これを読めばすべてわかる! ブンデスリーガ 16−17シーズン「全クラブ通信簿」(1位〜9位編)

これを読めばすべてわかる!  ブンデスリーガ 16−17シーズン「全クラブ通信簿」(1位〜9位編)

16-17シーズンのブンデスリーガを総括 [写真]=Getty Images

 バイエルンが3試合を残して5連覇を成し遂げた。勝ち点や総得点など様々なレコードを塗り替えた過去4シーズンとは異なり、連続優勝記録を除けば、新たに打ち立てた金字塔は一つもない。それでも2位に勝ち点15差をつける文句なしの圧勝だ。ブンデスリーガの比類なき盟主は、ドイツの国内外に改めて“一強支配”を印象づけた。

 自動降格したチームも大方の予想どおり。どちらも昨シーズンの昇格組であるインゴルシュタットとダルムシュタットがトップリーグに別れを告げた。その両雄との入れ替わりで、来季は名門シュトゥットガルトとハノーファーが1部の舞台に戻ってくる。

 波乱含みだったのは欧州カップ戦の出場権争いだ。トップリーグ初挑戦のライプツィヒと、前シーズンの残留争いに巻き込まれたホッフェンハイムが、見事にチャンピオンズリーグ出場権を獲得。また、ケルンとフライブルクがヨーロッパリーグ行きの切符を勝ち取るなど、意外なクラブが上位に並ぶ形になった。

 背景にあるのは有力クラブの低迷だ。レヴァークーゼンやシャルケが期待を大きく裏切り、ヴォルフスブルクに至っては2部3位とのプレーオフの末に辛うじて残留を決める失態を演じた。また、ドルトムントもノルマのチャンピオンズリーグ出場権を手に入れたとはいえ、スッキリしないシーズンを過ごしたクラブとして挙げられるだろう。


■優勝:バイエルン(80点)
 リーグタイトルを防衛できた理由の一つが勝負強さだ。第10節のホッフェンハイム戦、第17節のフライブルク戦、第21節のヘルタ・ベルリン戦を始め、劣勢を跳ね返して勝ち点をつかんだゲームは少なくない。相手に付け入る隙を与えながらガタガタと崩れなかったのは、マヌエル・ノイアーやマッツ・フンメルスら守備陣が踏ん張り、ロベルト・レバンドフスキが何度となく勝ち点に直結するゴールを決めたからだ。独力で違いを作り出したアリエン・ロッベンしかり、バイエルンが誇る個の力はやはり傑出していた。
 中心選手の大半が20代後半〜30代という“大人のチーム”は、安定感でも他の追随を許さなかった。若いチーム特有の爆発的な勢いはなくても、要所を締める戦いぶりはさすがの一言。例えば、第16節に迎えたライプツィヒとの天王山では、それまで飛ぶ鳥を落とす勢いを見せていた相手を3ー0で蹴散らし、文字どおり「格の違い」を見せつけた。
 それでも満点をつけるわけにはいかない。1年目のカルロ・アンチェロッティ監督がベテランに全幅の信頼を寄せたことで、“ロベリー”の後継者候補であるキングスレイ・コマンやドウグラス・コスタ、あるいはレナト・サンチェスのような経験の少ない選手が伸び悩んだ。世代交代を怠ったツケを払う日が遠からず訪れるのではないか。


■2位:ライプツィヒ(95点)
 ほぼ満点に近いシーズンになった。1997ー98シーズンのカイザースラウテルン以来となる昇格1年目での優勝にこそ手が届かなかったが、開幕から13試合無敗の快進撃を謳歌し、一時は首位に立つビッグサプライズを提供。キックオフ直後からフルスロットルでプレッシングを仕掛け、ひとたびボールを奪えば、バックパスや横パスをほとんど用いずにゴールへと突き進む攻撃的なサッカーは娯楽性や爽快感に溢れていた。
 その魅力的なスタイル同様に、多くの若手がピッチで躍動したことも好感が持てる。21歳のティモ・ヴェルナーが21ゴールを叩き出せば、22歳のナビ・ケイタはブンデスリーガ参戦1年目にもかかわらず、リーグ屈指のMFと称されるまでに大ブレイクした。最終ラインを統率していたヴィリ・オルバンが24歳で、アシスト王に輝いたエミル・フォシュベリが25歳と、さらなる成長が見込めるプレーヤーがとにかく多い。
 親会社『レッドブル』の潤沢な資金力を背景にのし上がってきた事情から、地元以外のファンやメディアからは敵意を剥き出しにされるが、逆風に晒されることでかえって一致団結していた印象もある。ブンデスリーガを席巻した若きタレント軍団が、チャンピオンズリーグでどんな戦いを見せるのか楽しみだ。


