【コラム】大逆転勝利のU−16日本、大きな財産を手にギニアとの最終戦へ

【コラム】大逆転勝利のU−16日本、大きな財産を手にギニアとの最終戦へ

U−16日本代表はアメリカ相手に大逆転勝利を収めた [写真]=川端暁彦

 試合後、「“森山佳郎らしい試合”でしたね」と声を掛けたところ、「久しぶりにやってしまったね。広島ユースのときはよくやったけど」と満面の笑顔が返ってきた。発言の主はU−16日本代表・森山佳郎監督。インターナショナルドリームカップ第2戦で、森山監督率いるU−16日本代表はアメリカに対して前半24分にして0−2とリードを許しながらも、そこから大どんでん返し。4−2の逆転勝利を飾った。

 第1戦では逆転勝利を許して様々な点で弱さを露呈してしまった日本のイレブンだが、この日は心理面でも修正力でもひと味違った。

 もちろん、選手たちが口々に反省の弁を残したように、2失点してしまった立ち上がりからの流れは大きな課題だった。ただ、初招集・初先発の選手が並び、そうでない選手も新しいポジションにトライさせていた先発のラインナップを思えば、森山監督もある程度覚悟していたことだった。それでも2失点から折れずに持ちこたえ、37分のMF谷本駿介投入を機に人の配置を修正し(第1戦のポジションに戻し)てからは日本のゲームだった。41分に斉藤光毅(横浜FCユース)が殊勲の追撃弾を決めて迎えたハーフタイムでは、「全員が一人ひとりと話していた」(DF西尾隆矢)と選手間での活発なディスカッションが生まれており、その様子を観た指揮官は「これなら絶対に逆転できると思ったし、彼らにもそう伝えた。自分は3分くらい話すだけで良かった」と振り返る。

「広島ユースのときはとにかく気持ちを強調したけれど、今の子は理詰めで言われないと納得しない子も多い」(森山監督)ということで、情と理の双方から選手を鼓舞し、逆転の心得を説いた。元より、劣勢になっても折れないメンタリティを誰よりも持っているのが指揮官である。ハーフタイムを終えて後半のピッチに散らばる選手の様子からして、明らかに前半の始まりとは違った。アメリカの戦い方を踏まえて戦術的な狙いどころを共有しつつ、ハートも最高潮。確かに逆転するための支度は十分に調っていた。

 結局、日本の攻勢は後半に3度実って、最終スコアは4−2。急造チームのベクトルが一体化して勝ち取った見事な逆転勝利の経験は、選手たちにとって一つの財産となるだろう。ベンチで観ていて出場機会のなかった選手の中には、この大きなうねりのような勝利に乗り損なった悔しさから号泣する選手もいたが、それもまた経験だろう。

 そして幸いにも出場していた選手たちが得たモノと、出場できなかった選手たちが味わった悔しさをぶつける場がもう1試合残っている。最終戦の相手は、ここまでアメリカとオランダを連破して首位に立つアフリカのギニア。今年、一つ上の世代の代表チームが対戦した際にも指揮を執っていた森山監督は「ギニアが前に前にと来る速さ、ボールを本気で狩りに来る迫力は、いくら言葉にしても難しい。やってみないと分からない」と言い、その「強烈な経験」の中で選手たちが何を掴み取り、そしてどう対応していくのかを楽しみにしているようだった。

 6月18日のギニア戦は、勝てば優勝が見える大一番。2014年のワールドカップ、リオデジャネイロ・オリンピックや先のU−20W杯がそうだったように、世界大会に出ればグループステージではアフリカ勢とほぼ同居するのが現在のレギュレーション。この壁を体感し、乗り越える経験を“U−16”という段階でできるビッグチャンスと捉えるべきだろう。

文・写真=川端暁彦

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