【インタビュー】謙虚さと向上心を備える冨安健洋「早く海外に出たい」

【インタビュー】謙虚さと向上心を備える冨安健洋「早く海外に出たい」

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 アビスパ福岡の守備を支える伸び盛りの18歳。冷静かつ頑強なプレーでゴール前に立ちはだかる冨安健洋の素顔は、謙虚で真面目な好青年だ。インタビューにも人懐っこい笑顔を見せながら、しっかりと自分の言葉で答えてくれた。

 世界を体感したセンターバックは今、どんな未来図を思い描いているのか。「早く海外に出たい」。そんなはやる気持ちを抑えながら、着実に歩みを進めていた。



インタビュー・文=高尾太恵子
取材協力・写真=ナイキジャパン


■自分のプレーができたと思うのは、南アフリカ戦の後半だけ

――冨安選手にとって、5月のFIFA U−20ワールドカップは初めての世界大会でした。改めて、どのような大会でしたか?
もっとできると思っていたので、とても悔しい大会でした。大舞台で力を出し切ることができず、逆に評価を下げてしまった。その原因はメンタル的な要素が大きかったと思います。

――メンタル的な要素とは?
僕は緊張している時のほうがいいプレーができるんですけど、なんとなくフワフワしていたというか。試合に入り込めないままプレーしている感覚でした。グループリーグの3試合(対南アフリカ、ウルグアイ、イタリア)は入り方も良くなくて、序盤に失点をしてしまいました。最後までいいプレーができないまま、試合が終わってしまった印象が強いです。

――それでも、初戦で内山篤監督は「苦しい時間帯のMVP」と評価していました。冨安選手の「後半は特に楽しみながらやれた」と笑顔で話す姿も印象に残っています。
前半が良くなかったので、ハーフタイムにチームメートと話をしたんです。後半はやることをはっきりさせてから臨むことができたので、とても楽しくプレーできました。自分のプレーができたと思うのは、大会を通して南アフリカ戦の後半だけでしたね。



――南アフリカ戦後は、「今までに経験したことのないスピードだった」と振り返る選手が多かったですが、冨安選手は身体能力の差を感じましたか?
スピードよりも、人が四方八方から飛び出してくるところに戸惑いましたね。予測していない場所から選手が次から次へと顔を出してくるので、常に首を振って注意深く周りを見ながらやらないといけない。4試合やった中で、最もマークしずらかったのが南アフリカでした。反対に2試合目のウルグアイ戦ではしっかりマークできていたんですけど、相手にプレッシャーが掛かっている感じがしなくて(苦笑)。中盤の選手も距離を詰めているはずなのに、相手がビクともしないんですよ。

――プレッシャーが掛かっていないと感じた時に焦りはなかったですか?
焦りはなかったです。後ろから中盤の守備を見ていて、「全然プレッシャーが掛かっていないなあ」と思ってしまうくらい、ウルグアイの選手に違いを感じました。もし、僕がボランチをやっていたら「もっと行ってやろう」となったかもしれない。中盤でどれだけプレッシャーを掛けられるかで、僕たちの狙いが変わってきますからね。ウルグアイ戦は、最後のところで守ることを頭に入れてプレーしていました。


■最終的な目標はプレミアリーグ

――4試合を戦ってみて、守備で得た手応えはありますか?
自分から仕掛けてボールを奪うことができれば、敵わない相手ではないと思いました。僕はリアクションの守備をしたくないんですよ。だから、積極的な守備で手応えを感じることができたのは収穫でした。

――冨安選手の強気の守備が、チームのピンチを何度も救いました。一方で、敗退が決まったベネズエラ戦後には、ビルドアップを課題に挙げていましたね。
そうですね。改めて、プレッシャーを掛けられている中でのビルドアップが課題だと感じました。コンビを組んだ中山雄太くん(柏レイソル)が簡単にドリブルでいなしている姿を見て、「すごいなあ」と思っていましたよ(笑)。

――アビスパでボランチを経験しているので、他のセンターバックと比べてビルドアップには自信があるのかと思っていました。
うまくやろうとはしているんですけどね。なかなか難しいです。攻撃のスイッチを入れるためには、奪った後にパスを前に出せるかどうかが重要になってくる。普段の練習で、「ボールを奪った後の選択肢が後ろになっている」と指摘されることが多いので、ボールを奪う前から味方の位置を把握することを意識しています。



――正確なフィードキックは武器の一つだと思います。
いやいや、足元はむしろ課題ですよ。キックがうまいだなんて思ったことないですから(笑)。

――そうなんですか? 小学生の時にバルセロナスクールに通われていたので、それこそ足元の技術には自信を持っていると思っていました(笑)。
そんなことないです(笑)。小学生の時は身長があって、足も速かったので、ボールを蹴って走っておけば相手を抜けたんですよ(笑)。当時はそこに頼っていた部分が多くて、細かいボールタッチは意識していなかった。でも、プロになってから「止める」、「蹴る」、「運ぶ」という基本が大事だと実感したんです。今では練習が終わった後にジョギングをしながらドリブルをして、意識的にボールに触れる時間を増やすようにしています。

――それはちょっと意外でした(笑)。大会を終えて、「やっぱり世界に出ていかないといけない」と口にしていましたが、海外でプレーしたいと考えるようになったのはいつ頃からですか?
U−20W杯アジア1次予選が終わった後の遠征で、U−18イングランド代表と対戦した時ですね(2015年11月、1−5で敗戦)。僕たちのコンディションが悪いとかではなく、100パーセントを出し切って、本気で戦っても勝てなかった。「これは違いすぎる」と衝撃を受けました。それが「海外に出ないといけない」と強く思うようになったきっかけです。

――どのあたりで「違いすぎる」と感じましたか?
スピードが全然違うんですよ。ダッシュはもちろん、判断のスピードやパススピード……。あらゆる場面でスピードの差を感じました。

――その遠征が海外を意識するきっかけになったんですね。2020年には東京五輪が控えています。冨安選手が考える今後のプランは?
本当はU−20W杯でアピールして、海外に行ければ良かったんですけど、それができなかった。自分がまだ海外でプレーできるレベルではないことを改めて痛感させられました。今はとにかくアビスパでやれることをやっていく。いつ、どこで、スカウトが見てくれているか分かりませんからね。ピッチに立っている22人の中で一番目立つプレーを続けていれば、きっと見てもらえるはず。正直に言うと、できる限り早く海外に挑戦したいと思っています。最終的な目標はプレミアリーグでプレーすることなので、早く海外に出られるように、できることをやっていくだけです。

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