指導者、解説者で活躍…EURO1996ベスト4のイングランド代表選手の現在地

指導者、解説者で活躍…EURO1996ベスト4のイングランド代表選手の現在地

EURO1996に参加したイングランド代表選手たち [写真]=Getty Images

イングランドサッカー協会(FA)は23日、北アイルランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズの各協会と合同で、EURO2028共同開催への“関心表明書”を提出したと発表した。招致が成功すれば、1996年以来の英国諸島での単独開催が実現する。

 EURO1996がイングランドで開催されたのは今から26年前のこと。テリー・ヴェナブルズ率いるイングランド代表はグループを首位で突破すると、準々決勝でスペインと対戦。スコアレスドローの末にPK戦を制してベスト4に駒を進めた。準決勝ドイツ戦では開始3分にアラン・シアラーが先制するも、シュテファン・クンツに同点弾を決められ、勝負の行方は再びPK戦に委ねられることに。6人目のギャレス・サウスゲートのキックが相手GKアンドレアス・ケプケに阻まれたイングランドは、ドイツのアンドレアス・メラーのPKが成功した瞬間に敗退が決定した。うなだれるサウスゲートをチームメイトが慰める場面は、多くのファンの心に焼き付いているだろう。

 悲劇のヒーローとなったサウスゲートは、2016年にイングランド代表監督に就任。現在は11月のワールドカップに向けて着々と準備中だ。しかし自国開催のEURO1996でサウスゲートを支えた当時の盟友たちはその後、どのような人生を歩んでいるのだろうか。

 イギリスメディア『ミラー』はEURO1996に参加したイングランド代表、全22人の現在地をカテゴリー別に紹介している。

※カッコ内は現在の年齢
[写真]=Getty Images

【サッカー界一筋】

▼DFギャレス・サウスゲート(51歳)



 EURO1996組で一番の出世頭がギャレス・サウスゲートだ。現役時代の最後を過ごしたミドルスブラで2006年に監督業をスタートさせ、2013年にイングランドU−21代表監督に就任。2016年9月にサム・アラダイス氏の辞任を受けて、暫定的にA代表を率いることに。その2カ月後、正式にイングランド代表監督に就任した。自身の失敗がかなりトラウマになっているようで、PK練習はかなり熱心に行っているとのこと。しかし昨年開催のEURO2020決勝ではPK戦の末にイタリアに敗れている。

▼DFスチュアート・ピアース(59歳)



 当時34歳で、チーム最年長プレーヤーとしてEURO1996に参加したスチュアート・ピアース。長年在籍したノッティンガム・フォレストで選手兼任監督を務めたのが指導者としての出発点。マンチェスター・CとイングランドU−21代表でも監督を務めた他、2012年のロンドン五輪でチームGBを率いた。現在はデイヴィッド・モイーズ氏の下でウェストハムのアシスタントコーチを務めている。

▼MFポール・インス(54歳)



 頭に包帯を巻き、ユニフォームを血だらけにして闘う姿が印象的だったポール・インス。マンチェスター・U、インテル、リヴァプールと国内外のビッグクラブで主力として活躍した武闘派だが、指導者としては一花咲かすことができていない。2006年にマクルスフィールド(4部)で選手兼任監督を務めて以降、MKドンズ、ブラックバーン、ノッツ・カウンティ、ブラックプールと率いてきたが、いずれも短期政権に終わった。先月20日にレディングの暫定監督に就任しており、現在はチャンピオンシップ残留を目指して奮闘中だ。

▼FWレズ・ファーディナンド(55歳)



 同年齢のシェリンガム、4つ年下のシアラーの壁に阻まれ、メンバーに選ばれたEURO1996と1998年ワールドカップでは一度も出場機会がなかったが、40歳目前まで現役を継続したレズ・ファーディナンド。2008年にストライカーコーチとして現役時代に5年半プレーをしたトッテナムと契約。2013年12月に同クラブでチームメイトだったティム・シャーウッド氏が監督に就任すると、アシスタントコーチに昇格した。マウリシオ・ポチェッティーノ氏の監督就任に伴い2014年夏にスパーズを離れ、翌年から選手キャリアをスタートさせたQPRでフットボール・ディレクターを務めている。

▼DFフィル・ネヴィル(45歳)



 マンチェスター・Uでは持ち前のユーティリティーさが災いし、定位置を掴み切れなかったフィル・ネヴィル。28歳で移籍したエヴァートンで真価を発揮。デイヴィッド・モイーズ氏からキャプテンに指名されると、現役を退いた2013年には、同氏が指揮官に就いた古巣マンチェスター・Uでコーチ業をスタートさせた。2018年からはイングランド女子代表を率い、翌年のワールドカップでは日本戦で2−0の勝利を収めたP・ネヴィル。2021年1月からは元チームメイトのデイヴィッド・ベッカム氏がオーナーを務めるインテル・マイアミの監督を務めている。

▼MFスティーヴ・ストーン(50歳)



