「修行だ」──ロシアW杯で日本人記者を待ち受けていた試練の連続

「修行だ」──ロシアW杯で日本人記者を待ち受けていた試練の連続

チケットデスクに群がる各国取材陣。モスクワの2会場では“取材難民”も多発

現地観戦の難易度は前々回(南アフリカ)、前回(ブラジル)に比べれば、はるかに低い。

そう言われていた今大会だが、実際にロシアを訪れた日本メディア&サポーターには数々の試練が待ち受けていた。

スポーツライターの栗原正夫氏がレポートする!

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過去2回の開催地、南アフリカとブラジルに比べると、ロシアは地理的にも近く、テロの不安がないわけではないが、治安もおおむね良好。街全体がお祭りムードのなか、W杯を満喫できるかと思っていたのだが…早速、開幕戦で出鼻をくじかれた!

■試合を観戦できない!

W杯で試合を現地取材するには「記者証」に加えて、希望する試合ごとにそれぞれ申請をし取材チケットを得る必要がある。当然、人気カードには多くの申請が殺到。過去の大会でも、希望者全員にチケットが行き渡らないことはまれにあった。

だが、今大会ではそれが頻発している。例えば、地元ロシアが出場した開幕戦、その2日後に行なわれたアルゼンチンvsアイスランド戦などがそう。筆者を含めてスタンドに入れない記者、ピッチに入れないカメラマンが多数出てしまったのだ。はるばるロシアまで来たのに、プレスセンターのモニター越しに試合を眺めるしかないなんて実に虚しい…。

メディアを統括するFIFA(国際サッカー連盟)のプレスオフィサーによれば、「今大会は11都市12会場で行なわれるが、取材者の拠点は(首都)モスクワに集中している。地方会場は問題ないが、モスクワでの取材は簡単でない」とのこと。

通常、FIFAが取材チケットを配る優先順位は「(試合の)当該国→(大会)出場国→不出場国」ということになっているが、開幕戦を取材できなかった旧知の日本人ライターは「なぜか(不出場国の)モンゴルの記者がもらっていた」と肩を落としていた。先行きが不安である。

■移動が大変!

ロシアの国土は世界最大。日本の約45倍だ。それだけに都市間の移動もラクじゃない。日本代表がコロンビアに勝利したサランスクには約5千人の日本サポーターに対し、約2万人のコロンビアサポーターが集まったが、話を聞いたコロンビアの男性サポーターはこうコボした。

「(コロンビアの首都)ボゴタから、スペインのマドリード、ドイツのフランクフルトを経由し、約25時間かけてモスクワに来たと思ったら、モスクワからサランスクまで電車で片道10時間だからね。まさか日本に負けるなんて思ってもいなかったし、最悪な帰り道だね(苦笑)」

もちろん、電車だけでなく飛行機もある。だが、W杯期間中は代金もアップ。メディアやサポーターのために無料の特別列車が出ているので、それを利用する人が多いのだ。

モスクワからセネガル戦の会場となるエカテリンブルクまでは約25時間、ポーランド戦の会場となるボルゴグラードまでは約23時間。筆者はなんとか航空券を手に入れたが、モスクワから中3日で第2、3戦をともに列車で行くという知人の記者は「修行だ」とビビッていた。

■英語が通じない!

観戦者泣かせといえば、言葉の問題もある。一般的に多くのロシア人は英語が話せない。だが、そのレベルがちょっと衝撃的なのだ。

例えば、モスクワのホテルのフロントでのこと。深夜にどうしても水が飲みたくなって「水をください」と言ったものの、「水(water)」が通じない。また、サランスクのホテルでは、カギをもらおうと部屋番号を伝えても理解してもらえず、英語ができる担当者が来るまで5分ほど待たされることに。

コロンビア戦後、意気揚々と引き上げてきた20代の日本人女性サポーターもやはり「英語が通じない。モスクワの地下鉄で何度も乗り間違えました」と語っていた。

大都市モスクワでは地下鉄も充実しており、慣れれば使い勝手はいい。だが、英語の案内表記が少ないのは困りもの。以前よりも増えたものの、メインはロシア語で使うキリル文字。筆者も、うっかり乗り換えに失敗したことは一度や二度じゃない。

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(取材・文・撮影/栗原正夫)

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