世界から集まる「助っ人」たちとの熾烈な争い…日本人Kリーガーは定着している?

世界から集まる「助っ人」たちとの熾烈な争い…日本人Kリーガーは定着している?

Kリーグでプレーする石田、西、邦本(時計回り) [写真]=Getty Images, J.LEAGUE

 世界中がコロナ禍に見舞われるなか、いち早くリーグ戦をスタートさせた韓国のKリーグでは、日本人選手もプレーしている。なかでも全北現代(チョンプク・ヒョンデ)モータースの邦本宜裕、大邱(テグ)FCの西翼、水原(スウォン)FCの石田雅俊は、いずれも着実にその認知度を高めてきた。

 元京都サンガF.C.の石田は、2019年にKリーグ2(2部リーグ)の安山(アンサン)グリナースFCへ移籍。登録名を「マサ」としたFWは、韓国生活1年目で24試合出場9得点を記録した。今シーズンからはKリーグ2の水原FCでプレーし、5月27日の慶南(キョンナム)FC戦では2ゴールを挙げて第4節の週間MVPに輝いている。

 東欧でのプロ生活を経て、2018年から大邱FCに所属する西も健在だ。昨シーズンはヒザの十字靭帯を痛めて戦線離脱し、13試合出場1得点1アシストに終わったが、今シーズンは完全復活して開幕からレギュラーとして活躍している。6月14日のFCソウル戦ではアシストを記録するなど、登録名の「ツバサ」も韓国のサッカーファンの間ではすっかり定着した。

 最近のKリーグで最も有名な日本人選手と言えば、邦本だろう。彼は浦和レッズユース時代に16歳8カ月でトップチームデビューするも、2017年にアビスパ福岡を契約解除となり、2018年に韓国へやってきた。1年目はKリーグ2でのプレーながら35試合出場5得点2アシストを記録し、慶南FCのトップリーグ昇格に貢献。“影のMVP”とされ、「慶南で再起した日本サッカー界の神童・邦本」と韓国メディアでも特集が組まれたほどだ。2年目の昨シーズンはケガもあったが、26試合出場2得点2アシストをマークしている。

 今年1月には、そのポテンシャルの高さを買われて全北現代に引き抜かれた。Kリーグ3連覇中の常勝軍団だけに、今や日本人Kリーガーの出世頭になったと言えるだろう。

 もっとも、これまでも多くの日本人選手たちがKリーグでプレーしてきた。始まりは海本幸治郎だ。ガンバ大阪に在籍したDFが、2001年に城南一和(ソンナム・イルファ)(現・城南FC)に移籍してKリーグ初の日本人選手になると、2003年には前園真聖が安養(アニャン)LG(現・FCソウル)に入団した。韓国でも知名度バツグンだった日本代表経験者のKリーグ進出は、日韓両国で話題になった。

 Kリーグでもアジア枠が導入された2009年以降は、毎年のように日本人Kリーガーが誕生している。戸田和幸が慶南FC、岡山一成が浦項(ポハン)スティーラーズ、大橋正博が江原(カンウォン)FCでプレーし、2010年には数カ月のレンタル移籍ながら高原直泰が水原三星(スウォン・サムスン)のユニホームを着て強烈なインパクトを残した。

 近年で最も成功した日本人Kリーガーを挙げるなら、増田誓志、エスクデロ競飛王、高萩洋次郎の3名だろう。

 蔚山現代(ウルサン・ヒョンデ)やソウルイーランドFCでプレーした増田は、Kリーグ通算100試合以上に出場し、エクスデロと高萩はFCソウルでKリーグ制覇を経験した。特に高萩は、日本の天皇杯に匹敵するFAカップで大会MVPにも輝いている。

 ただ、韓国に渡ったすべての日本人選手が成功したわけではない。家長昭博(2012年/蔚山現代)、渡邉大剛(2016年/釜山(プサン)アイパーク)、安田理大(2017年/釜山アイパーク)、阿部拓馬(2017年/蔚山現代)、豊田陽平(2018年/蔚山現代)らは、在籍1年にも満たずにKリーグを去った。

 そういった状況を踏まえると、日本代表歴はもちろん、Jリーグでもさしたる実績を残せなかった石田、西、邦本がKリーグに定着し、確かな存在感を発揮している事実は評価できる。

 とはいえ、彼らは韓国では“ヨンピョン”であることも忘れてはならない。Kリーグに限らず、韓国ではプロ野球でもプロバスケットボールでも、外国人選手のことを“ヨンピョン”と呼ぶ。漢字にすると「傭兵」だ。つまり、助っ人である以上、結果と存在感を示さなければならないわけだ。

 実際、全北現代や大邱FCの“ヨンピョン”たちの存在感は別格だ。西が属する大邱FCには技巧派ブラジル人FWセシーニャに加え、今シーズンから“Kリーグ歴代最高外国人”とも評される元モンテネグロ代表FWデヤン・ダミヤノヴィッチが加わった。邦本が属する全北現代には、ブラジル人MFムリロ・エンリケや南アフリカ代表歴もあるFWラルス・フェルトワイクといった外国人選手だけでなく、キム・ボギョンら現役韓国代表選手も多く、チーム内の競争は激しい。

 こうしたなかで、いかに自らの存在価値を示していくか。日本人Kリーガーたちの真価が問われるのは、まさにこれからなのかもしれない。

文=慎 武宏

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