歴史を塗り替える時が来た…レアル・マドリード、いざ史上初のCL連覇へ

歴史を塗り替える時が来た…レアル・マドリード、いざ史上初のCL連覇へ

レアル・マドリードを支えるS・ラモス(左)とC・ロナウド(右)[写真]=UEFA via Getty Images

 今シーズンのヨーロッパのフットボール・シーンを締めくくるチャンピオンズリーグ(CL)決勝は、スペインとイタリアが誇る屈指の名門であるレアル・マドリードとユヴェントスの激突という垂涎の好カードとなった。

 両チームとも大記録に王手を掛けているという点でも、話題性の高い今回の決勝。リーガ・エスパニョーラを5シーズン振りに制したレアル・マドリードは史上初のCL連覇が、セリエAを6連覇にコッパ・イタリア3連覇とダブルで史上初の偉業を達成したユヴェントスは3冠がそれぞれ懸かっている。

 スペインとイタリアの王者同士の激突は、最強の鉾と盾の対決とも評される。今大会の1試合平均のデータを見ても、レアル・マドリードの2.67得点にユヴェントスは0.25失点と、その表現が的を射ていることは一目瞭然だ。とはいえ、レアル・マドリードは1.42失点、ユヴェントスは1.75得点と、双方とも攻守にバランスが良い。

 些細なツキやミスが試合を決める可能性も十分にある一発勝負の決勝だが、レアル・マドリードはFWギャレス・ベイルとMFイスコのどちらを起用するのか、ユヴェントスは4バックと3バックのどちらを採用するかで、試合の前提は大きく変わる。

 とはいえ、レアル・マドリードとしては、今シーズンのリーガ・エスパニョーラで最多得点を誇るバルセロナですら準々決勝で1点も取れなかったユヴェントスの鉄壁の守りをどのように攻略するかが、勝利の鍵となることに変わりはない。ユヴェントスは個々の選手の守備力も高いが、チーム全体での組織的かつ献身的なディフェンスが何よりも秀逸だ。それゆえ、準決勝ではアトレティコ・マドリードの堅守を打ち破ったレアル・マドリードでも、決勝ではそれ以上のパフォーマンスが求められる。

 現時点では、故障から回復したばかりのベイルはベンチスタートとなり、好調をキープしているイスコがスタメン入りする可能性が高いと目されており、それに伴い4−3−3ではなく4−4−2のシステムが採用されると見込まれている。ボールポゼッションが高まることが予想されるだけに、今回は自慢のカウンター以上に、ショートパスやドリブルを駆使した攻撃に期待が掛かる。チーム屈指のテクニックを持つイスコを、連係に優れたMFルカ・モドリッチ、MFトニ・クロース、FWカリム・ベンゼマが生かし、エースのFWクリスティアーノ・ロナウドが決定力を発揮するのが理想となる。

 また、レアル・マドリードがカウンターと共に最大の武器としている空中戦だが、ユヴェントスも高さには自信があるため、そう簡単には優位に立てなさそうだ。従って、得点の可能性を高めるためには、セットプレーのチャンスを数多く作ることが求められる。とりわけ試合終盤になれば、DFセルヒオ・ラモスの勝負所での驚異的な決定力に期待が掛かる。

 一方、守備に関して目を向けると、ユヴェントスの攻撃の殆どに絡むFWパウロ・ディバラの対策が最大の争点となる。ディバラを抑えることで、攻守の切り替えを担うMFミラレム・ピアニッチや得点源であるFWゴンサロ・イグアインとの縦のホットラインを潰せば、ユヴェントスの機能を大幅に低下させることができる。ディバラは状況に応じてピッチを自由に動き回るため、チーム全体でケアするのが大前提となるが、最も多くマークに付くことになるMFカゼミーロの働きは特に重要となるだろう。

 また、レアル・マドリードはDFマルセロを擁する左サイド、ユヴェントスはDFダニエウ・アウヴェスを擁する右サイドをそれぞれ強みとしているため、このタッチライン沿いの攻防をどちらが制圧するかも、試合の主導権争いのキーポイントとなる。モナコとの準決勝では1ゴール3アシストを記録するなど、持ち前の攻撃参加が猛威を奮っているアウヴェスは、ユヴェントスに入団して守備力も大幅に向上している。しかし、対面に立つC・ロナウドは、バルセロナ時代のアウヴェスをカモにして来た実績があるだけに、スピードとパワーの差を前面に押し出して行きたい。

 そして、レアル・マドリードがユヴェントスを最も上回っているのが、ベイルとイスコのどちらかが控えに回るうえ、MFハメス・ロドリゲスやMFマテオ・コヴァチッチ、MFマルコ・アセンシオ、FWアルバロ・モラタがベンチに控えるという選手層の厚さだ。それゆえ、この試合が古巣との対戦となるジネディーヌ・ジダン監督の采配にも注目が集まる。

 レアル・マドリードにとって気掛かりなのは、ユヴェントスを苦手にしていることだろう。実際、CLの決勝トーナメントでは、2002−03シーズンの準決勝、04−05シーズンの1回戦、14−15シーズンの準決勝と目下3連敗を喫している。

 しかし、決勝での戦績では、14回出場して11回優勝と勝率79%のレアル・マドリードが、8回出場して2回優勝と勝率25%のユヴェントスを凌駕している。1997−98シーズンの決勝でもユヴェントスを1−0で下しているレアル・マドリードとしては、19年前と同様にここ一番の集中力を発揮して、前人未到の12度目のビッグイヤーを掲げたい。

文=北村敦

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