【CL展望】クロップ・リヴァプールの勝利に必要なもの|リヴァプール

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【CL展望】クロップ・リヴァプールの勝利に必要なもの|リヴァプールの画像

 2月15日に発売となった雑誌『SOCCER KING』3月号では、チャンピオンズリーグのラウンド16を完全プレビュー! いよいよ始まる決勝トーナメントに向けて一部コンテンツを公開します。



 ユルゲン・クロップのリヴァプールは、プレミアリーグで欧州5大リーグの記録を塗り替える快進撃を見せるだけでなく、すでにヨーロッパの舞台で歴史にその名を刻んでいる。クロップが2015年にマージーサイドにやって来て以来、欧州のカップ戦では3度も決勝に進出した。15−16シーズンのヨーロッパリーグと2年後のチャンピオンズリーグ決勝では苦汁をなめたが、昨シーズンは欧州の頂きに登りつめた。つまり、欧州の戦いにおける「ホーム&アウェー方式」では、クロップ政権は無敗ということになる。90分間なら敗れることがあっても、180分間ならば向かうところ敵なしだ。

 その法則が正しければ、記録的な強さを見せつける彼らの今シーズンは、“お気に入りの都市”イスタンブールでフィナーレを迎えることになる。頂点に輝けば、最近30年間でレアル・マドリードしか達成していない連覇となり、30年ぶりのプレミアリーグ制覇と合わせて黄金期の到来を決定づける。とはいえ、クロップの実績に眉一つ動かさない指揮官がいるとすれば、それはディエゴ・シメオネだろう。過去10年間で4度も欧州カップ戦のファイナルまで勝ち上がっている彼は、もしかするとクロップ以上にトーナメントの「2試合制」を熟知しているかもしれない。

 だからリヴァプールからすると、たとえワンダ・メトロポリターノが昨年ビッグイヤーを掲げた思い出の地だとしても、アトレティコ・マドリードはラウンド16で最も避けたかった相手だ。彼らは、リヴァプールのインテンシティに付き合える数少ないチームでもある。

 それでも恐れる必要はない。監督が「メンタリティの化け物」と選手たちを称えるように、このチームはどうにかして必ず勝利の黄金比を見つけ出す。それこそ、彼らが最後にスペイン勢と対戦した昨シーズンのバルセロナ戦がいい例だ。初戦を0−3で落としながら、第2戦では4−0で大逆転して見せた。しかも、ケガでロベルト・フィルミーノとモハメド・サラーを欠くなかで、控えのディヴォック・オリジが2得点を挙げている。今シーズンだって守護神アリソンの離脱中は、バックアップのアドリアンが穴を埋めた。DFラインではジョー・ゴメス、ジョエル・マティプ、デヤン・ロヴレンの誰が離脱しても、残った選手がフィルジル・ファン・ダイクと鉄壁の守備を形成した。

 化け物かどうかは分からないが、そうやって彼らは確かな勝者のメンタリティを育んできた。試練は何度もあった。2016年には監督の古巣ドルトムントの前に屈しかけたが、試合終了間際にロヴレンが決勝ゴールを決め、2年前のCL準々決勝では、マンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラを憤慨させたレロイ・サネの“幻のゴール”に救われた。

 昨シーズンだって、グループステージ最終節のナポリ戦でファン・ダイクの激しいタックルが一発退場と判断されていたら、そこで敗退していただろう。前述のバルセロナ戦でも、1stレグでウスマン・デンベレに追加点を決められていたら終わっていたはずだ。

 こうして振り返ると、「勝者のメンタリティ」や「勝負強さ」にあると見られた彼らの強さは、単に幸運がもたらしたものなのかもしれない。今シーズンのプレミアリーグでも、1月のトッテナム戦でジオヴァニ・ロ・チェルソが、ウォルヴァーハンプトン戦ではディオゴ・ジョッタが好機を逃してくれたおかげで勝ち点3を手にした。もちろん、幸運なんかなくてもプレミアリーグは制するだろう。だが、CLはどうだろうか?

 少なくとも8チームは、優勝を狙える猛者がそろう。トーナメント制では、必ず強いチームが勝ち上がってくるとも限らない。確かにリヴァプールは、現時点で間違いなく欧州最強だ。だが、それだけで栄光が約束されることはない。だからこそ、クロップの黄金比が必要になるのだろう。

文=リチャード・ジョリー
翻訳=田島 大

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