【コラム】献身プレーと今季11発目で快勝の立役者に 松本FW高崎寛之、J1復帰へ「山雅らしいサッカーを」

【コラム】献身プレーと今季11発目で快勝の立役者に 松本FW高崎寛之、J1復帰へ「山雅らしいサッカーを」

3−0での快勝に大きく貢献した松本FW高崎寛之 [写真]=Getty Images

 緑一色に染まったビジタースタンドからの拍手が、交代を告げられてピッチを後にするストライカーを包み込んだ。明治安田生命J2リーグ第36節、ジェフユナイテッド千葉戦。敵地・フクダ電子アリーナに乗り込んで3−0と会心の勝利を収めた松本山雅FCにあって、貢献度の高い仕事を遂行したのがFW高崎寛之だ。1トップとして先発出場した背番号「29」は76分間、献身的なプレーを貫いた。

 11戦負けなしと着実に勝ち点を積み上げてきた松本。今節は立ち上がりから千葉の攻勢を受ける苦しい展開となったが、反町康治監督が「個人が持っているもの(能力)や攻撃のフィーリングは残念ながら我々よりも(千葉のほうが)上。今日は我慢の試合だった。それはある程度は予想していたこと」、「驚きはなかったので、選手は冷静に対応したと思う」と言えば、MF宮阪政樹も「守りが先行したけど、それがうちの戦い方だと思う。割り切って守備をすることができましたね」と口を揃えたように、“想定内”の内容として、耐えながら好機を待っていた。

 自陣でブロックを形成し、ボール奪取からチャンスを窺う展開。1トップにかかる負担は大きくなるが、高崎は求められる働きをしっかりとこなした。22分、縦パスを受けて相手のファウルを誘い、FKを獲得(千葉DF若狭大志にイエローカード)。劣勢の中、プレーが止まってマイボールとなることで、陣形を整える時間をもたらした。30分には敵陣左サイドのスペースでパスを受け、ドリブルで縦へ運ぶ。目立つプレーではないが、相手の最終ラインを押し下げて後方から攻撃参加をするための“タメ”を作るうえで効果的な選択だった。

 そして37分。先制ゴールを生むこととなるFKも、高崎のポストプレーが発端だった。千葉のプレスを受け、パスを後方へ戻さざるを得なかった松本。ボールは最後尾のGKシュミット・ダニエルへ託される。左足で大きく蹴り出された浮き球に反応した高崎は、敵陣左サイド、ハーフウェーラインを少し越えた位置で身体を張ってボールを確保。次の刹那、背後から競っていた相手DFのファウルを受け、FKとなった。このセットプレーから宮阪がロングボールを供給。DF後藤圭太が頭で落とし、走り込んでいたMF工藤浩平の4試合連続ゴール(38分)が生まれた。

「しっかりとブロックを作ってバイタル(エリア)に(相手が)入ってこないようにしていたし、そういう時間帯も我慢できていました。(失点)ゼロで抑えてくれたことが先取点につながったかなと」

 守備陣を称えた高崎は4分後、今度は自身がFKのターゲットとなって宮阪のパスに反応。相手より一瞬早く動き出して前方へ駆けると、マークについていた千葉DF若狭にユニフォームを引っ張られて倒され、PKを獲得した。このプレーで、若狭は2回目の警告を受けて退場に。高崎は自ら得たPKを豪快に蹴り込み、貴重な追加点を決めた。

 2ゴールに絡んだうえに、チームに数的優位をもたらした高崎。試合の趨勢を決める働きで、会心の勝利に大きく貢献した。試合後、「今日は機嫌が良いので」と饒舌だった反町監督は「(ファウルを誘うコツは)ないです。高崎に聞いてください。それか高崎を代表に選んでください(笑)」。日本代表のヴァイッド・ハリルホジッチ監督が「ファウルを誘う必要性」を説いたことに由来する質問に対し、笑顔を見せていた。

 殊勲のストライカーは今季の得点数を11に伸ばした。3月30日に鹿島アントラーズからの期限付き移籍加入が発表された後のリーグ戦全31試合に出場し、松本に不可欠な存在となっている。高崎の後方・シャドーの位置から得点を重ね、同じく11ゴールを記録している工藤は「セットプレー以外でもヒロが競った後を狙っている。ヒロが入ったことが大きいですね」と、その重要性を語った。「前線の3人(高崎、工藤、MF石原崇兆)の連係ができてきていて、今日はヒロも(点を)取れたし、前で取れると雰囲気も良くなるので狙っていきたいです」。高崎も呼応するように「お互いに11得点同士で、ライバルといえばライバルですけど、お互いが喜び合えるので、もっともっと取っていきたいですね」と話している。

 チームトップスコアラーの2人が“アベックゴール”を決めて快勝を収めた松本は、これで12試合連続負けなし。クラブタイ記録に並び、首位・北海道コンサドーレ札幌との勝ち点差を「7」に詰めるとともに、3位・セレッソ大阪との差を「4」に広げた。残りは6試合。1年でのJ1復帰へ、着実に歩みを進めている。

 指揮官は「道はまだまだ続いている。その道をどう進むかが一番大事だと思う。“ここで一安心”ではなく、一層の努力をしなくてはいけない」と改めて気を引き締め、高崎は「一戦一戦、どこも必死だと思う。下からの追い上げもあるし、上に追い付かないといけない。しっかりと勝ち切っていきたい」と、大逆転での首位浮上を視野に入れつつ、前を見据えた。次節は23日、ホームでの愛媛FC戦。「山雅らしいサッカーを表現できるような試合を」と意気込むストライカーとともに、松本がJ1への“道”を突き進む。

取材・文=内藤悠史

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