新生・仙台の挑戦。木山新監督のもと“前進”あるのみ【J1クラブ展望/仙台】

新生・仙台の挑戦。木山新監督のもと“前進”あるのみ【J1クラブ展望/仙台】

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 6シーズンにわたり指揮を執ってきた渡邉晋監督から、木山隆之新監督へ交代した。2020シーズンのベガルタ仙台は、“前進”がテーマになりそうだ。
 
 まずは、プレーエリアの前進だ。木山監督は仙台の監督に就任するうえで、このチームが長らく培ってきたものを「攻守ともにハードワークできること」と把握。そこに「より攻撃的に、アグレッシブに」という上積みを試みる。

 相手陣内での攻守の展開を優先順位の第一に置くチーム作りは、昨季までの渡邉監督も進めていたところではあった。しかし昨季序盤は新旧戦力の融合に時間がかかったり、相手の研究も進んだり、というところでなかなか結果を出せず、応急処置として一度理想を脇に置き、守備からゲームに入る形で勝点を取らざるを得なくなった。あとを受けた木山監督は、この経緯を踏まえたうえで、また仙台のハードワークに支えられた組織作りを、攻撃的な方向で進めようとしている。

 そのスタイルを実践する選手たちについては、仙台は昨季の主力の多くを残すことに成功した。長らく主力を務めながら昨季に出場機会を減らした大岩一貴や石原直樹、16年間仙台を支えてきた梁勇基といった選手はチームを離れたが、守備の柱であるシマオ・マテや、右サイドで攻守ともに厚みをもたらした蜂須賀孝治、道渕諒平といった選手は今季も仙台でプレーする。オフに複数人の主力が引き抜かれることが多かった仙台にとって、これは大きなことだ。そこに、巧みなドリブルやパスが光るイサック・クエンカ、遠近両距離からゴールを狙える赤ア秀平、力強いボール奪取から効果的なロングパスにつなげる吉野恭平らが加わった。昨季リーグ戦で10アシストを記録した永戸勝也が鹿島アントラーズに移籍したのは痛手だが、この左サイドバックのポジションにも、多彩なキックが武器のパラを補強した。

 こうした戦力を束ね、木山監督はプレースタイルでもプレーエリアでも“前進”を図る。16日に行われたルヴァンカップの浦和レッズ戦では、自陣での守備に課題を残して敗れた。だが、2得点をはじめとした相手陣内での攻撃の形に指揮官は「ボールを意図したところに運び、相手の守れないエリアに入れたこと、守備の高い位置でボールを奪いに行く姿勢は出せました」と手応えを得た。さらに課題を修正し、これからの結果面でも昨季より“前進”を見せることができるか。新生・仙台の挑戦は始まった。

【KEY PLAYER】MF 8 松下佳貴

 この人が効果的に“前進”できれば、決定機とゴールは増える。2019シーズンに仙台へ加わった松下佳貴は、チームの年齢構成では中堅というところ。チーム内での立ち位置は「ベテランと若手の間くらい、ちょうどいいポジション」とのこと。インタビューを受けているときに近くを通った若手選手から「佳貴さん、もっとはっきりしゃべって!」と突っ込まれることもあるが、仙台加入2年目、昨季よりチームに馴染んでますますの活躍が期待される選手だ。今季は、副キャプテンに就任した。

 ピッチ上での立ち位置は、ボランチだ。こちらもピッチ全体では中央のエリアを主戦場とする、前後の間くらいの位置にいるが、チーム全体が前進するなかで、彼自身も機を見て前に出て、攻撃に厚みを加える。昨季はチームにフィットした中盤戦以降に先発出場を続け、自身キャリアハイの3ゴールを記録するなどチームに貢献。今季も「高い位置でボールを取れれば相手にとっても嫌だし、そこは積極的にやりたい。縦にチャレンジするパスを出して、サイド、中と幅広く攻撃をしていければ」と意気込む。彼の左足からのパスは正確で、強い。ボールを多方向に蹴り分けて攻撃の組み立てに貢献するとともに、フィニッシュにも関与する背番号8のプレーに注目だ。

文=板垣晴朗

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