田に住んでいた中学時代から興味を持ち始めたようです。鳥栖で一人暮らしをした時から、本格的に始めてうまくなったのかな」と父も息子の意外な成長に驚いている。

■「カタールに行く」

 両親にとってさらなる喜びがあった。世界への階段を駆け上がる息子が新築の家をプレゼントしてくれたのである。9月に地鎮祭を行い、22年2〜3月に完成予定だ。2階建てで7部屋もある大きな一軒家である。

「3〜4人が一緒に料理できる広いキッチンを設ける予定です。大地がドイツから戻ってきたら一緒に料理するのが楽しみです」と母は胸をときめかせる。コロナ禍が収束に向かい、そこで家族大勢で食事ができるようになっていたら最高だ。

 22年はカタールW杯本大会が開催される。日本代表は最終予選で苦戦しているが、8強の壁を越えるという大目標が消えたわけではない。その大舞台に鎌田が立ち、トップ下として攻撃陣を牽引し、チームを勝利に導けば、鎌田家にとってこれほどの喜びはない。

「もし大地がW杯に出ることがあれば、私たちも絶対にカタールに行って応援するつもりです」

 その夢をかなえるべく、鎌田には今まで以上の大活躍を期待したい。=おわり

▽鎌田大地(かまだ・だいち) 1996年8月5日生まれ。愛媛県出身。キッズFC―G大阪ジュニアユース―東山高―鳥栖から2017年にフランクフルトに移籍。昨季トップ下で5得点、リーグ3位の12アシスト。19年3月のコロンビア戦で代表デビュー。同10月のモンゴル戦で代表初ゴール。身長184センチ・体重73キロ。

【父・鎌田幹雄】1969年4月生まれ。鳥取市出身。鳥取東高、大阪体育大卒。兵庫・尼崎在住のサラリーマン。
【母・貴子】1970年11月生まれ。大阪・岸和田市出身。砂川高から専門学校。兵庫・西宮で「ジャザサイズ」のインストラクター業をフランチャイズで運営。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

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