【ライターコラムfrom名古屋】佐藤寿人、いよいよ復帰。そのプレーはチームの起爆剤となる

【ライターコラムfrom名古屋】佐藤寿人、いよいよ復帰。そのプレーはチームの起爆剤となる

4月1日の熊本戦で右太ももを負傷した佐藤は今週末の大分戦で復帰予定となっている [写真]=J.LEAGUE PHOTOS

 今季の名古屋グランパスは様々なタイミングに恵まれているところがある。例えば初めて黒星を喫したジェフユナイテッド千葉戦の翌週からシモビッチが復帰し4連勝の火付け役となったり、同じく敗戦したレノファ山口FC戦の翌節には状態を上げてきた酒井隆介が見事なミドルシュートを突き刺し大勝のきっかけを作ってくれた。困った時に誰かが仕事をする選手層の厚さはこのチームの魅力の一つで、それは今季初のスコアレスドローに終わったモンテディオ山形戦を受けた今節にも同じことが言えそうだ。今週、チームの全体練習には約1カ月半ぶりに、キャプテンが帰ってきたのである。

「こうして風間さんに指導してもらうのも久しぶりで、新鮮でしたし、楽しかったです(笑)」

 佐藤寿人は白い歯を光らせて、ようやく復帰できた水曜日の練習を振り返った。4月1日のロアッソ熊本戦で移籍後初ゴールを決めた後に右太ももを負傷。全治通りの6週間でコンディションを整えてくるあたりは流石のベテランである。「サッカーのコンディションはサッカーでしか戻せない」としつつも「試合に向けて上げていけると思う」と調整に自信を見せる背番号11は、欠場期間を自チームの“スカウティング”に有効利用したという。

「最近は片方のサイドに寄りすぎというか、例えば左に寄せて右にスペースがあるのに、そこを使わない。目的はゴールで、上から見てたら何であんなに逆サイドが空いてるのに使わないんだろうなと。逆サイドの選手も中に入っていっちゃうし。相手にとって嫌なプレーとは何かを考えた時、サイドに集結させられた時にはDFもそんなに動かなくて済んでいただろうし、目線を変えられるようなこともなく、すごくやりやすかったんじゃないかと思うんです。それに狭い分だけ攻撃側はパスの質を求められることになるので、そこは一回広げてスペースを大きく使えるようにして、そこからまた危険なスペースに入っていけるようなことにした方が怖いんじゃないかと思いました。そっちの方がゴールに直結していくんじゃないかと。ボールを前に運ぶ部分はだいぶ良くなってきたので、そこから先の部分に具体的なイメージがないなと、ちょっと気になりましたね」

 確かにこのゴールデンウィークの3試合では崩しの一極集中が目立ち、うまくいけばザスパクサツ群馬戦のような試合にもできる反面、読まれれば京都サンガF.C.や山形戦のような苦しい展開にもなりがちだった。ゴール前を崩しきるのが目的にすり替わっているような攻撃には、シモビッチや田口泰士も「もっとクロスを増やしてもいい」と私案を明かすなど、チーム全体としても視野を広げようとする動きも見られてきた。

 そこに稀代のラインブレイカーが帰ってくるのは間違いなく朗報だ。日数の限られた大分トリニータ戦へ向けた練習の中では同じく裏への抜け出しを得意とする押谷祐樹とのコンビも試され、「今までと違った前線の動きは見せられると思う」と佐藤も手応えを口にしていた。非公開練習の中でまるで形を変えることがままある風間八宏監督のチームだが、ゴールに直結する動きや得点を目的にした流れを生み出すことができる佐藤という選択肢は、現状への特効薬として考えている部分も多分にあるはずだ。

「ゴールに向かっていく姿勢やクオリティはもっと高めていかなければいけないし、シュートの本数自体も増やしていかなきゃいけない」

 佐藤の目はもう大分戦しか見ていなかった。低調な試合が続いたここ1週間のうっ憤を晴らすのは、復帰後すぐさまチームの中心に立ってみせた、貪欲なストライカーなのかもしれない。

文=今井雄一朗

関連記事(外部サイト)