 バーンリーのU−23チームを3年間率いた経験を買われ、今シーズンから同クラブのアシスタントコーチを務めるスティーヴ・ストーン。前任者のトニー・ロフランが臀部の再手術が必要となったことを受けての人事だが、ストーンには2010年から5年近く、ニューカッスルで同職を務めた経験があった。EURO1996では3試合に途中出場したMFは、ショーン・ダイチ監督の右腕としてバーンリーを降格の危機から救うことができるだろうか。

▼GKイアン・ウォーカー(50歳)

 1994年から2000年までトッテナムの正GKを務めたイアン・ウォーカー。EURO1996ではデイヴィッド・シーマン、EURO2004ではデイヴィッド・ジェームズの控えとしてメンバー入りは果たすも、出場機会は訪れなかった。2008年に現役を退いた後は、中国で指導者の道へ。2012年に上海申花のGKコーチに就任。2018年には同職で上海海港のリーグ初制覇に貢献した。

▼GKティム・フラワーズ(55歳)



 1994−95シーズンにプレミアリーグを制覇したブラックバーンの正GK。代表11キャップはいずれも親善試合で獲得したもので、ワールドカップとEUROでは出場機会がなかったが、引退後は指導者として活躍。EURO1996を共に戦ったピアースは、自身が監督を務めたマンチェスター・Cとノッティンガム・フォレストのGKコーチにフラワーズを指名した。2018年にソーリハル・ムーアズ(5部)で監督に初挑戦。マクルスフィールドとバーネットでの監督業を経て、昨年11月にストラトフォード・タウン(7部)の監督に就任したが、今月18日に解任されている。

【解説者としておなじみ】

▼DFギャリー・ネヴィル(47歳)



 シーズン中は見ない日がないと言っても過言ではないくらい、コメンテーターとして活躍するのがギャリー・ネヴィルだ。マンチェスター・U一筋でキャプテンも務めた右サイドバックは、同クラブで11度のプレミア制覇と2度のチャンピオンズリーグ(CL)優勝に貢献。EURO1996では準々決勝まで全試合にフル出場していたが、運命のドイツ戦は累積警告で出場停止だった。2012年から3年間、ロイ・ホジソン氏の下でイングランド代表のコーチを務め、2015年12月にバレンシアの監督に就任。わずか4カ月で成績不振で解任されて以降は、メディアで切れ味鋭い発言を続けている。

▼MFジェイミー・レドナップ(48歳)



 リヴァプールやトッテナムでプレーをし、端正な顔立ちと卓越したテクニックで人気を博したジェイミー・レドナップ。ウェストハムやトッテナムを率いたハリー・レドナップ氏を父に持ち、エヴァートンのフランク・ランパード監督とはいとこの関係にあり、前妻は人気歌手のルイーズ。華麗なる一族の中で自身もスター選手として活躍したレドナップだが、ケガを克服できず31歳で選手生活に別れを告げた。引退後はスカイスポーツの解説者として活動。2021年に再婚したモデルのフリダ・アンダーソンさんとの間に男の子が誕生している。

▼FWアラン・シアラー(51歳)



 プレミアリーグ通算260ゴールは2位ウェイン・ルーニーを52ゴールも突き放して歴代最多。同リーグ創設前の旧1部リーグでも100ゴール以上を決めていたことを加えなくても、イングランド史上屈指のストライカーであることは確かだ。EURO1996では5得点を決めて大会得点王に輝いたアラン・シアラーは、2009年に古巣ニューカッスルで短期間だけ暫定監督を務めて以降は、メディアでの仕事に専念している。

▼MFスティーブ・マクマナマン(50歳)



 2001年までイングランド代表でプレーを続けたスティーヴ・マクマナマンが最も輝きを放ったのが、EURO1996だろう。24歳で参加した当時リヴァプールのMFは、全5試合に先発出場。デイヴィッド・シーマン、ポール・ガスコイン、シアラーと共に、チーム・オブ・ザ・トーナメントにも選出された。1999年に移籍したレアル・マドリードではCLとリーグを2度ずつ制したマクマナマン。2005年にマンチェスター・Cで現役を退いた後は、コメンテーターとして活躍している。

▼DFスティーヴ・ハウィー(50歳)

 ニューカッスルが1995−96、1996−97と2年連続でプレミア2位に終わり、1998年と翌年のFAカップで準優勝した時のセンターバック。1994年11月の親善試合ナイジェリア戦でイングランド代表デビューを飾り、4キャップを獲得したが、EURO1996では2試合でベンチ入りしただけに終わった。2000年に10年以上過ごしたマグパイズを去り、その後はマンチェスター・Cやレスターでプレー。コーチ業に携わったこともあったが、現在は『BBCラジオ・ニューカッスル』での解説業が主な仕事だ。

【シンガー&ダンサー】

▼GKデイヴィッド・シーマン(58歳)



 EURO1996から2002年ワールドカップまで、イングランド代表が参加した4つの主要大会で正守護神を務めたのは、元アーセナルのGKデイヴィッド・シーマンだった。2004年1月にマンチェスター・Cでグローブを置いたシーマン。次に選んだフィールドはなんと氷上だった!同年に英国のテレビ番組でアイスダンスに挑戦すると、2年後には著名人がフィギュアスケートに挑むリアリティ番組『ダンシング・オン・アイス』に参加。優勝は逃したものの、番組でペアを組んだ女優フランキー・ポールトニーと2015年に結婚している。

