22節にわたり首位死守も…FC東京はなぜJ初Vを逃したのか【六川亨のフットボール縦横無尽】

22節にわたり首位死守も…FC東京はなぜJ初Vを逃したのか【六川亨のフットボール縦横無尽】

久保建英のマジョルカ移籍も痛かった(C)日刊ゲンダイ

【六川亨のフットボール縦横無尽】

Jリーグ2019年シーズンを振り返る(2)

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 J1リーグの2019年シーズン最終節でリーグ2位のFC東京は、首位の横浜FMに4−0で勝てば逆転でリーグ初制覇となっていた。しかし、結果は0−3で敗れ、悲願は幻と消えた。

 試合後、FC東京の長谷川健太監督は、次のように今シーズンを振り返った。

「1位でいた試合数は1番(多い)。ただ最後に1番にならないと何も得ることはできない。こういうプレッシャーの中で1年戦った。アウェー8連戦もあった中で選手の頑張り、クラブのサポート、サポーターの声援とたくさん応援してもらった。クラブの力は見せることができた。ぜひそれが実を結ぶような来季にしていければと思いました」

 長谷川監督の言うように、FC東京は22節に渡って首位の座を死守した。開幕から12試合無敗(9勝3分け)のクラブ新記録を打ち立て、第9節から第26節まで18節連続して首位に立った。第26節で鹿島に0−2と敗れたことで鹿島に首位を譲り、第8節以来となる2位に後退したが、すぐに首位を奪い返している。

 ラグビーのワールドカップが開催されたことで8月24日から11月9日までホームの味の素スタジアムを使えず、アウェー8連戦というJリーグで初の苦難も経験した。

 移動の繰り返しに「切り替えるのが難しかった」と長谷川監督は振り返ったが、4勝2分け2敗で乗り切って「勝てない試合もあったが、内容は悪くなかった」と手応えも口にした。

■節目はアウェー8連戦の後に

 そして9試合ぶりにホームに戻った第32節の湘南戦である。この試合が、結果的にFC東京のターニングポイントとなった。

 6連敗中の湘南は、J1参入プレーオフ圏内の16位に低迷しているだけに残留に向け、なりふり構わずに必死だ。

 試合は前半36分、左サイドを崩されて先制されてしまう。湘南は得意とする豊富な運動量でFC東京を上回り、積極的に攻め入ってセカンドボールを拾っては攻勢に出る。

 0−1のまま突入したアディショナルタイムは4分だった。そして後半49分、こぼれ球をDF森重真人がミドルで狙う。「(ゴールの)枠に飛ばすことだけを考えた」という森重のボレーは、右ポストを叩いてからゴールに吸い込まれていった。

 土壇場で起死回生の同点弾が決まり、1−1のドローに追いついたのである。

 それまで2位につけていた横浜FMは、松本に勝って勝ち点を64に伸ばす。FC東京は、勝てば勝ち点65で首位をキープできたが、勝ち点1を積み上げただけで勝ち点は63に止まった。

 長谷川監督は「負けて終わるのと引き分けて終わるのでは違う。(負けていれば)マリノスと2差になって厳しかった。そういう意味では踏みとどまったという感じ」と言った。まさにその通り。何とか首の皮1枚で優勝争いに踏みとどまった一戦だった。

 FC東京は、続く第33節の苦手とする浦和戦も先手を許す苦しい展開となった。

 それでも、鳥栖から移籍してきたFW田川亨介が新天地での初ゴールを決め、1−1の引き分けに持ち込んだ。試合後の会見で長谷川監督は「(前節ホームの)湘南戦は、アウェーが続いていたのでアウェーの戦い方になってしまった。自分たちでスイッチが入らないような戦い方で湘南に15分過ぎから主導権を握られた」とドローに終わった湘南戦の戦い方を悔やんだ。

 そして、浦和戦に関しては「この引き分けは致し方ないかな、と。浦和も力のあるチームで1点取れれば今季は守りに長けたチーム。そこをこじ開けて1点返したのは選手の成長」と評価した。

 2試合連続のドローでFC東京の勝ち点は64。一方、連勝の横浜FMは67。FC東京は勝てば勝ち点67で並ぶものの、得失点差の関係で優勝するには4点差以上の勝利が必要となる。

 日本代表MFの橋本拳人は「4点差以上つけないといけないというのは、逆に吹っ切れてプレーできる。2位以下はもうないし、こういう思いで戦うのは初めてですけど、失うものはない」と最終戦に向けた決意を語った。

 結果は0ー3で横浜FMが逃げ切った。

 序盤戦はFC東京が白星を重ねたが、横浜FMは第24節から11試合負けなし(10勝1分け)と素晴らしい戦いを重ね、FC東京や鹿島を追い抜いて有終の美を飾った。

■久保建英の抜けた穴も埋められず

 FC東京が、優勝を逃した原因は何か?

 それはいくつかあるが、長谷川監督がいつも嘆いたのは「決められるときに決めきれない」決定力不足だ。ディエゴ・オリベイラが14ゴール、永井謙佑は9ゴールとFWはそれなりの結果を出したが、主だった得点源が2人では厳しい。

 シーズン中に元韓国代表のFWチャン・ヒョンスが抜け、その穴はFW渡辺剛がしっかりと埋めてくれたが、序盤のチームを牽引したMF久保建英のマジョルカ移籍も痛かった。神戸からMF三田啓貴を獲得したとはいえ、主戦場を馴染みのあるスペインに戻した18歳MFの抜けたピースを埋める存在にはなれなかった。

 それでも長期にわたって優勝争いを演じられたのは、横浜FMや鹿島、川崎Fが主力選手の負傷に苦しんだのに対し、FC東京は主軸のほとんどが健在だったからだ。勝ち点64にしても、2位という成績にしても、クラブの過去最高でもある。

 続投の決定している長谷川監督のもと、来季こそJ1の頂点を目指してもらいたい。

(六川亨/サッカージャーナリスト)

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