西野ジャパンは3バック or 4バック? キャプテン長谷部は5バックになることを警戒!

西野ジャパンは3バック or 4バック? キャプテン長谷部は5バックになることを警戒!

日本代表合宿の全体練習で3バックの中央に入った長谷部 誠。

日本代表率いる西野朗新監督の目指すサッカーが、おぼろげながら見え始めてきた――。

先月12日の就任会見では具体的なスタイルについて明言を避けていたが、招集選手全員が揃ってから始まった代表合宿の全体練習では30日のガーナ戦、そしてW杯本番を見据えての戦術トレーニングが精力的に行なわれている。

そこで西野ジャパンがトライしていた注目のシステムは、3−4−2−1。ハリルホジッチ前監督時代は一貫して4バック(4−2−3−1もしくは4−3−3)を採用していたため、日本代表としては久しぶりの3バックということになる。

とはいえ、過去にも日本代表が3バック(または5バック)を使っていたことは何度かあった。例えば、加茂周監督時代(1995年1月〜1997年10月)のアジア最終予選。同じく同予選中に加茂監督からバトンを受けた岡田武史監督時代(97年10月〜98年6月)の98年W杯本大会とその準備期間。

そして、フィリップ・トルシエ監督時代(98年10月〜02年6月)は在任期間を通して自ら“フラット3”と呼んだ3バックを採用していた。

さらに、その後を継いだジーコ監督時代(02年10月〜06年6月)もベースは4バックながら中村俊輔をトップ下に置く3−4−1−2を併用し、W杯本番の初戦(オーストラリア戦)でもそれを採用。

その後もイビチャ・オシム監督時代(06年8月〜07年11月)は3バックと4バックの複数システムを使い分け、アルベルト・ザッケローニ監督時代(10年10月〜14年6月)も3−4−3を数回だけテストしたことがある。

一方、ガンバ大阪時代における4バックのイメージが強い西野監督自身も3バックを採用していたことがある。

あの“マイアミの奇跡”で知られる96年アトランタ五輪では、グループリーグのブラジル戦とナイジェリア戦で城彰二を1トップに前園真聖と中田英寿を2シャドーに配置した3−4−2−1を、ハンガリー戦では城と松原良香の2トップ下に前園を置く3−4−1−2を使っている。

また、ガンバ時代も就任初年度の02年、翌03年は木場昌雄、宮本恒靖、山口智を最終ラインに並べた3−4−1−2または3−4−2−1を採用し、DFシジクレイが加入してリーグ初優勝を飾った05年、翌06年に使われていたのも3−4−1−2だった。

こうして見ると、日本代表及び西野監督と3バックは無縁ではない。むしろ、「前任者ハリルホジッチのスタイルをある程度踏襲」(西野監督)しながら、チームに変化を与えるためには最も着手しやすい戦術変更ともいえる。

しかし厄介なのは、同じ3バックでもそのトレンドは時代とともに変化を遂げているという点だ。

今大会でもベルギー、イングランド、アルゼンチン、ロシアといったチームが3バックをメインの布陣とし、日本と同組のポーランドやセネガルもオプションとして3バックのテストを実施している。だが、中盤と前線の並びや攻守のメカニズムはそれぞれ異なっているのが実情だ。5バック気味のコスタリカのような守備重視の布陣もあるが、現在はより攻撃的な3バックが主流になっている。

では、西野ジャパンのそれはどうなのか?

27日の戦術トレーニングで見えてきたのは、できるだけ両ウイングバック(3−4−2−1の「4」の両サイド)が下がって5バックにならないように意識し、全体をコンパクトにして前からはめて守備をしていく姿勢である。

そのため、どちらかといえば攻撃を重視した3バックを目指していると言っていい。

この日、行なわれた4バックの相手を想定した戦術トレーニング1本目のメンバーは、3バックは右から吉田麻也、長谷部誠、槙野智章、右ウイングバックに酒井宏樹、左に長友佑都、ダブルボランチは山口蛍と柴崎岳。2シャドーは右に原口元気、左に宇佐美貴史、1トップに大迫勇也という陣容。

2本目は、3バックが吉田、長谷部、昌子源、右ウイングバックに原口元気、左に長友、ダブルボランチは山口と大島僚太、2シャドーは右に本田圭佑、左に香川真司、1トップに岡崎慎司が入った。

フィールドの縦幅を短くして行なわれたこのトレーニングでは、特に両ウイングバックの背後を突かれた時の対処に多くの時間が割かれていた。とりわけ、慣れない右ウイングバックに入った原口は自分が追うべきか、近いサイドの吉田のカバーリングに任せるべきか、その判断基準を修正する練習を繰り返し行なっていた。

要するに、このシステムにおけるウィークポイントに対していかに対応していくか、という部分だ。背後をとられるのが怖くなれば、当然ながら両ウイングバックは前に出られなくなって5バックになってしまう。サッカーは相手があってのスポーツなので、おそらくそこが攻撃的か守備的かの境目となることは間違いない。

所属のフランクフルトで3バックのセンターを経験したことで、図らずも代表でも同じポジションを任されることになった長谷部も5バックになることを警戒する。

「5バックにはならずに、とにかくウイングバックをできるだけ押し上げて、センターバックの選手がサイドにスライドする。4バックになる形もありますし、中盤で浮いている相手がいたら後ろ3枚の誰かが前に出ていくことも必要だと思います」

もちろん、この新システムを実戦で試した場合はまた違った問題が浮上する可能性は高い。陣形をコンパクトに保てない場合はどう対処するのか? 相手のドリブルで1枚、2枚と剥がされた後に生まれるギャップをどのように埋めて守るのか? そして、ボールを奪った後、守備から攻撃への切り替えの部分についてはまだ手つかずの状態だ。30日に行なわれるガーナ戦の見どころは、そこに集約される。

もっとも、西野監督が3バックだけで本番に挑もうとしているのかどうかはまだわからない。実際、キャプテンの長谷部は4バックとの併用の可能性もほのめかしている。

「4バックは慣れている部分があるので、まずは3バックにトライしてみようということだと思います。両方の形を持っていることは自分たちの強みになると思いますし、そういう意味ではこのトライはすごく面白いものだと思います」

いずれにしても、西野ジャパンの“新システムお披露目試合”となるガーナ戦は要注目だ。本番ではコロンビア、セネガル、ポーランドと、今回対戦する若手主体のガーナとは別次元の強豪チームと対戦するだけに、初陣である程度の可能性を見出せなければ、4バックに戻すという可能性も十分にあると見ていいだろう。

(取材・文/中山 淳 写真/アフロ)

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