▼FWテディ・シェリンガム(55歳)



 トッテナムやマンチェスター・Uで一時代を築き、42歳まで現役を続けたテディ・シェリンガム。4部のスティーヴネッジとインド・スーパーリーグのATKで監督業に挑戦したが、いずれも短期政権に終わった。しかし本当の才能は“歌”にあったようだ。リアリティ歌番組『ザ・マスクド・シンガー』のUK版シリーズ1に参加したシェリンガムは、「ザ・ダークネス」のフロントマン、ジャスティン・ホーキンスよりも上位の9位に入ったのだ!なお同番組のシリーズ2にはグレン・ホドル、第3シリーズにはマイケル・オーウェンが出演している。

▼MFポール・ガスコイン(54歳)



 グループ2戦目のスコットランド戦でスーパーゴールを決め、ピッチに仰向けになったポール・ガスコインの顔面に、シェリンガムがドリンクボトルから水を噴射する「デンティスト・チェア(歯医者の椅子)」セレブレーションは、EURO1996を代表する名場面の1つだ。アルコール依存症やうつ病と闘病してきたガスコイン。昨年は、著名人がジャングルで共同生活を行う英リアリティ番組『アイム・ア・セレブリティ』のイタリア版、『リソラ・デイ・ファモージ』に参加するも、肩を脱臼して38日で脱落。めげずに今度は自国版への出演意欲を見せているのだとか!

【その他】

▼MFダレン・アンダートン(50歳)



 プレースキックの名手として知られたダレン・アンダートン。EURO1996では全試合に先発出場し、2つのアシストを記録した。『ミラー』によれば、現在はカリフォルニア在住だと考えられているとのこと。トッテナムのレジェンドであり、2018年の同クラブのアメリカ・ツアーではアンバサダーを務めたアンダートンは、自身のツイッターでもスパーズ情報を頻繁にリツイートしている。

▼MFデイヴィッド・プラット(55歳)



 大会期間中に30歳を迎えたEURO1996がイングランド代表での最後の舞台となった。セリエAでも4年のプレー歴を持つプラットは、1998年に古巣サンプドリアで指導キャリアを開始。翌年はプレミアリーグから降格したばかりのノッティンガム・フォレストの監督に就任すると、驚きの現役復帰も果たした。2001年から3年にわたってイングランドU−21代表を率いると、2010年にサンプドリア時代のチームメイト、ロベルト・マンチーニが率いるマンチェスター・Cのコーチに就任。2012年のリーグ制覇に尽力した。2015年にインドのプネー・シティを率いたプラット。2018年12月にイギリス企業がパレルモを買収した際には、同社の相談役を務めていた。

▼DFトニー・アダムス(55歳)



 EURO1996でイングランド代表のキャプテンを務めたトニー・アダムス。4度のリーグ優勝に3度のFA杯制覇、リーグカップも2回掲げた「ミスター・アーセナル」は、イングランド代表として66試合に出場した。輝かしいキャリアの裏でアルコール依存症と闘っていたアダムスは、2000年にアスリートが依存症を克服するのを助ける「スポーティング・チャンス・クリニック」を設立。指導者としてはウィコムやポーツマス、アゼルバイジャンのカバラ、スペインのグラナダを率いたがいずれも短命に終わった。なお2019年にはラグビー・フットボール・リーグの会長を務めていた。

▼DFソル・キャンベル(47歳)



 長年にわたってイングランド代表の守備の要に君臨したソル・キャンベルが、21歳の時にイングランド代表として初めて参加した主要大会がEURO1996だった。ブレグジットを支持し、2015年にはロンドン市長への立候補を明言するも最終候補に入らなかったキャンベル。2018年にはマクルスフィールド(4部)、2019年にはサウスエンド(3部)で監督を務めている。

▼FWロビー・ファウラー(46歳)



 イングランド代表よりもリヴァプールの選手としてフットボール・ファンの記憶に刻まれているだろう。“ゴッド”としてコップに愛されたロビー・ファウラー。イングランド代表では1996年と2000年のEURO、そして2002年のワールドカップのメンバーには選ばれたが、スタメン出場は一度もなかった。現役生活の終盤を過ごしたオーストラリア、タイ、インドで監督業も経験。現在はリヴァプールで自身のアカデミーを運営する他、『ミラー』でコラムも執筆している。

▼MFニック・バーンビー(48歳)



 EURO1996は3試合に途中出場したニック・バーンビー。トッテナム、エヴァートン、リヴァプールなどを経て、2004年に加わったハル・シティでは、3部からプレミアリーグまでを経験した。チャンピオンシップで戦っていた2011年11月には、レスターに引き抜かれたナイジェル・ピアソン氏の後任として、選手のまま監督を務めることに。その2カ月後に現役引退を発表して監督業に専念したが、シーズン終了後に当時のオーナーを批判して解任されている。

(記事/Footmedia)

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