中島翔哉と前田大然がポルトガルで初の直接対決 ドロー決着の先にあるものは何か

中島翔哉と前田大然がポルトガルで初の直接対決 ドロー決着の先にあるものは何か

試合前ウォーミングアップするポルト中島(写真)元川悦子

元川悦子【代表欧州組 直撃行脚19-20】#5

中島翔哉(ポルトMF)/前田大然(マリティモFW)

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 6月のコパ・アメリカ(ブラジル)で日本代表の背番号10を背負った中島翔哉(ポルトMF)と主軸FWたる9番をつけた前田大然(マリティモ)。今季からそろってポルトガル1部でプレーする2人が日本時間10月31日の第9節で初めて顔を合わせた。

 舞台となったのは、あのユベントスFWクリスティアーノ・ロナウド(ユベントス)の故郷フンシャルにあるマリティモの本拠地であるエスタジオ・ド・マリティモ。ポルトガル本土から飛行機で2時間を要する大西洋の離島にあるスタジアムだ。

「普段の試合は観客が少ないけど、ポルト、ベンフィカ、スポルティング・リスボンの3強との対戦時は満員ですね」と前田が言うように、この日は約1万収容のスタンドがギッシリ埋まった。

 日中の最高気温が30度近くまで上がるなど真夏のような熱気に包まれる中、前田は4−1−4−1の右MFで先発出場。控えの中島はベンチから戦況を見守った。

 この時点でリーグ首位にして欧州EL参戦中のポルトは超過密日程の真っ最中。リーグ得点上位のゼ・ルイスやマレガら主力数人を外して試合に挑んできた。それでも1部中位のマリティモとの実力差は大きく、序盤から圧倒的にボールを支配。敵陣に攻め込んだ。

 とはいえ、「回されるのは想定内」と前田が語る通り、マリティモは高い守備意識で応戦。相手に自由を与えない。そして開始11分、セットプレーから先制に成功する。前田はその後も自慢の快足を武器に上下動を繰り返し、主に守りでチームに貢献していた。

 ポルトのコンセイソン監督もここまま黙っているわけにはいかない。後半になって温存していたゼ・ルイスを投入。同18分には2枚目のカードに中島を選択した。背番号10は指揮官の指示通りに左・中央・右・左と目まぐるしくポジションを変えながらプレーするが、効果的な攻めを見せられない。

 逆に前田らにボールを奪われてカウンターを繰り出されるシーンもあり、新天地で苦しんでいる様子が色濃く伺えた。

 ポルトは終盤、ポルトガル代表DFぺぺの同点弾でドローに持ち込んだが、ベンフィカに首位を明け渡すことに。中島自身も直近公式戦4試合先発落ちという苦境を抜け出すきっかけをつかめずに終わってしまった。

中島は試合後のコメント・写真ともにNG

 試合後、取材エリアのミックス・ゾーンで中島に声をかけると「話ができないんです。ごめんなさい」と即座に断られた。

 コンセイソン監督は厳しい報道管制を敷いており、試合後の取材を許していない。中島は10月の日本代表シリーズの際も「ポルトのことは話さないでって言われているので……」と言葉を濁していたが、本人はそれを順守しているのだ。

 前田との2ショット写真くらいはいいだろうと思って尋ねると「それもダメなんです」と申し訳なさそうに言う。「楽しいサッカー」をモットーとする中島には、非常にやりづらそうな環境に映った。

 多彩な攻撃タレントを擁する名門でいかにして地位を勝ち得ていくのか?

 彼はその術を懸命に模索していることだろう。一番の近道はゴールに直結する結果だが、指揮官は攻守のバランスも重んじる。攻撃偏重型の中島は守りの課題克服に努めなければいけない。今が辛抱のしどころだ。

 一方の前田は大一番でフル出場。サントス監督から攻撃の主軸の1人と認められ、一定の立場を確立させている状態だ。

「マリティモに来てからは2トップの一角か右MFに入ってます。現時点でリーグ2得点というのはまだ少ないかな。数字を引き上げるためには、もっと個人で打開できるようにならないといけないですね。ただ、9月にU−22代表に呼ばれた時は、自分から割と仕掛けられるようになっていた。少しずつ成長はしてると思います」と本人も手ごたえを口にする。

 ポルトのような欧州トップチームと対峙する経験は、松本山雅という地方のJクラブに在籍していた彼には大きな意味がある。それを糧に一歩一歩進んでいくしかない。中島よりも比較的恵まれた環境にいる前田には.そのチャンスが転がっている。今後の飛躍を楽しみに待ちたい。

(元川悦子/サッカージャーナリスト)

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