タイに勝っても不安だらけ? ハリルホジッチ監督にオススメの新戦力

タイに勝っても不安だらけ? ハリルホジッチ監督にオススメの新戦力

先制点を決めた原口元気。先発出場で結果を出した

アウェーでのタイ戦を0−2で勝利したサッカー日本代表。前半19分に先制点を叩き込んだ原口元気、そして後半30分にダメ押しゴールを決めた浅野拓磨が、この試合のヒーローとしてスポットライトを浴びた。

しかし、この勝利に大きく貢献した“陰の功労者”も忘れてはいけない。それが、左サイドバックの位置からチーム全体を俯瞰(ふかん)しながらプレーしていた酒井高徳である。

「試合中に自分で判断して、(原口)元気に対して『我慢してワイドに開いていてくれ』と、定期的に伝えました。

やっぱり、前線の選手たちが相手ディフェンスの裏に抜け出す縦への動きを意識するあまり、どうしてもゴールに近い中央にポジションをとってしまいがちになる。でも、そこを我慢して外に開いておくことで、(トップ下の香川)真司君のスペースも広くなってくるし、右にサイドチェンジしたときの効果も大きくなる。

それに、今日は右サイドの圭佑(本田)君と宏樹(酒井)で前にガンガン攻めていたので、そこはバランスを見て、左の僕は攻撃参加を控え気味にしました」

ハリルホジッチ監督のサッカーは、「縦に速く攻める」ことをモットーとしている。しかし現在のチームはその意識が強すぎて、酒井(高)が試合後に振り返ったように、どうしても攻撃が中央に偏る傾向がある。

とりわけ、ゴール前に多くの人数をかけて守るタイのような相手に対してはこの傾向がより顕著となって、結果的に攻めあぐむシーンが増えてしまう。これがチャンスが多いわりに得点できない最大の原因だ。

その点において、この日の原口が躍動して見えたのは、酒井のサポートが大きく影響したと言っていいだろう。また、「本当は僕もアシストやゴールといった結果がほしいので、もっと攻撃参加したかった(笑)」という自分の気持ちを抑え、チーム全体のバランスを優先した判断力も称賛に値する。

しかし、その一方でまだまだ日本代表の攻撃が機能しているとは言い難いのも事実だ。今後も、アジア最終予選では対戦相手が日本の攻撃を防ぐべく、タイのようにゴール前に人数をかけて守ってくることが想定される。だとすれば、やはり攻撃のバリエーションはもっと増やしておく必要があるだろう。

ゴール前中央に選手が集結して「交通渋滞」を起こした場合、解決策は主に3つある。ひとつは今の日本の攻撃陣に欠けている「ハイボールでの攻撃」。もうひとつは、個人による打開によって相手の守備網に穴を開ける「ドリブル突破」。そして「ロングシュートやミドルシュート」だ。

ロングシュートとミドルシュートについては、選手たちに精度を上げる努力をしてもらう他ないが、ひとつ目とふたつ目については、それぞれを武器とする選手を招集すれば問題の解決策になるはずだ。

まずハイボールは、地上がどんなに混雑していても空中にはスペースがあるため、地上戦の攻撃が行き詰った場合に有効だ。セカンドボールを狙えば、それが直接フィニッシュにも繋がることもある。そこで期待したい戦力がオランダのADOデン・ハーグでプレーするハーフナー・マイクだ。

ハリルジャパンになって1度だけ招集されたことがあるハーフナー・マイクの身長は194cm。現在の日本代表選手の誰よりも高い。ところが「日本はロングボールを使った戦術をとっていない」(ハリルホジッチ監督)という理由で、現在は蚊帳(かや)の外となっている。

この問題はザッケローニ監督時代から言われていたこと。しかし、チームの戦術がどうであろうと、どうしてもゴールをこじ開けられない時の手段としてハイボール(ロングボール)は土壇場におけるサッカーの常套手段。ならば、今シーズンもオランダで好調を維持するハーフナーはメンバーに加えて損はないはずだ。

そして、もうひとつの解決策であるドリブル突破は、パスでは崩しきれない相手の守備網を一網打尽にする効果がある。バルセロナのメッシやネイマールを見れば、その効果は一目瞭然だ。どんなにハイレベルな組織的守備をしていても、ドリブラーの突破によってそれは無力化されてしまうからだ。

今回の招集メンバー以外で、日本でそれが期待できそうな戦力は、国内では齋藤学(横浜F・マリノス)、国外では乾貴士(エイバル/スペイン)だろう。とりわけ最近の齋藤のドリブルの切れ味は抜群。Jリーグのディフェンダーは手を焼くどころか、誰も止められないほどの状態にある。試合終盤で起用するジョーカーとしても期待できそうだ。

もちろん、彼らはまだ原口ほどの守備における貢献は期待できないかもしれないが、途中出場によって試合の流れを変え、相手の守備陣を混乱させることはできるはず。少なくとも、他にはない個性を持った選手であり、ベンチに置いておくべきタイプの戦力であることは間違いないだろう。

次戦となる10月6日、ホームでのイラク戦は、ゴール前を固める相手に対して、日本代表が一方的に攻める時間が多くなる展開が予想される。そうなった時の対策として、ハリルホジッチ監督はこれらの戦力の招集を一考すべきではないだろうか。

◆新戦力の台頭はあるのか? 発売中の『週刊プレイボーイ』38号では、さらにW杯最終予選で絶対試すべき「秘密兵器リスト」を掲載しているのでそちらもお読みください!

(取材・文/中山 淳 撮影/藤田真郷)

関連記事(外部サイト)