ポーランド戦はさらにアグレッシブに! 宮澤ミシェルが日本代表に求める「耐久力」と狙い目

サッカー解説者・宮澤ミシェル氏の連載コラム『フットボールグルマン』第52回。

現役時代、Jリーグ創設期にジェフ市原(現在のジェフ千葉)でプレー、日本代表に招集されるなど日本サッカーの発展をつぶさに見てきた生き証人がこれまで経験したこと、現地で取材してきたインパクト大のエピソードを踏まえ、独自視点でサッカーシーンを語る――。

今回のテーマは、W杯での日本代表の戦いについて。次の試合、ポーランドと対戦する日本だが、エースのレバンドフスキを筆頭に強さ、高さ、速さのある選手がそろう格上の強豪に対して、どのように戦うべきなのかを考察する。

*****

セネガル戦に2−2で引き分けて、勝ち点を4にした日本代表は第3戦のポーランド戦の結果次第で決勝トーナメントに進出できる可能性を残している。

日本代表のFIFAランキングは61位。ポーランドは8位。ランキングだけを見れば実力は雲泥の差があるけれど、ランキング通り結果にならないことは、日本代表がW杯初戦のコロンビア戦で証明してくれている。

グループリーグ最終戦、28日のポーランド戦に臨む日本代表が勝利を手にするためには、やはりコロンビア戦と同じように試合の最初からアグレッシブに戦うことがポイントになる。

コロンビア戦では試合開始3分に大迫勇也のシュートのリフレクションを拾った香川のシュートをペナルティエリア内で相手選手が腕で止めてPK。あの瞬間、ぼくはロシアのホテルのTVの前で「ハンド!」って大声で叫んでいたけれど、きっと日本中が同じように叫んでいたんじゃないかな(笑)。

しかも、コロンビアの選手にレッドカードが出されたことで、日本代表がひとり多い数的優位な状況で戦えた。あれがハンドじゃなくて、足をかけて倒したとかならイエローカードだったんだけど、決定機を防ぐための意図的なファウルは一発レッドとなることがほとんどだからね。

前半、長谷部誠のアンラッキーなファウルの判定で与えたフリーキックから一時は同点にされたけれど、後半は勝ち点3を奪うために日本は積極的に仕掛けた。この姿勢が大迫の勝ち越しゴールにつながったんだよ。

当初のプランが「コロンビアから勝ち点1」狙いだったから、日本代表には「同点にされた後の後半はリスクを負わずに勝ち点1でもいい」という考え方もあったはずだけれど、勝ち点3を手にするためにアグレッシブに戦った。

格上のコロンビアに勝利して「ミラクル」とか「サプライズ」とか言われているけれど、日本代表は単に運がよかっただけで勝ったわけじゃない。第2戦のセネガル戦もそうだけど、90分間、アグレッシブにいったことが相手にプレッシャーをかけ、運も引き寄せることになったんだ。

だから、ポーランド戦もアグレッシブに臨んでほしいし、積極的に仕掛けながら運を自分たちの手でつかみ取ってもらいたい。

ポーランドはセネガル戦では組織的だったフィジカルの高さを生かしたプレッシャーに苦しみ、いいところをほとんど出せなかった。だから、日本代表もセネガルがやったような守備ブロックを構築して、プレスをかけてカウンターを狙う手もある。ただ、セネガルと日本ではフィジカルとパワーが違いすぎるので同じことはできないだろうね。

日本代表の場合、味方同士の距離をコンパクトに保つことを意識しながら、前線や中盤から連動してプレスをかけていくしかない。前線の選手がプレスをかけてパスコースを限定し、パスの受け手になる選手をふたり、3人ですぐに囲い込んでボールを奪っていく。まずはその繰り返しだろう。

ポーランドの攻撃はサイドから展開するケースが多いけれど、そこが塞がれるとセントラルMFのクリホビアクやジエリンスキにボールが戻る。ここが狙い目だ。

彼らは相手からプレッシャーを受けると、スルーパスを出さずにDFラインにボールを戻して作り直そうとする。テクニックは大迫や香川真司が上だから、日本は連携しながらアグレッシブにボールを奪いにいけば、相手のミスを誘発できるはずだ。

ただ、ポーランドの選手は体が大きく、フィジカルが強靱だから、プレッシャーをかける時に1回で止めようとするとかわされてピンチを招く。だから、1回で奪えなくても2回、3回としつこく食い下がる。チーム全員で粘り強く守る準備が大事になる。

ストライカーのレバンドフスキは技術が高くてフィジカルも強いし、足も速いから怖い存在なのは間違いない。前線で彼にパスが入った時は前を向かせないようにすることが何よりも大事だし、クロスボールでは先に体をぶつけても吹っ飛ばされるのを想定して、すぐ2度目の守備ができるようにしてもらいたい。

気を張り続けないといけないから、DFにとっては精神的にも肉体的にも「耐久力」が必要なキツイ仕事だけど、これをやり遂げられれば勝ち点を手にできるはずだ。レバンドフスキのところにボールが入らなければ、彼は中盤に下がってくるけど、パスコースを消してしまえば相手は手詰まりになる。そこでボールを奪えれば、日本のチャンスになるはずだ。

ただ、日本代表が90分間、フルパワーでプレッシャーをかけ続けることは難しいだろう。だから、コロンビア戦、セネガル戦で見せたようなクレバーなサッカーをもう一度見せてもらいたい。パスを回すところは回して、相手を焦らしたり食いつかせたりしながら、細心かつ大胆に攻撃していけば、必ずチャンスが増えるはずだ。

日本代表がポーランド戦も積極的に仕掛けていけば、再び運も味方につけられるし、勝利を引き寄せられるのは間違いない。しっかり応援して、みんなで決勝トーナメントに行きましょう!

(構成/津金壱郎 撮影/山本雷太)

■宮澤ミシェル







1963年 7月14日生まれ 千葉県出身 身長177cm フランス人の父を持つハーフ。86年にフジタ工業サッカー部に加入し、1992年に移籍したジェフ市原で4年間プレー。93年に日本国籍を取得し、翌年には日本代表に選出。現役引退後は、サッカー解説を始め、情報番組やラジオ番組などで幅広く活躍。出演番組はWOWOW『リーガ・エスパニョーラ』『リーガダイジェスト!』NHK『Jリーグ中継』『Jリーグタイム』など。

関連記事(外部サイト)