【土屋雅史氏のJ2展望】上位対決は“追う”岡山がやや優位か 町田を迎え撃つ清水は若手の躍動に期待

【土屋雅史氏のJ2展望】上位対決は“追う”岡山がやや優位か 町田を迎え撃つ清水は若手の躍動に期待

【土屋雅史氏のJ2展望】上位対決は“追う”岡山がやや優位か 町田を迎え撃つ清水は若手の躍動に期待の画像

 2位の松本山雅が4位のファジアーノ岡山をホームのアルウィンで迎え撃つ上位対決。両者の勝ち点差は6ポイントということで、今節最大の注目カードであり、また今シーズンのJ1昇格争いの行方を左右するビッグマッチが控える中、この男は特別な感慨を覚えているのではないでしょうか。喜山康平、28歳。昨シーズンからは3バックの左センターバックを務め、チームを最後方から支えているレフティがまだ19歳だった頃、自らのサッカーキャリアを懸けて飛び込んだのが岡山の地だったのです。

 ジュニア時代には日本一も経験。各年代別の代表にも選出され続け、2006年に下部組織からプレーしてきた東京ヴェルディのトップチームに昇格した喜山。ルーキーイヤーはなかなか出場機会を得られず、自らの成長を実感しながら期待感を持って臨んだ2年目のシーズンでしたが、J1復帰を期すチームはフッキやディエゴを補強。喜山は当時中国リーグに主戦場を置いていた岡山へと移籍することになります。「ヴェルディという環境しか知らなくて、非常に恵まれた環境だったと思うので、1回外を知っておくのも大事かなと思ったことと、岡山には昇格という明確な目標があり、フロントの人たちに熱があって、『これはやってみる価値はあるな』と思っていきました」と話す喜山の決断は大正解。17試合27得点というとんでもない記録を叩き出した彼に牽引され、中国リーグを制した岡山は、全国地域リーグ決勝大会でも優勝を飾ってJFLへと昇格。翌年のJFLも1年で駆け抜けると、2009年にはとうとうJリーグの舞台へと到達しました。喜山も岡山で2シーズンに渡ってJ2を戦い抜き、4シーズンの在籍時に2度の昇格を成し遂げた立役者として、チームの歴史に名を刻んだというわけです。

「『ここで終わらねぇぞ』というのはずっと思っていましたね。自然の流れで考えたら、過去の例とかを見てもそのまま終わっていくのが流れだと思いましたし、『周りもそういう風に考えているだろうな』と思っていたので、『絶対にここで結果を出して上にいく』というのは常に思っていました。そういう環境なので、楽な方向に逃げようと思えば逃げられる状況にあったはずですけど、そういう時にその気持ちがあったので、今があるのかなと思います。当日にバスで6時間ぐらい掛けて移動して、試合してそのまま帰ってくるとか、グラウンドも土だったりとかいろいろと経験しているので、人間的に多少のことでは動じなくなったかなと感じています」と当時を振り返る喜山。一緒にプレーしていた選手は数えるほどになりましたが、彼の岡山に対する愛着は並々ならぬものがあるはずです。

 その岡山は、2試合連続でスコアレスドローが続いていましたが、前節のFC岐阜戦はアウェイで今季最多得点を記録して5−0と圧勝。最高の状態でアルウィンへと乗り込んできます。一方、10戦負けなしの松本は前節のカマタマーレ讃岐戦で久々の連勝を手にしたものの、PKとミドルシュートで2失点を喫しており、少し守備面に不安の残る状態。現状の両者を比較すると、追う者の強みも含めて岡山にやや分があると考え、ここはあえて「2」で予想したいと思います。

