日本代表に2年ぶりに復帰した乾貴士が“鬼門”スペインで活躍できた理由

日本代表に2年ぶりに復帰した乾貴士が“鬼門”スペインで活躍できた理由

W杯最終予選イラク戦を前に突如、サプライズ招集&常連外し。果たして、 ハリルの狙いとは?

勝てば6大会連続のW杯出場に王手がかかる敵地でのイラク戦を前に、ハリルホジッチ監督はこれまでスタメンを張ることも多かった常連をふるい落とし、多くの新戦力を抜擢した。

果たして、ハリルの狙いとは? そして、どんなサッカーを見せてくれるのか?

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シリアとの親善試合(6月7日)ならびにW杯最終予選イラク戦(6月13日)に向けて招集された25人の日本代表メンバー。その人選についての最大のトピックはなんといっても、少なからぬ選手の入れ替わりである。

まず、シーズン最終節でバルセロナ相手に2得点するなど、今季のスペインリーグで好パフォーマンスを披露していたFW乾(いぬい)貴士(エイバル)が、約2年2ヵ月ぶりに復帰を果たした。

これまで中村俊輔(磐田)や大久保嘉人(よしと)(FC東京)ら代表クラスの日本人選手が何人もスペインに挑戦してきたが、シーズンを通してチームの戦力となり、継続的に活躍できたのは乾が初めて。代表招集は当然といえるが、なぜ彼はエイバルで輝くことができたのか?

スペイン在住のサッカージャーナリスト、山本孔一氏が言う。

「これまでスペインでプレーした日本人選手は、チーム戦術や監督の指示を忠実に守りすぎ、他選手との違いを出せませんでした。しかし、乾は自分に課せられたタスク、エイバルでいえばサイドから早めにクロスを入れる役割をこなした上で、状況によっては縦へのドリブル突破や中央への切り込みといった、プラスアルファで自分ならではの持ち味を出す度胸があり、また、それがゴールやアシストといった結果に結びつきました。

しかも勤勉な日本人選手らしく、ミスしてボールを奪われたらしっかり戻ってカバーするという、守備での貢献も大きい。監督にしてみれば計算の立つ選手だから使いたくもなります」

さらに、エイバルのサッカースタイルも幸いした。

「『局面局面は1対1で勝ってこい』というスペインにありがちなサッカーではなく、サイドハーフが起点になったら必ずサイドバックがオーバーラップし、サポートに入ったり、スペースに走り込むといった約束事があるなど、日本人選手になじみやすい戦術なのです」(山本氏)

そして見逃してはならないのが、彼のオープンな性格。

「スペインでプレーした歴代の日本人選手は、言葉の問題もあって、自分の殻に閉じこもりがちでした。しかし、乾はスペイン語が流暢(りゅうちょう)でないながらも、周りの選手にイジられたらちゃんとリアクションして笑いを取るなど、チームに溶け込もうとする姿勢を見せています。

どの国もそうですが、特にスペインでは仲間とワイワイやれる選手のほうが受け入れられやすい。オフピッチで孤立すると、練習や試合でもボールがなかなか回ってこないのです」(山本氏)

そんな積み重ねが、彼をエイバルの看板選手のひとりにしたのである。

「今やエイバルのホームスタジアムでは、乾がボールを持つと『何かやってくれるんじゃないか』と観客の期待が高まるのがはっきりわかります。私が試合会場で顔を合わせる現地の記者たちもよく、『乾はいいね』と声をかけてきますし、彼が出場していない試合でエイバルが劣勢に立たされていると、実況中継の解説者が『なんで乾を出さないんだ』と疑問を呈したりしていますよ」(山本氏)

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