“38歳の皇帝”長谷部誠が電撃合流! 森保ジャパンは米国戦にトップ下を置いて戦う(元川悦子)


(代表選手を前にした長谷部(写真)元川悦子)

【W杯まで2カ月 日本代表を追ってドイツへ】#6

「ロールモデルカイザー(皇帝)」の誕生だ。

 日本時間23日午後9時25分キックオフの米国戦(ドイツ・デュッセルドルフ)を控えた前日練習直前、日本サッカー協会の反町康治技術委員長が「フランクフルトの長谷部誠選手が今日から3日間、参加することになった」と電撃的な発表を行ったのだ。

 2010〜2018年まで代表主将を務めた38歳のリーダーから過去3度のW杯経験を還元してもらおうという狙いだが、真っ先に反応したのが36歳の長友佑都(FC東京)。「テンション上がっちゃって、会った瞬間に抱きついた」と4年ぶりの再会に喜びを爆発させた。

 19日に森保日本が活動を開始してからというもの、デュッセルドルフは穏やかな晴天が続いている。22日は特にポカポカ陽気。筆者は航空運賃の安い11〜2月に訪れることが多かったため、秋のドイツがここまで爽やかだと今回、初めて知った。

 この日は試合会場のデュッセルドルフ・アレナで森保一監督の会見と前日練習がある。さすがに歩いていける距離ではないため、バスに乗り、メッセ会場に近いライン川沿いの遊歩道を少し歩いてスタジアムに到着。14時から指揮官の会見に出席した。

■鎌田か久保かトップ下の適役はどちらなのか


(試合前日会見に臨む森保監督(C)共同通信社)

「W杯に挑むに当たって4−1−4−1(4−3−3)、4−2−3−1、6月のガーナ戦終盤に試した3バックもオプションとして持っていきたい。明日は4−2−3−1か4−1−4−1で戦いたい」と指揮官は発言。今回はトップ下を置く布陣である程度の時間、戦うことを明言した。

 となれば、やはり鎌田大地(フランクフルト)か久保建英(レアル・ソシエダ)のいずれかがその位置に入ることになる。今季クラブで得点している2人のどちらが強烈なインパクトを残すのか。周囲と連動して動けるのか。そのあたりをまずは見極めたいものである。

 そして午後3時からは前日練習。開始前にピッチに出ると冒頭の通り、反町技術委員長から予期せぬ発言が飛び出した。

「これは監督を含めて我々の要望。W杯と欧州サッカーも十分熟知していることを踏まえると、我々にとって大きなプラスになる。『ロールモデルプレーヤー』『ロールモデルカイザー』といろんな肩書を考えたが、指導者の勉強もされているので、指導者目線で客観的に代表の戦いぶりに意見をもらったりしたい」と長谷部への大きな期待を示したのだ。

■長友は「長谷部さんしか出せないオーラを感じた」


(先頭でランニングを行う長友(写真)元川悦子)

 当の前主将は黒のベンチコートを着て登場。3度のW杯を共闘した盟友・川島永嗣(ストラスブール)や長友らと笑顔で会話を交わした。ロシアW杯以来の再会という長友は「いるだけで緊張感だったり、心身ともに整う感じがあるな、と。やっぱり長谷部さんしか出せないオーラをひしひしと感じながら幸せな時間を過ごしました」と手放しで喜んでいた。

 練習が始まると、長谷部は反町技術委員長とともにスタンドへ移動。後輩たちの一挙手一投足を見守った。欲を言えば、我々報道陣としては、彼が黄色のジャージで代表選手とともにグランドに立つ姿を見たかった。長友も心の底ではそう願っていたはずだ。

 長谷部とプレーしたことのないボランチの守田英正(スポルティング・リスボン)や田中碧(デュッセルドルフ)も同じピッチ上で学べるものは少なくないはず。偉大な先輩の話を聞けるだけでも勉強になるのは確かだが、24日までの間に一緒にボールを蹴るチャンスが生まれるといい。

 もちろん重要なのは、米国戦の結果と内容。戦闘モードに戻った長友は「米国は、前から激しくアグレッシブに来る。そこはドイツと一緒。ドイツが挑んだイタリア戦、イングランド戦のデータを見たが、支配率は60%を越えている。

 だからこそ、前から行くべきなのか、ブロックを作って守ってショートカウンターに行くべきかの共通認識をより持たなければいけない」と強調。米国との戦いを11月23日のW杯初戦・ドイツ戦(ドーハ)に繋げていく構えだ。

■「熱量がなかったらここにはいられない」


(練習をスタンドで見守る長谷部。左は反町技術委員長(写真)元川悦子)

 相手が強くなればなるほど日本の守備力が問われるところ。今回は進境著しい板倉滉(ボルシアMG)が負傷離脱したものの、半年以上も代表戦から離れていた冨安健洋(アーセナル)と酒井宏樹(浦和)が復帰。吉田麻也も新天地・シャルケでタフな戦いを続けており、守備陣の経験値は高まっている。

 長友自身はちょうど1年前に復帰したFC東京で左右のSBで臨機応変にプレー。厳しい評価にさらされることもあるが、「自分はまだまだ世界の大舞台でやれるんだ」と鼻息が荒い。

 そのパッションは36歳になった今、増す一方だ。22日の取材対応時にも川島に「熱量がすごい」といじられたほど。「そりゃ熱量あるでしょ。それがなかったら、もうここにはいられない」と39歳のチーム最年長GKに言い返す姿はサッカー少年そのままだ。

 日本からの移動で練習合流が遅れた分、米国戦のスタメン出場は難しいだろう。が、26人登録・5人交代のカタールW杯は過去にない総力戦。大ベテランにも必ず仕事が巡ってくるはず。

 それを確実に遂行し、長谷部という偉大な先輩を納得させるような形に持っていってほしい。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

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