「高級時計よりも貧困の家族に住居を」…アルバニア代表DFが祖国で続ける人道支援

「高級時計よりも貧困の家族に住居を」…アルバニア代表DFが祖国で続ける人道支援

冬にケルンから酒井高徳所属のHSVに移籍したDFマヴライ [写真]=Getty Images

 劇的な残留を達成したハンブルガーSV(HSV)のアルバニア代表DFメルギム・マヴライは人道支援のためにオフを過ごしたようだ。5月30日版のドイツ紙『ビルト』で、マヴライがインタビューに答えている。

 ドイツのフランクフルト近郊で生まれ育ったアルバニア系のマヴライは2年前からアルバニアの人道支援機関をサポートしている。中東やアフリカ大陸からの難民ばかりが取り沙汰されるドイツだが、90年代のバルカン半島の動乱の傷跡が残るコソボやアルバニアからの難民申請も未だに数多い。

「2年前から人道支援機関のサポートをしているんだ。子どもたちに教育の機会を与えるために、教師を村まで送迎したり、病気の人やお年寄りのケア、井戸を掘ったりするんだ。病気の子供がコンクリートに寝かされて、衛生環境も整っていない。こんなことはドイツではあり得ないからね」と自身の活動の様子を伝えている。

 活動のモチベーションを尋ねられると、「子供の頃にアルバニアを訪ねたことがあるんだ。お小遣いを全部ホームレスの人々に与えたのを覚えているよ。簡単な例を取ってみれば、ドイツでロレックスを買うか、飢えに苦しんでいる7人家族のために家を建てるか、という話だよ。僕にはサッカー選手として大金を稼ぐ機会に恵まれ、代表選手として影響力のある人々と知り合うコネクションにも恵まれた。考えるまでもないよ。僕は人を助けるためにこのネットワークを使いたかったんだ」と敬虔なイスラム教徒のマヴライは答えている。

 日本代表MF長谷部誠や元セルビア代表DFネヴェン・スボティッチなどのように、近年では多くのサッカー選手たちがより社会貢献に時間や資金を費やす傾向がある。マーケットが拡大するに伴って年俸が高騰する一方で、選手たちも自身の責任の大きさを感じ、社会に還元しようとする機運が高まっている。今回のマヴライの話は、その一端を垣間見る良い機会となりそうだ。

 サッカー選手である以上、今シーズンや来シーズンのことも聞かれたマヴライは「ハンブルクでの残留争いは本当に消耗させられた。毎試合が決勝のようなもので、負けられない戦いが続いたからね」と答えた。チームが残留を果たした要因を聞かれると、マルクス・ギズドル監督の仕事を手放しで称賛している。

「成功の要因は監督だよ! 彼は騒がしくなってもおかしくない時期でも冷静で、僕らにピッタリの言葉を常に見つけて話してくれた。そういうのは(ユップ・)ハインケスや(カルロ・)アンチェロッティのような経験豊富な名将がやってのけるものだと思っていたんだけどね。とにかく、来シーズンは謙虚に少しずつ進歩していかないといけない。降格争いはもうゴメンだね」

 5月25日付の『ビルト』紙では、ギズドル監督も「頼むから謙虚でいて欲しいね。今のハンブルクはチームを安定させないといけない時期で、小さなステップを一歩ずつ踏んでいかないといけないんだ。来シーズンは危なげなく中位にいられれば、大成功で大きなステップなんだ」と念を押していたように、HSVの成功はクラブ幹部やファンの正確な自己認識が来シーズンの鍵を握るだろう。厳しいシーズンを乗り越え、選手とコーチ陣が以心伝心のHSV。来シーズンの目標もすでに決まっているようだ。

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