【ライターコラムfrom鳥栖】飄々とした受け答えと姿に、大物へと化ける雰囲気も加わってきたルーキー、田川亨介

【ライターコラムfrom鳥栖】飄々とした受け答えと姿に、大物へと化ける雰囲気も加わってきたルーキー、田川亨介

U20W杯を経験した田川亨介 [写真]=佐藤博之

「去年は悔しい思いもしたので。でも、自分がやることだけをやるだけなんで」

 昨季、サガン鳥栖U−18所属ながらチームメートだった石川啓人などと同時に2種登録されたが、そのライバルにJリーグデビューで先を越されていた。トップチームへの昇格が決まって、それについて問われると冒頭の言葉が返ってきた。他選手のことは気にしてはいるが、それによって彼のプレーに影響が出ることも、心がブレることもない。いい意味で飄々(ひょうひょう)として、どっしりと構えて我が道を進もうとする姿は高卒ルーキーということを忘れさせる。ある日、自動車運転免許取得の話から乗りたい車へと話題が移ったときは、「軽トラに乗りたいですね」と冗談を飛ばして笑いを誘った。

 そんな彼がFIFA U−20ワールドカップ韓国2017の戦いを終えて鳥栖に戻ってきた。結果はご存知のとおり、ノックアウトステージのラウンド16でベネズエラを相手に延長の末、0−1で敗れた。

「悔しかったですけど、あまり試合に出ていないし、自分の特長のプレーも生かせなかったので、けっこう悔しかった大会ですね。全然満足できないし、点も取っていないから」

 鳥栖U−18の金明華監督が「同世代ではズバ抜けていた」というスピードや強さというフィジカルも世界を相手に通用したとは言い難い。さらに彼は「シンプルに技術の差というのを身に染みて感じました。特にスピードは全く違う」と振り返った。ただ、それで落ち込むことはなく、しっかりと前を見つめるブレない強さを持つ。

「世界との差をすごく実感しましたが、やることもいっぱいあると思うので、自分の置かれている状況をちゃんと把握して、やるべきことをやっていかなきゃいけない」

 J1第6節アルビレックス新潟戦で見せたDFを引きずりながら決めた初ゴールは、彼のスピードと力強さが発揮されたものだった。このゴールが自信になったのか、その後の彼には堂々とした風格さえ漂い始めている。そんな彼が初の世界大会を経験し、世界との差を身をもって感じた。この経験を今後、どう生かすのか。その立ち居振る舞いには大物へと化ける可能性を漂わせているだけに、飄々としたスタンスを変えずに成長していってほしい。

文=荒木英喜

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