【コラム】「より誇りと厳しさを持って」…プレミアで飛躍を遂げた吉田麻也の新たな命題

【コラム】「より誇りと厳しさを持って」…プレミアで飛躍を遂げた吉田麻也の新たな命題

日本代表合宿に参加している吉田麻也 [写真]=野口岳彦

 6月の日本代表2連戦(7日=シリア、13日=イラク)に向けて、28日から千葉県内で合宿中の日本代表。3日目の30日も前日同様、午前午後の2部練習が行われ、前日合流の大迫勇也(ケルン)も全体トレーニングに加わり、総勢10人で約90メートルの距離を15秒間でダッシュするインターバル走などを精力的に消化した。

 午後は乾貴士(エイバル)が右足首の痛みを取るためのケアに専念し、それ以外の9人がボールを使ったサーキットトレーニングや15×20メートル程度のグリッドを使った3対3、ミニゴールを使った3対3などを実施した。「体にきている? もちろん。まあ負荷が上がるのは明日くらいまでじゃないですか」と大迫も2年ぶりのハードメニューを実感している様子だった。

 今回はキャプテン・長谷部誠(フランクフルト)が負傷離脱中で、代表経験豊富な西川周作(浦和レッズ)、森重真人(FC東京)らが落選する一方、加藤恒平(REC・ペロエ・スタラ・ザゴラ/ブルガリア)ら新戦力が複数選ばれている。最年長の川島永嗣(メス)らとともにチーム統率役を担う1人である吉田麻也(サウサンプトン)も周囲に人一倍気を使わなければならないだろう。

「(昨年10月にホームで苦戦したイラク戦に向けてこういうメンバー選考をしたことに対して)監督はチャレンジャーだなとは思います。ただ僕がじたばたしてもしょうがない。決めるのは監督なんで、僕は与えられた役割をしっかりとこなすだけ。新しい選手が多く入っているので、そういう選手がスムーズにチームに入れるようにしたいなと思います」と彼は気を引き締めていた。

 2018 FIFAワールドカップロシア アジア最終予選が始まって以降、ずっとコンビを組んできた森重がいなくなったことは、吉田にとって非常に大きな出来事だ。センターバックのパートナー候補は同世代の槙野智章(浦和)と成長著しい25歳の昌子源(鹿島アントラーズ)、22歳の三浦弦太(ガンバ大阪)の3人だが、6歳年下の三浦のことは「見たことはない」とキッパリ言い切るほど馴染みがない。昌子にしても、ハビエル・アギーレ監督時代からたびたび招集されてはいるものの、代表キャップ数はまだ2試合。国際経験が多いとは言えないし、吉田も実戦で組んだ回数が皆無に近い。槙野とはユース年代からしばしばプレーしてきた間柄だが、最終予選では左サイドバックで起用されただけ。誰と組んでも難しくなるのは間違いない。

「(センターバックは)今までほとんど固定されいて、ノーチャンスなポジションだったと思うんで、(新戦力が)このチャンスを生かすも殺すも自分次第。僕自身も今まで出てた選手が落とされるってことで、危機感持ってやっていかなきゃいけないなと思います」と吉田は神妙な面持ちでコメントしていたが、彼のさじ加減1つでパートナーの出来不出来が決まると言っても過言ではないのだ。

 ハリルホジッチ監督も守備陣の大黒柱を絶対視している。というのも、吉田には日本人屈指の実績があるから。日本代表では今回のW杯予選全試合フル出場。今シーズンのプレミアリーグでも23試合出場1得点という安定したパフォーマンスを示している。プレミアで日常的にズラタン・イブラヒモヴィッチ(マンチェスター・U)など世界トップレベルのFW陣と対峙している選手は日本では唯一。その研ぎ澄まされた感覚を前面に押し出す必要がある。

「(サウサンプトンで)コンスタントに試合に出ることで自分のパフォーマンスが向上したと感じたし、出られれば結果を出せるという自信は前からありました。そこに至るまでには、もちろんウエイトトレーニングもやったし、アジリティ、メンタル面のトレーニングもやったし、食事の面の改善もやった。全体的に自分のベースを上げていかないとプレミアリーグで活躍することはできないとずっと感じていたんで。時間はかかりましたけど、ここで止まるんじゃなくてさらに突き進んでいかなきゃいけないと思います」と本人は高い意識でサッカーに取り組んでいることを改めて明かした。

 そういった世界基準を他のDFたちに植えつけ、意識向上を図るように促していくことも吉田の重要な仕事。自分がリーダーとしてチーム全体を引っ張る覚悟はできている。

「毎回言ってますけど、ポジション的にも年齢的にもキャリア的にも引っ張ってかなきゃいけない立場というのは理解してます。誇りと厳しさをより持ってやりたい」と自らに言い聞かせるように話した吉田。この日昼には同い年の乾との2ショット写真をSNSにアップする茶目っ気も垣間見せたが、そういった緩急もつけながら、うまく代表チームをまとめていってもらいたい。

文=元川悦子

関連記事(外部サイト)