大方の予想はマンC優位も…マンUにとっては好相性? 勝利のカギは“低いボール支配率”

大方の予想はマンC優位も…マンUにとっては好相性? 勝利のカギは“低いボール支配率”

7日に敵地でのダービーを迎えるマンチェスター・U [写真]=Getty Images

 1.3倍 vs 10倍。

 いったい何の数字かというと、イギリスの大手ブックメーカー『ウィリアム・ヒル』が発表している“マンチェスター・ダービー”の勝敗予想オッズである(日本時間12月5日正午時点)。1.3倍がホームのマンチェスター・C、10倍がマンチェスター・Uだ。マンチェスター・Cのオッズは、プレミアリーグ第16節の勝利オッズとしては最も低い。対するマンチェスター・Uの10倍は、同節唯一の二桁である。つまり、それだけマンチェスター・Cの勝利は確実であり、マンチェスター・Uが勝つ可能性は限りなく低いということだ。(ドローは5.5倍に設定)。

 ちなみに、4日に行われたリヴァプール対エヴァートンの“マージーサイド・ダービー”は、ホームチームに1.38倍、アウェイチームに8.5倍のオッズがついていた。イギリスメディア『BBC』は「プレミアリーグ史上、最も力の差があるダービーかもしれない」と記事をつづっていたが、“マンチェスター・ダービー”の方がワンサイドゲームになると予想されている。

『ウィリアム・ヒル』は1934年創業の老舗ブックメーカーである。社会的信頼度が極めて高いとされ、過去にはイングランドサッカー協会のスポンサーも務めていた。そんな大企業が、マンチェスター・Cの圧倒的優位(マンチェスター・Uの圧倒的不利)を予想している。

 しかし、だ。その見立ては本当に正しいのだろうか。

 確かに、マンチェスター・Uは今シーズンも上手くいってない。4日のトッテナム戦に勝ったものの、リーグ開幕15試合で21ポイント(5勝6分け4敗)。これは、1992−93シーズンに並ぶプレミアでのクラブワースト記録である。6位に浮上したとはいえ、4位チェルシーとは8ポイント差。首位リヴァプールとは22ポイント差がついている。まだ23試合が残っているとはいえ、チャンピオンズリーグ出場権獲得が非常に厳しい状況にあるのは確かだろう。

 ただ、「勝負は下駄を履くまでわからない」と言われるように、戦う前からマンチェスター・Cに敗れると決まったわけではない。むしろ、勝機は十分あるように思う。

■マンUにとっては“好相性”?

 今回が179回目のマンチェスター・ダービーとなるが、最近10対戦に限れば4勝2分け4敗と全くのイーブン。プレミアリーグの順位は過去6シーズン連続でマンチェスター・Cがマンチェスター・Uを上回るなど、両者の立場はすっかり逆転したが、ここ最近の直接対決の成績は五分となっている。さらに今回の舞台となるエティハド・スタジアムでの直近5対戦も、2勝1分け2敗と互角の戦いを繰り広げている。マンチェスター・Uはむしろ本拠地のダービーを苦手としており、直近5対戦は1勝1分け3敗。敵地の方が良い結果が出ているのだ。

 過去の成績のみならず、現在のチームスタイルを考えても、マンチェスター・Cは“相性の良い相手”だと言える。マンチェスター・Uはボールを保持しない方が強いからだ。

 今シーズンのプレミア15試合を振り返ると、ボール支配率が50%以上を記録したのは10試合。その成績は1勝5分け4敗で、1試合平均で0.8ポイントしか獲得できていない。一方、ボール支配率が5割以下だった5試合は4勝1分けと負けなし。平均勝ち点は2.6と、素晴らしい結果を残している。

 ボール支配率が相手を下回ったのは、第1節チェルシー戦(4−0)、第5節レスター戦(1−0)、第9節リヴァプール戦(1−1)、第12節ブライトン戦(3−1)、そして直近のトッテナム戦(2−1)。いずれも今シーズンの平均ボール支配率がマンチェスター・Uを上回るチームばかりであり、マンチェスター・Cはその頂点に君臨するチーム(平均支配率は61.1%で1位)である。

 7日の一戦でも、マンチェスター・Cが大半の時間でボールを持つ展開が予想される。だが、マンチェスター・Uにとっては好都合だろう。決して守備が堅いチームではないため、長い時間押し込まれることは避けなければならないが、奪ってからのカウンターという得意のパターンに持ち込みやすいからだ。

■注目はエースと快足アタッカー

 注目はやはり、マーカス・ラッシュフォードだろう。今シーズンのプレミアでは8得点4アシストを記録。得点、アシストともにチームトップであり、得点関与数(12)で彼を上回るのは、レスターのジェイミー・ヴァーディー(14得点3アシスト)とマンチェスター・Cのケヴィン・デ・ブライネ(4得点9アシスト)の2人しかいない。真のブレイクを果たしたエースは、2016年3月に敵地で行われたダービーで決勝点(1−0)を奪っており、今回もその再現が期待されている。

 また、初ダービーに臨むダニエル・ジェームズも、シティ攻略のカギを握る選手だ。マンチェスター・Cで盤石とは言えないのが左サイドの守備。左センターバックはボランチが本職のフェルナンジーニョであり、負傷中のオレクサンドル・ジンチェンコに代わって左サイドバックを務めるバンジャマン・メンディとアンヘリーニョはディフェンス面での軽さが目につく。彼らと対峙する22歳の快足アタッカーが優位に立てれば、左右両サイドから攻撃を繰り出すことができ、一撃必殺のカウンターはより効果を発揮するはずだ。

 マンチェスター・Uは多くの負傷者を抱えており、アントニー・マルシャルやポール・ポグバのダービー出場は微妙な状況。フルメンバーではなく、さらに試合間隔も1日短いとあって、不利な状況であることに変わりはない。ただし、オーレ・グンナー・スールシャール監督が「今シーズンのベストパフォーマンス」と話したように、トッテナム戦の勝利はチームに大きな自信を与えたはずだ。誰もがマンチェスター・Cの勝利を予想する状況も、ダービーのようなビッグマッチを戦ううえでは決して悪いものではなく、ほど良いプレッシャーの中で大一番を迎えることができるだろう。

 果たして、シティのサポーターたちを黙らせ、ブックメーカーや識者たちの予想を覆すことはできるのか。今回はスールシャール体制の行方を占うだけでなく、ユナイテッドの意地とプライドが試されるダービーでもある。

(記事/Footmedia)

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