【ライターコラムfrom山形】名古屋戦で風間親子が初対決…昨季、親子対決が実現済みの高木利弥は何を思う?

【ライターコラムfrom山形】名古屋戦で風間親子が初対決…昨季、親子対決が実現済みの高木利弥は何を思う?

第12節名古屋戦では父・八宏(左)と子・宏希(右)の風間親子対決が実現した [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 ゴールデンウイーク最終日に行われたJ2リーグ第12節名古屋グランパス戦。この試合は、父と息子の初対決という点でも注目された。名古屋の指揮を執る風間八宏監督と、今季から山形に加わった風間宏希。かつて川崎フロンターレで監督と選手として一緒に戦ったことはあれど、対戦となると初めてだ。ゲームはモンテディオ山形が今季ベストと言って良いパフォーマンスを見せ、名古屋の倍であるシュート14本を放ちながら、決定機を決め切れずにスコアレスドローで勝点1を分けた。

「試合前は多少、自分の成長した姿を見せたいと思いましたし、勝ちたいと思いましたが、試合になってみるとそんなことは関係ないので、無我夢中でプレーできたと思います」

 対戦前も「意識していない」と冷静に答えていた宏希は、試合後のインタビューでも特に表情を崩すことなく淡々と語った。一方の風間監督は試合後の会見で「親子対決の感想や、宏希選手の成長を感じたことがあれば」との質問に、こう応じた。

「そんなことを見ている余裕はありません。彼は彼で頑張ってくれればいいという風に思います」

 話題を見つけて盛り上げたいメディア側の立場から言えば、身も蓋も味もそっけもないコメントなのだが、親子対決を「そんなこと」と、同じ言葉で表現した風間監督と宏希選手はやっぱり親子だなあと、妙に感心した。

「お父さんのことを聞かれるのは、嫌ではないですか?」

 今年1月、新加入選手への取材の場での風間宏希への質問である。実はこれと全く同じ質問を、2年前の新加入選手会見で高木利弥にも投げかけている。彼の父は、その昔「アジアの大砲」と呼ばれた元日本代表フォワードであり、現在V・ファーレン長崎の監督を務める高木琢也だ。面白いことに、返って来た二人の答えは全く同じだった。

「もう慣れました」

 そう言った後の苦笑も同じ。果たして本当に慣れたのか、それとも諦めたのか開き直ったのか。高木利弥は子どもの頃に、「あの高木琢也の息子なのだから、上手くてあたりまえ」という周囲の目にさらされ、他の競技をやればよかったかと思った時期もあったという。それでも今は「二世ということでメディアに取り上げられたり注目していただけるのは得な面もある」との捉え方だ。ちなみに高木親子の対戦は、利弥がプロ1年目の2015年は山形がJ1、長崎がJ2だったため叶わず。山形がJ2に降格した昨年、第13節のアウェイ戦でいよいよかと思われたが、高木利弥が直前の試合で負傷し欠場となりお流れ。親子の対戦が実現したのはシーズン最終盤の11月、第40節のことだった。高木利弥がフル出場したこの試合は1−0で山形が勝利。試合後の監督会見には敗軍の将として厳しい表情で臨んだ高木琢也監督だが、「高木利弥選手を相手監督として見た感想を」という質問にはにこやかに応じた。

「人生の中で、次の機会があるかというとわからないので、非常に楽しみにしていました。敵陣から見て分析すると、縦への飛び出しは良かったと思いますが、1対1の駆け引きに関してはまだまだだなという感じはしました。けれども彼は彼なりに一生懸命やっていると思いますし、これで終わらないようにしなくてはいけないと思います」

 二人の父親のコメントはメディアに向けては対照的だったが、「彼は彼で」(風間監督)「彼は彼なりに」(高木監督)という言葉に、自分と同じ道を選んだ息子を一人の選手として尊重し、自分とは切り離して評価して欲しいと願う共通した親心を見るのは、牽強付会というものだろうか。

 ところで、今回の風間家の親子対決について、その道の“先輩”である高木利弥にコメントを求めてみたところ、予想外のドヤ顔で言った。

「僕は親子対決で一回勝っていますからね。ま、勝って初めて僕と並ぶ感じですか」

 まさかの「親子対決」対決。そんな楽しみ方があったとは。父から奪った勝点、高木3、風間1。今のところ、高木が1歩リードである。

文=頼野亜唯子

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