長谷部が大絶賛 フランクフルトMF鎌田大地の未来予想図

長谷部が大絶賛 フランクフルトMF鎌田大地の未来予想図

リエージュ戦後に取材に応じた鎌田大地(写真)元川悦子

元川悦子【代表欧州組 直撃行脚19-20】

鎌田大地(フランクフルトMF・23歳)

 ◇  ◇  ◇

 昨季の欧州リーグ(EL)で4強入りを果たしたフランクフルト(ドイツ)だが、今季ELはグループリーグ初戦でアーセナル(英プレミア)に0-3の大敗。いきなり暗雲立ち込める状況を強いられた。それでもギマラエス(ポルトガル)との2戦目は勝利し、迎えた24日のスタンダール・リエージュ(ベルギー)とのホーム決戦。2位以内でグループを突破するためには、勝ち点3で並ぶ相手を絶対に倒さなければならない。その大一番で異彩を放ったのが、23歳の日本人アタッカーの鎌田大地だった。

 最初の見せ場は前半29分だった。ペナルティーエリア外側左のフリーキックを任され、精度の高いキックをひと蹴り。ファーサイドからDFアブラハムが飛び込んで頭を合わせ、見事な先制点をお膳立てしてみせた。

 後半は2列目から最前線に上がってFWパシエンシアと2トップを形成。これで攻撃が活性化され、フランクフルトは何度も一気呵成に攻め込む。

そして後半27分、再び鎌田の右CKからDFヒンテレッガーの強烈ヘッドがさく裂。「セットプレーの練習もしてなくて『大体ここに蹴る』という感覚でやっていました」と言いながらも、彼は1試合2アシストという離れ業をやってのけたのだ。

 終盤に1点を失ったフランクフルトにとって、鎌田がもたらした2点の意味は非常に大きかった。最後尾からチームを支えた大先輩の長谷部誠も「相手がブロックを作って守る苦しい戦いの中、セットプレーで2点取れたのは大きかった。大地のボールが良かったし、やっとセットプレーからアシストがついたんでよかった」と絶賛。「彼は欧州3年目で年齢的にも成長曲線が右肩上がりと言わずに垂直くらいに上がっていく時期。これからが楽しみですね」と目を細めた。

■「パイプ役になることを第一に」

 欧州初参戦となった2シーズン前は、フランクフルトで公式戦4試合出場にとどまった鎌田。だが、昨季レンタル移籍したシントトロイデン(ベルギー)で公式戦15得点。目覚ましい飛躍をヒュッター現監督に高く評価された。今季開幕前はイタリア移籍の噂も流れたが、指揮官が残留を熱望。フランクフルトでここまで公式戦17戦に起用されている。

「ドイツはベルギーと強度が全然違う。9月の代表ウイークまでは体中のいろんなところに痛みがあった。僕は足の裏の靴擦れなんかしたことなかったのに、スプリントの回数が増え、1個1個の動作の負荷が上がって腰も痛くなったりした」と本人も序盤はハイレベルな環境への適応に苦しんだという。

しかし、持ち前の賢さと戦術眼を駆使して攻撃陣の繋ぎ役として奮闘。ゴールこそ現時点で1点のみだが、アシストは早くも6を記録している。

「去年のシントトロイデンでは上(格上のリーグ)に戻るために点だけにこだわった。得点以外は何もしてなかったと思う。でも今はチームとしてうまくボールを前に運べるように自分が動き回り、パイプ役になることを第一に考えています。得点が伸びていないのは事実だけど、自分のプレーがダメだとは思っていないし、我慢強く続ければ数字はついてくるはず。シーズン通して10点はいかなくても7、8点は行けると思ってる。ポジション争いも激しいので結果を出さないといけないですね」と鎌田は語気を強めた。

 かつては香川真司(サラゴサ)や清武弘嗣(セレッソ大阪)らが大活躍し、2ケタ近い日本人がプレーしたドイツ・ブンデスリーガだが、今季の1部在籍者は3人だけ。日本人プレーヤーの価値低下が懸念される状況だ。そんな中、彼は「日本人でも5大リーグのトップ下に君臨できることを証明する」と目をぎらつかせている。

「自分がやりたいのは10番のポジション。それはサガン鳥栖にいた時も今も同じ。欧州主要リーグで中盤の真ん中をやれる日本人選手はあまりいないし、ブンデスの日本人も減ってしまったので、また評価が上げられるように頑張らないといけないと思っています」

 10日のカタールW杯アジア予選モンゴル戦(埼玉)で代表初ゴールを挙げるなど進境著しい鎌田大地。今回の2アシストをきっかけにこの男がドイツをさらに席巻する可能性は少なくない。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

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