国際舞台での強化サイクル復活の第一歩 新たな刺激、独特の緊張感、初の経験に挑むU−19日本代表

国際舞台での強化サイクル復活の第一歩 新たな刺激、独特の緊張感、初の経験に挑むU−19日本代表

橋センダゴルタ仁胡(左)と前田ハドー慈英(右) [写真]=川端暁彦

来年のU−20ワールドカップを目指すU−19日本代表が、初の海外遠征、国際大会参加を実施している。ターゲットになったのは、かつてトゥーロン国際大会の名前で知られていたモーリスレベロトーナメント。遠くフランスの地での戦いは、日本時間31日21時のアルジェリア戦から始まることとなる。

 コロナ禍によってU−17W杯も中止となり、国際経験の断絶が起きてしまった世代だけに、「本当に大事にしたい大会」(冨樫剛一監督)として今遠征に臨んでいる。所属チームで試合に出ている選手を重視しながら選ばれたラインナップには、日本のみならず欧州からも3人の選手が合流してきた。

「日本もこれから、U−19であっても欧州の選手たちが入ってくるのが当たり前の時代になっていくということだと思っている。欧州各地に散らばっている選手たちの情報や映像を集めながら、多重国籍の選手については(日本代表に入る意思はあるのかという)ヒアリングもしてもらいつつ、選考にあたった。今回選ばれた3人以外にも、自分の世代だけで4、5人が候補にいたし、下の年代にもたくさんいる。今後は自然なことになっていくと思う」(冨樫剛一監督)

 一口に海外組と言っても、バルセロナのDF橋センダゴルタ仁胡はスペイン生まれのスペイン育ち、ブラックバーンのDF前田ハドー慈英は香港生まれで12歳からイングランドに渡ったキャリアを持ち、インスブルックのFW二田理央はサガン鳥栖U−18から高校の途中で欧州へ挑戦中といった具合に、そのバックボーンも多様性に富んでいる。ただ、そうした選手たちが合流したことで持ち込まれた刺激の価値はホンモノだ。

「欧州のことが知りたくて、みんなで質問しまくっています」とDF田中隼人(柏レイソル)が笑ったように、オフ・ザ・ピッチから新しい仲間とのコミュニケーションで多くの刺激を得つつ、同時に「負けてられない気持ちはある」と橋や前田と同じサイドバックのDF中野伸哉(サガン鳥栖)が語ったように、競争の部分でも新たな火がついた。

 練習で見せるプレーも刺激的だ。「ボールの置きどころが良くてパッと前を向けるし、常に前を見ながらプレーしていて勉強になる」(MF佐野航大=ファジアーノ岡山)。またボールを持ってのプレーもそうだが、橋が左サイドでボールを失った直後に猛然と中央まで追撃してのチャージから奪い返した場面など、「あのシーンは凄かった」(佐野)と強度の部分や戦う姿勢のところでも、選手たちに違ったインパクトをもたらしている。

 初戦の相手は北アフリカの強豪アルジェリアだが、久々の国際試合、あるいは初めての国際試合という選手も少なくないことから、選手たちにも独特の緊張感が残る。さっそく苦戦している選手が出ている欧州の芝への対応などを含めて難しい展開を強いられるようなこともありそうだが、「苦労するところも含めて経験していくことが大事」と今遠征に団長として帯同する山本昌邦技術副委員長は強調する。

 もちろん、単に経験して終わりという場ではなく、日本代表として臨む戦いの場である以上、「勝つことを意識して戦っていく」(冨樫監督)のも当然のこと。そして選手個人としても、多くのスカウトが見つめる伝統ある大会だけに、選手たちにとっては大きなチャンスが眠っている場でもある。

 コロナ禍でユース年代での海外遠征が途絶えて久しかった流れがようやく終わり、国際舞台へのチャレンジを繰り返す中でレベルアップを図ってきた日本サッカーのサイクルが戻ってきた。まずは培ってきたものをチームとして全力でぶつけ、少しでも大きな財産を持ち帰ってもらいたい。

取材・文=川端暁彦

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