■3位:ドルトムント(60点)
 昨シーズン比で勝ち点マイナス14。得点は減り、失点は増えた。チーム力が低下したのは疑いようのない事実だ。その責任をトーマス・トゥヘル監督(シーズン終了直後に解任)だけに求めるのは酷かもしれない。確かに、この指揮官はシステムやメンバーをコロコロと変え、チームに無用な混乱を招いていた。策士策に溺れたのは一度や二度ではなく、好調の選手を継続的に起用しない采配も不可解だった。
 だが、弁解の余地がないわけではない。昨夏にマッツ・フンメルス、イルカイ・ギュンドアン、ヘンリク・ムヒタリアンと3人のキーマンが退団した痛手は大きく、即戦力として獲得したマリオ・ゲッツェやアンドレ・シュールレは期待を裏切った。これでは誰が監督を務めても難しいやり繰りを強いられる。強化の大きな権限を持つミヒャエル・ツォルクSD、ハンス・ヨアヒム・ヴァツケCEOの“失策”も見逃せないだろう。
 最後はDFBポカール制覇でファンの溜飲を下げたが、得点王に輝いたピエール・エメリク・オーバメヤンが噂どおりに退団するようなら、来季はさらなる苦戦を余儀なくされそうだ。新監督に就任したピーター・ボスの手腕が、このクラブの未来を大きく左右することになる。


■4位:ホッフェンハイム(90点)
 シーズン6位以内が確定した第30節終了時点で、ディートマー・ホップは「センセーショナルなシーズンになった。監督に感謝したい」と口にした。クラブに多額の投資を行ってきたパトロンが喜びを爆発させたのは当然だ。昨夏の移籍市場で巨額の資金を投じなかったにもかかわらず、悲願の欧州カップ戦出場を決めたのだから。
 躍進の立役者はユリアン・ナーゲルスマン監督をおいてほかにいない。最先端のテクノロジーの力を活用しながら、選手の距離間の改善や連係面の熟成に取り組んだ指揮官は、ホッフェンハイムに確かな組織力と大きな自信を植えつけた。豊富な知識に裏打ちされた一貫性のある指導で、チームを高みへと導いた功績は計り知れない。
 まだ29歳の青年監督の下で、大化けした選手は少なくない。中でもケレム・デミルバイは「今シーズン最大の発見」の一つだ。昨シーズンまで2部でプレーしていたレフティーは技巧的なパスや抜群のボールキープを武器に、ドイツ代表に初招集されるほどのインパクトを放った。同じく充実の1年を送ったセバスティアン・ルディとニクラス・ズューレが今夏に退団(バイエルンへ移籍)するが、育成手腕、選手の目利きにも長けるナーゲルスマンが健在なかぎり、大きくチーム力を落とす心配はないだろう。


■5位:ケルン(85点)
「継続は力なり」を証明した。2部時代から指揮を執るペーター・シュテーガー監督が標榜する堅守速攻に磨きをかけ、序盤戦から安定した戦いを披露。GKのティモ・ホルン、MFのマティアス・レーマン、マルセル・リッセら主軸が次々と故障離脱するシーズン半ばのアクシデントを乗り越え、95年のインタートトカップ出場以来となるヨーロッパ行きを勝ち取った。
 古豪復活に大きく寄与したのがアントニー・モデストだ。速攻の仕上げ役として抜群の機能性を示したエースは、チーム総得点(51)の約半分となる25ゴールを一人で叩き出し、勝負を決する大きな“違い”になった。モデストに何本も決定的なパスを通した大迫勇也の飛躍も勝因の一つ。絶妙なボールキープと視野の広さを活かしたパスが冴え、昨シーズンまで単調になりがちだったチームの攻撃に変化をもたらした。
 もちろん、守備の安定も見逃せない。ディフェンスリーダーだったメルギム・マフライの移籍(冬にハンブルクへ)や守護神ホルンの負傷の影響などで、シーズン終盤まで高い強度を保てなかったが、総失点42はライプツィヒやドルトムントとほぼ同水準。ドミニク・ハインツとフレデリク・セーレンセン、そして守護神ホルンと伸び盛りのタレントが多く、来季はさらに守備力を高めるかもしれない。


