【ライターコラムfrom浦和】天皇杯で得た手応えを胸に…長澤和輝、浦和スタイル適応で次のステージへ

【ライターコラムfrom浦和】天皇杯で得た手応えを胸に…長澤和輝、浦和スタイル適応で次のステージへ

今季から浦和でプレーする長澤和輝 [写真]=Getty Images

 長澤和輝は6月21日の天皇杯全日本サッカー選手権大会2回戦、グルージャ盛岡戦で浦和レッズに加入してから初スタメンを飾り、初のフル出場を果たした。特に後半の長澤は強い存在感を示し、63分にはズラタンへの絶妙なループパスでアシストという結果も残した。

 メンバー総入れ替えのターンオーバーで臨んだこの一戦は、普段控えに回っている選手たちにとって待望のアピールの場だったが、自身の価値を最も強く訴えることができたのは長澤だったと言っていいだろう。

 シーズン前の沖縄キャンプ。加入1年目の長澤は特別目立つ存在ではなかった。むしろ戸惑いすら感じさせた。フィジカルはドイツで揉まれてきただけあってひ弱さは感じさせず、足元の技術もしっかりしている。ただ、ミハイロ・ペトロヴィッチ監督からリスクを負ったチャレンジが求められるチームにあって、プレーが無難というべきか、何か爪痕を残すようなインパクトには欠けていた。

 もっとも、それも当然だろう。浦和のサッカーは極めて特殊だ。ポジショニング、動き出し、ボールの動かし方など独特の約束事があり、リスクの負い方も普通のチームとはかなり異なる。浦和に入って数ヶ月の“普通のサッカーに慣れた”選手が、攻撃の舵取り役となるボランチのポジションでいきなり既存の選手たちのようなプレーを見せるのは簡単なことではない。

「求められるプレーが普通の4−4−2とかのチームのボランチとは違うので、そこを掴むのは最初大変だった」

 浦和のスタイルに馴染むのが容易ではなかったことは本人も認めている。とりわけボランチは瞬時にプレーを判断するのが難しい役目だ。ポジショニングを見ても、1ボランチになるケース、自分もDFラインに落ちてゼロボランチになるケース、前線に顔を出してシャドーのようになるケースなどがあるが、それぞれでこれまで経験したことのない判断を求められる。

 1ボランチ、あるいはゼロボランチになるということは、そのポジションでボールを失えば即ピンチを招くという怖さとも向き合わないといけない。通常、ボランチにはDFラインの前で防波堤になることも求められるが、浦和のシステムでは攻守が入れ替わった瞬間にその役目を果たせないことが多く、それだけにリスクの取り方を考えてプレーしなければならない。だから、そういった特殊なボランチのプレーに戸惑い、最初は無難なプレーになってしまうのも致し方がない面がある。

 ただ、長澤は浦和のサッカーに触れる時間が長くなっていくにつれ、徐々に特殊なスタイルに馴染んでいった。「半年間、練習試合とかやってるので少しずつ動きとかは分かってきた」と本人も手応えを口にする。

 キャンプ当初にはあまり見られなかったミドルレンジのフィードや攻撃を加速させる縦パスも出てくるようになった。その成果が盛岡戦でお披露目となったわけだ。

「一つずつ狙っていけるようにはなってきてる。見なくてもある程度ポジションにいるから少し出しやすくなってきてるのかなって個人的には思う」

 浦和のボランチには阿部勇樹、柏木陽介という不動の二枚看板がいて、その牙城を切り崩してポジションを掴み取るのは容易ではない。徐々に存在感を示せるようになった青木拓矢も控えている。現状では、ようやくスタートラインに立った、といったところだろう。

 それでも「判断がある中で、チームが求めてる判断と、自分の判断のズレみたいのはあった。そこを少しずつ埋めていけているかな」と特殊なスタイルへの適応に手応えを得たことは、長澤にとって大きな一歩となったはずだ。

文=神谷正明

関連記事(外部サイト)