PSV対AZオランダ上位対決は意外な結果 堂安律と菅原由勢“明暗クッキリ”の真相

PSV対AZオランダ上位対決は意外な結果 堂安律と菅原由勢“明暗クッキリ”の真相

堂安律(写真)元川悦子

元川悦子【代表欧州組 直撃行脚19-20】#4

堂安律(PSV・FW)/菅原由勢(AZ・DF)

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 今夏フローニンゲンから名門PSVへ赴いた日本代表FW堂安律。同じくこの夏名古屋からAZにレンタル移籍した19歳の菅原由勢のオランダ初対戦となった27日のアイントホーフェンでの一戦。ホームの格上PSVが圧倒的有利と見られたが、試合は予期せぬ方向へと進んでいったーー。

 今季とオランダリーグ得点ランクトップに立つFWマレンら主力3人をケガで、2人を出場停止で欠くPSVは序盤からパスミスを連発。熱狂的サポーターからブーイングを浴びせられるほどの悪い入りを露呈した。

 その流れに拍車をかけたのが、前半20分のMFトーマスの一発退場。早くも10人になる中、右サイドに陣取った堂安は必死に流れを変えようとアクションを起こすが、空回りしてしまう。

 苦しむ名門を尻目に、AZは前半終了間際にエースFWボードゥが立て続けに得点。2−0で折り返すことに成功した。

 迎えた後半、堂安の姿はピッチから消えていた。ファンボメル監督はフレッシュな選手を入れて巻き返しを図りたかったのだろうが、交代は奏功せず、点を追加されてしまう。0−4の大敗というのは想定外の結果。試合後、報道陣の前に現れた21歳のアタッカーはぶ然としていた。

「交代の理由? それは分からないです。今日は主力が何人かいない中、前半何とか引っ張ろうと思って試行錯誤しながらやりましたけど、後半代えられてしまった。監督とは明日話をしようと思っています」と堂安は屈辱感をにじませた。

 9月序盤の、加入後は公式戦9戦に出場して1ゴール。最近5試合連続先発と存在価値を高めていただけに、今回の扱いはショックだったに違いない。

 名門クラブの一員になった以上、熾烈なレギュラー争いを強いられるのは当然だが、当面は少し立場が厳しくなるかもしれない。

 日本代表の先輩・長友佑都(ガラタサライDF)も「律の向上心は凄まじい」と太鼓判を押していたが、苦境から這い上がってこそ真のスターになれる。堂安の反骨心と反発力に期待するしかないだろう。

菅原はAZの主力入り間近か

 彼と対照的に笑顔でミックスゾーンに現れたのが菅原だ。今回は得点に直結するプレーこそなかったものの、右MFで周囲と絡みながら数多くの攻撃チャンスを作った。もともとは右サイドバック(SB)で、名古屋時代は3バックの一角を担うこともあったが、AZ移籍後はアタッカー起用が目立つ。

 24日の欧州リーグ(EL)・アスタナ戦でもゴールを奪ったように、確実にプレーの幅を広げつつある。

「アヤックス、PSV、フェイエノールトのビッグマッチはモチベーションがメチャメチャ上がります。相手を倒しに行く気持ちで挑んで、自分たちが頭を使いながらボールを保持して押し込めたのが今日の勝因かな、と。僕も何回かワンツーで背後を突けたし、相手を観察しながらサッカーできるようになってきた。そこは成長している部分だと思います」と本人も自信を見せていた。

 2つ年上の堂安とはオランダ初対決。近未来のA代表を目指す菅原にとっては、理想像のひとりと言えるだろうが、今回に限っては先輩以上の輝きを放つことに成功した。

「堂安選手がボールを持つとやっぱり怖さがあるなとは感じました。同じピッチに立った45分間はぶつかり合うこともありませんでしたが、自分もA代表に入れるチャンスがあると感じることができました。すべては自分次第。より頑張りたいと思います」と成長著しい若武者は目を輝かせた。

 10月のU−22代表のブラジル遠征メンバーにも選ばれ、来年の東京五輪参戦の可能性も高まりつつある。DFからSB、アタッカーまでこなしてしまうマルチ選手は森保一監督としても喉から出が出るほしいはず。

 今季AZではまだ出たり、出なかったりだが、この調子なら主力の座をつかむのも早そうだ。

 そんな菅原ら年下の追い上げを堂安は前向きな刺激にできるのか? オランダでの日本人バトルはこれからが本番だ。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

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