■6位:ヘルタ・ベルリン(70点)
 3位に勝ち点1差の5位でシーズンを折り返した後に急失速。後半戦はリーグワースト2位の10敗を喫し、チャンピオンズリーグ出場は夢と消えた。ウインターブレイクを境に調子を落としたのは2シーズン連続。昨季の経験を生かせなかった点や、ヨーロッパリーグ・プレーオフでブレンビーに不覚を取った失態も反省点として挙げられる。
 尻すぼみに終わった原因として戦術バリエーションの乏しさが指摘できる。いわば9人が身を粉にしてディフェンスに奔走し、守備負担の小さいヴェダド・イビシェヴィッチやサロモン・カルーがゴールを決めるスタイルは単調で、速攻とセットプレー以外に怖さがなかった。相手から研究し尽くされた後半戦に調子を落としたのも必然だろう。
 シーズン前半から問題になっていた“内弁慶”も足かせになった。第15節からアウェイ9連敗の泥沼にハマり、ホームで稼いだ貯金を吐き出した格好だ。その意味で、パル・ダルダイ監督はチームマネジメントの部分でも限界を露呈していた。目標のヨーロッパリーグ出場を決めたとはいえ、来季に向けて課題は山積している。


■7位:フライブルク(80点)
 同じ昇格組のライプツィヒに話題をさらわれたものの、開幕から一度も降格圏に足を踏み入れない健闘ぶりで、望外のヨーロッパリーグ出場権を獲得した。
 選手たちはピッチで自分たちの良さを出そうとする前向きなサッカーを展開。格上が相手でもベタ引きで守るのではなく、堂々と真っ向勝負を挑んだ。この玉砕を恐れないスタイルは好不調の波を大きくした一方で、若手の覚醒を促す大きな要因になった。
 伸び伸びとプレーできる環境を得て、ヴィンツェンツォ・グリフォ、マキシミリアン・フィリップ、フロリアン・ニーダーレヒナーがキャリアベストのパフォーマンスを披露。いずれも機動力と技術を併せ持ったアタッカーで、積極的なドリブル突破からのフィニッシュで異彩を放った。グリフォはボルシアMGへの移籍が決まり、フィリップはドルトムントへステップアップすることとなった。
 資金力に乏しいスモールクラブゆえに主軸を手元にとどめるのは難しそうだが、クリスティアン・シュトライヒ監督は「ほとんどの主力が残る」と語っている。ただし、来季はヨーロッパリーグとの掛け持ちで肉体的な負担が増幅する。選手層の拡充が今夏の重要なテーマだ。


■8位:ブレーメン(70点)
 一桁順位でフィニッシュしたのは実に5シーズンぶり。開幕3連敗を喫した直後に監督交代の大ナタを振るった時は、残留さえ厳しいとの見方が支配的だったが、37歳の新米監督アレクサンダー・ヌーリの下で奇跡的なV字回復を果たした。
 新体制の発足直後から軌道に乗ったわけではない。守備の立て直しやチームの掌握に時間を要し、就任10試合で3勝2分け5敗と“産みの苦しみ”を味わった。その後、守備時に5バックになる3ー5ー2システムを新たに導入するなど試行錯誤を繰り返したが、年明けには自身二度目の4連敗……。この頃には解任説が囁かれるようになった。
 巻き返したのはまさにここからだった。セルジュ・ニャブリが孤軍奮闘していた前線で、マックス・クルーゼが本来の輝きを放つようになり、第21節から9勝2分けの快進撃を演じる原動力になった。このレフティーを活かせるようになったのは、中盤の構成力が高まったからに他ならない。冬に加入したトーマス・デラネイが即座にフィットしただけでなく、ズラトコ・ユヌゾヴィッチが尻上がりに調子を上げたのが大きかった。
 ケルン、ホッフェンハイム、ドルトムントの順に戦ったラスト3戦では3連敗を喫したが、いずれの試合でも3ゴールを記録。強豪の一角を占めていた頃を彷彿させる破壊力を取り戻し、シーズンを締めくくっている。


■9位:ボルシア・メンヒェングラードバッハ(55点)
 2010ー11シーズン以来となる負け越しで、ノルマのヨーロッパリーグ出場を逃した。痛恨だったの前半戦の停滞。ラファエウやイブライマ・トラオレら主力にケガ人が相次いだだけでなく、アンドレ・シューベルト前監督(12月に解任)による3バックと4バックの併用もチームに無用な混乱を招いた。
 ウインターブレイク中に就任したディーター・ヘッキング監督にとってチーム再建は容易ではなかったはずだが、豊富な経験を持つ指揮官はシンプルな手法で下位に沈んでいたチームを蘇生。選手たちが慣れ親しんだ4ー4ー2を採用し、個々の役割分担をはっきりさせたことで、3バック採用時に居場所を失っていたウインガーのヨナス・ホフマンやパトリック・ヘアマンが息を吹き返した。
 サイドアタックのキレと迫力が増したことで、ラース・シュティンドル任せだった攻撃にバリエーションが生まれると、冬の中断期間まで1試合平均1ゴールにも満たなかった得点力が大幅にアップ。後半戦は6位の好成績を収め、来季への期待を抱かせた。

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