【コラム】劇的勝利に安堵のキャプテン長谷部 絶対に勝利が必要だった“ハリルへの要望”とは

【コラム】劇的勝利に安堵のキャプテン長谷部 絶対に勝利が必要だった“ハリルへの要望”とは

劇的な勝利に安堵の表情を見せた長谷部誠 [写真]=瀬藤尚美

 9月1日に行われた最終予選の初戦でUAE(アラブ首長国連邦)に敗れた日本にとって、ホーム2試合目のイラク戦は絶対に勝たなければならない試合だった。前半にMF原口元気(ヘルタ・ベルリン)のゴールで先制した日本だったが、その後は思うようにチャンスを作ることができず、後半に入ってからはセットプレーから失点してイラクに同点とされてしまう。追い込まれた日本は終盤、DF吉田麻也(サウサンプトン)を最前線に上げてパワープレーを仕掛けると、そこで得たセットプレーの流れから途中出場のMF山口蛍(セレッソ大阪)が豪快なミドルシュートを決め、土壇場で勝ち越して勝利を手にした。

 この勝利にはキャプテンの長谷部誠(フランクフルト)も安堵の表情を見せた。「今日、一番大事だったのは勝つこと。最後まで諦めずにやった結果、最後に報われました」とコメントし、さらにこの勝利が持つ意味について話し続けた。

「この勝ち点3は本当に大きい。もちろんゲーム内容とか試合の運び方に課題はあると思いますけど、この勝ち点3には勝ち点3以上の意味がある」

 最終予選を勝ち抜くために勝利が必要だったのはもちろんだが、実はもう一つ、この試合を引き分けで終わらせるわけにはいかない理由があった。

 これまでヴァイッド・ハリルホジッチ監督は合宿中、長時間のミーティングを何度も行う傾向にあったが、そのやり方に対して選手たちから要望を出していたからだ。

 指揮官と話し合いの場を持ったというキャプテンは、「ここまでやってきていろいろ感じていることもありましたし、(UAEとの)初戦に負けて見えてきたこともあった。いろいろな選手と話をして、監督に意見も言いました。その中で監督が受け入れてくれた部分もあれば、監督のやり方を変えずに、そのままやっている部分もあります」と明かす。

 日本代表はチームとして活動できる時間が限られている。監督が短期間で自分のやり方をできるだけ選手たちに伝えたくなるのは当然のことだろう。しかし、ヨーロッパからの移動を経て、時差やコンディションを短期間で調整しなければならない状況下で、選手たちが指揮官が求める戦術トレーニングを完璧に消化するのは、決して簡単なことではない。

「体だけではなく、頭の部分でフレッシュな状態でゲームに入っていきたい部分があった。そういう意味でミーティングの回数であったり、時間であったり、タイミングだったりは監督といろいろ話をしました。そこは監督が受け入れてくれたぶん、選手たちはやらなければいけなかった」と、歩み寄ってくれた指揮官に対して結果で応える必要があったことを説明する。

 イラク戦では何より必要だった勝ち点3を得たものの、決して狙っていた攻撃の形を多く作れたわけではないことについて、大いに改善の余地があることを長谷部も認める。特に終盤は吉田をターゲットにしたパワープレーから多くのチャンスを作ったが、結果が出たからといって、その戦い方を“良し”とするつもりはないようだ。

「同点に追いつかれてからは自分たちも前に行かなければいけない状態でしたが、試合を通じて、そこまで本当に数回しかチャンスを作れていませんでした。麻也がパワープレーで上がって、その形が一番チャンスを作れていたと感じる部分も正直ありました。結局、それが結果につながりましたが、それは自分たちが目指すサッカーではない。ただ、勝ち点3を取るためには泥臭さとか、自分たちが目指すサッカーではない部分もやっていかないと。勝負にこだわるという部分については、最後に気持ちを見せられたかなと思います。点が入ったところはペナルティエリア内に僕も含めて7〜8人が入っていましたから。それがこぼれてゴールという形でした。そういう執念の部分も収穫としてはあります」

 絶対に必要だった結果をガムシャラに取りに行き、最後の最後に5万7768人が集まった埼玉スタジアムを熱狂させた日本代表。次戦はグループB最大のライバルと目されるオーストラリアとアウェーで対戦する。

「今日勝ったことで、気持ち良く次の試合に行ける。オーストラリアのアウェーゲームは、この予選で一番厳しい戦いになると思うので、しっかりスカウティングをして、コンディションを整えて臨みたい。間違いなく勝ち点3を取りに行きますし、結果を求めてやっていかなければいけない」

 グループBの首位に立つ相手との大一番に向け、経験豊富なキャプテンはしっかりと気を引き締め直していた。

文=河合 拓

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