【コラム】海外を経験して増した自信 “3大得点源”が不振の中、浅野拓磨が2戦連発を狙う

【コラム】海外を経験して増した自信 “3大得点源”が不振の中、浅野拓磨が2戦連発を狙う

今季からシュトゥットガルトでプレーする浅野拓磨(左) [写真]=TF-Images/Getty Images

 絶対に失敗が許されない2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選の第3戦・イラク戦(埼玉)がいよいよ2日後に迫ってきた。2日から事前合宿に入っている日本代表は4日も埼玉県内でトレーニングを行ったが、合流が遅れていた本田圭佑(ミラン)、長友佑都(インテル)、岡崎慎司(レスター)、吉田麻也(サウサンプトン)、酒井宏樹(マルセイユ)の5人がようやく合流。25人全員が揃った。

 この日の練習は冒頭15分間以外、メディア非公開。練習前には槙野智章(浦和レッズ)がヴァイッド・ハリルホジッチ監督に呼ばれて指示を受ける場面が見られ、イラク戦先発の可能性がより一層高まった。この日到着したばかりの本田と長友は別メニューでジャッキー・ボヌベー・コーチらと軽いランニングを行っていたが、本田本人によると戦術練習にも参加しなかったという。となると、彼らを次戦でフルで使うのはリスクが高いと言わざるを得ない。左サイドバックは酒井高徳(ハンブルガーSV)の先発が有力で、右サイドアタッカーは小林悠(川崎フロンターレ)や齋藤学(横浜F・マリノス)らの出場も十分、ありえそうだ。

 こうした中、やはりイラク戦は誰がゴールを奪うかというのが最重要テーマ。アルベルト・ザッケローニ監督時代から日本の3大得点源として君臨してきた本田、岡崎、香川真司(ドルトムント)の3人が今季リーグ戦無得点という状況を考えると、新たな得点源が必要不可欠だ。9月のタイ戦(バンコク)で苦しい中、2点目を挙げてチームの勝利を確実にした浅野拓磨(シュトゥットガルト)がその筆頭。彼に寄せられる期待は非常に大きい。

 浅野は9月シリーズの後、新天地に本格合流。9月9日のハイデンハイム戦の81分から出場してドイツデビューを果たした。その後の3試合はスタメンでピッチに立ち、9月20日のブラウンシュヴァイク戦では2点目をアシストするなど、まずは順調にキャリアを積み重ねている。ポジションは2トップの一角、右サイドと多彩な役割を担っている模様だが、先輩・細貝萌のサポートもあって、悪くないスタートを切った状態だ。

「ドイツに行って、まず僕はまだまだだなと感じたのが正直なところ。球際のところはすごく厳しいし、試合の中でボールを失う回数が改めて多いなと感じました。ホントに危機感持ってやらないとポジションも奪えない。昨日の試合もシュトゥットガルト勝ってますし、また戻ってからが新たな勝負。まずはここでしっかり結果を残して、チームに戻ることができればいい。でも海外を経験してここに来てる自信は少なからず持っているので、それは自分の中でも何か大きなものがあるのかなと思います」と彼はしみじみ語る。

 今回のイラク戦はこうした異国での経験をぶつける絶好のチャンス。イラクには同じリオデジャネイロ・オリンピック世代の選手が多く、1月のAFC・U−23選手権(カタール)での対戦経験も大いに生かせる。2日前に練習合流した岡崎よりコンディション面でも優位性があるだけに、2試合連続スタメンの可能性も大いにある。本人も代表でのコンスタントな活躍に強い意欲を燃やしている。

「イラクは僕らの年代でもすごくレベルの高いチームでした。でも僕らが決勝点を取った場面(南野拓実が右から上げたクロスをGKが弾き、こぼれ球を原川力が蹴り込んだシーン)も前への意識が高かったからこそ取れたゴール。まずは相手の背後を僕自身はつねに狙っていきたいなと思いますし、最後はシュートの精度っていうのを上げていければゴールは奪えると思う。あとは球際の部分で相手にまず負けないところは大事になってくるかなと思います」と浅野は自分のやるべきことを明確に思い描いている様子だった。

 ハリルホジッチ監督体制になってからの日本は決定機は数多く作っているが、フィニッシュの課題が重くのしかかっている。浅野自身も6月のボスニア・ヘルツェゴヴィナ戦(吹田)、9月のUAE(アラブ首長国連邦)戦(埼玉)などで決められるチャンスを決めきれなかった苦い経験がある。それを克服し、どんな形でもいいからゴールという結果を残し続けていって初めて、岡崎の牙城を崩すことができる。今の浅野はその絶好のチャンスに直面している。若きスピードスターにはこの機を逃してほしくない。

文=元川悦子

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