チラつく昨季の悪夢 選手批判にみるモウリーニョ監督の焦りと苛立ち

チラつく昨季の悪夢 選手批判にみるモウリーニョ監督の焦りと苛立ち

今季からマンチェスター・Uを率いているモウリーニョ監督 [写真]=Getty Images

 ジョゼ・モウリーニョが焦っている。

 マンチェスター・Uは、10日に行われたホームでの大一番、マンチェスター・Cとのダービーに1−2で競り負けると、週中に行われたヨーロッパリーグ・グループステージ第1節のフェイエノールト戦も0−1で落とし、18日のワトフォード戦では1−3での敗北を喫してしまった。

「今シーズンは好発進したが、チームが万全な状態だったかと問われれば、全くそうではなかった」

 そう語るマンチェスター・Uのモウリーニョ監督が公式戦で3連敗を喫するのは、2002年2月のポルト在籍時以来というから驚きだ。開幕前のコミュニティシールドを制し、開幕3連勝と波に乗ったあとの失速となっただけに、指揮官の言葉からは焦りと苛立ちさえうかがえた。そのあとに次いで出た言葉は自軍選手たちへの批判となり、物議をかもしている。

「シティ戦での1失点目とワトフォード戦での2失点目は非常に似ていた。シティ戦で我々の選手たちはマークを外し、相手にスペースを与えた。今回も、我々の左サイドバック(DFルーク・ショー)がマークとの間合いを25メートルも開けてしまい、詰めようとしなかった。これは戦術的ミスとも言えるが、個々の気持ちの問題でもあり、数週間で解決できるものでもない」

 このモウリーニョ監督の発言は選手たちだけでなく、チーム上層部のスタッフやファンをも動揺させるものとなった。奇しくも今の状況は昨シーズン途中に成績不振で解任の道を歩んだチェルシー在任時と似通う。当時もモウリーニョ監督は「輪を乱す選手たちがいる」と批判し、チームは崩壊した。

 モウリーニョ監督はマンチェスター・U就任時、「チェルシーでの失敗から学び、監督として成長した」と語っていたが、今後、同監督にはチーム内の信頼回復に努め、早急にチームの立て直しを図ることが求められる。

 一方、ユナイテッドが抱える大きな問題は確固とした守備的MFの不在だ。今夏の移籍市場では、リストアップしていたレスターのフランス代表MFエンゴロ・カンテをチェルシーに奪われてしまったため、ベルギー代表MFマルアン・フェライニを同ポジションで起用し続けている。

 大手メディア『BBC』解説者の元イングランド代表MFダニー・マーフィー氏は、ユナイテッドの現状を次のように評する。

「フェライニはワトフォード戦で67本のパスを成功させ、成功率も97パーセントと誰よりも高かったが、前方へのパスは1本のみにとどまった。ポゼッションを生かすには守備的MFの位置からの展開力が求められる。一世代前で言えば、この位置に(ポール・)スコールズや(ライアン・)ギグスがおり、試合の流れを変えることができた。現在のユナイテッドには(ズラタン・)イブラヒモヴィッチという大型FWに加え、素早い(マーカス・)ラッシュフォードといった的になりうる攻撃的選手が豊富にいるが、そこにキラーパスを出せる選手がいない」

「さらにワトフォード戦でユナイテッドが抱えた問題は、攻撃的選手たちが両サイドのスペースを生かさずに中央に入ってプレーし、狭いスペースでプレーしていたことだろう。このため、サイドバックがサポートに上がれず、攻撃に悪循環が生まれていた。サイドで2対1の数的優位を作れた場面で、それを実行しなかったのが痛手だったといえる。攻撃陣が中央で密集してしまい、(ウェイン・)ルーニーや(ポール・)ポグバが動けるスペースも消してしまっていた」

 リーグ戦第5節を終えた時点で不振などと語るのは時期尚早だが、宿敵マンチェスター・Cが首位を快走しているうえに、『名将』、『ビッグクラブ』たるがゆえのモウリーニョ監督が抱える重圧は計り知れないものがある。マンチェスター・Uは未だに調整段階にあるが、今後は中盤の問題を軸としたチームのバランスが改善されるかどうかがカギとなるだろう。

 マンチェスター・Uは24日、日本代表FW岡崎慎司が所属する昨シーズン覇者レスターをホームで迎え撃つ。

文=藤井重隆

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