 前節は3位C大阪との上位決戦に挑んだ5位の清水エスパルス。立ち上がりこそリズムをつかんだものの、徐々に押し戻される中で先制点も許し、非常に厳しい展開を強いられた中で、躍動したのはまさに若い力。89分に20歳の北川航也が同点弾をマークし、スコアを振り出しに戻すと、試合終了間際には23歳の白崎凌兵が決勝弾をゴールネットへ突き刺し、劇的な逆転勝利で勝ち点3を強奪。J1自動昇格争いへ踏みとどまることに成功しましたが、その2つのゴールをどちらもアシストしたのが、80分から投入された21歳の金子翔太でした。

 JFAアカデミー福島から2014年に清水へ加入した金子でしたが、層の厚いアタッカー陣の中で出場機会はなかなか訪れず、昨シーズンの途中からは地元でもある栃木への期限つき移籍を経験。今シーズンも序盤戦はほとんど試合に絡めなかったものの、第15節の群馬戦で清水の選手としての初ゴールを記録すると、徐々にスタメン出場の機会も増加し、第30節横浜C戦と第31節山形戦で2試合連続ゴールを奪うなど、1年でのJ1復帰を狙うチームの重要なピースとしての役割を託され始めます。ただ、大一番だった第33節の松本戦は先発出場しながら、チームは0−1で敗戦。途中交替を強いられた金子は、続くC大阪戦で5試合ぶりのスタメン落ちとなり、「そういう悔しさがあったので、『やってやる』という気持ちはありました」と自ら語る中で、1点のビハインドを追い掛ける終盤のピッチヘ飛び出しました。「本当に決めてくれた2人がスーパーだったので、アシストをつけてくれて嬉しかったです(笑)」と本人は謙遜しましたが、特に北川へのアシストは山口蛍との競り合いを抜け出してから、相手の股下を通しての綺麗なスルーパス。「あそこしかパスコースもなかったと思うので、冷静に相手の股下を通せて良い形だったと思いますね」と、このプレーには本人も手応えを感じている様子でした。

 そんな金子が自らの成長の要因に挙げたのが居残り練習。「小林(伸二)監督が見てくださっている居残りのシュート練習も、トラップの置きどころとかの指導がすごく細かくて、ちょっとトラップミスをすると『ちょっとこい』と言われて、さらに別の居残り練習が始まってしまうんですけど(笑)、そういったところも本当に熱心に指導してくださって、僕らとしては本当にありがたいですね。居残り練習で監督にお世話になっている分、そういうことが航也や僕らの結果に出たのだと思います」と話したように、小林監督の“細か過ぎる”指導が効いているとのこと。元々若手の育成に定評のある指揮官の下、ポジショニングも含めたフォワードとして必要となる様々な要素を身につけつつあるようです。

 今節の相手は東京Vとの“東京クラシック”を2−1で制し、7位まで浮上してきた町田ゼルビア。大前元紀も戦列に復帰し、チョン・テセというベテランストライカーもいる中、必ずしもスタメン出場が確約されているわけではありませんが、前節のように短い時間でも仕事のできる若手の存在は清水にとって小さくないもの。「チームで若手が成長しないと選手層も厚くならないですし、今後のチームの総合力も若手が活躍しないと出ない」と言い切った金子のさらなる活躍にも期待して、ここはホームチーム勝利の「1」で勝負したいと思います。

予想難易度が高いとされるJ2は、toto当せんのカギを握る重要な要素の一つ。国内サッカー事情に精通した土屋雅史氏がJ2を徹底解剖する! サッカーくじtoto予想サイト『totoONE(http://www.totoone.jp/top/)』にて、『今週のJ2(http://www.totoone.jp/j2/)』が好評連載中。
※本文中の「1」はホームチーム勝利、「0」は引き分け、「2」はアウェーチーム勝利。

■明治安田生命J2リーグ第35節
2016年10月8日(土)15時キックオフ
松本山雅FCvsファジアーノ岡山(松本平広域公園総合球技場)

■明治安田生命J2リーグ第35節
2016年10月8日(土)15時キックオフ
清水エスパルスvsFC町田ゼルビア(IAIスタジアム日本平)

関連記事(外部サイト)