「学はまだまだ頑張れる」齋藤の初得点を阻んだ六反勇治の愛あるセーブ

「学はまだまだ頑張れる」齋藤の初得点を阻んだ六反勇治の愛あるセーブ

齋藤学のPKをストップした六反勇治 [写真]=JL/Getty Images for DAZN

 齋藤学のシュートが決まらない。29日に行なわれた明治安田生命J1リーグ第19節、前半と後半に1本ずつ、絶好の得点機会が訪れた。しかし、齋藤の今季初ゴールの前にはかつてのチームメートで、清水エスパルスの守護神・六反勇治が立ち塞がった。

 天野純の勝ち越しゴールが決まった直後のことだった。齋藤自らがドリブルでエリア内に進入し、倒されて得たPK。中町公祐からボールを受け取り、スポットにセットする。「どういうキックが来るかなあ」と六反の頭をよぎった瞬間、齋藤は大きく息を吐いて走り出した。

「正直、最初の駆け引きでは負けたんです」と六反。「僕が先に動いて、ひざをついてしまった。でも、そこからもう一つ、体をジャンプすることができた」と齋藤の蹴ったボールに反応し、ひざをついた状態から上体を浮かせて、追加点のピンチを凌いだ。

 さらに59分のカウンターの場面。天野、富樫敬真とつなぎ、富樫が潰されながら齋藤に折り返すと、そのままドリブルで持ち込む。「学がいいドリブルをすることも、一人二人来てもああやってかわすことも分かっていたし、シュートまで来るだろうなっていうのはイメージできていた」。齋藤がスピードに乗ったドリブルからシュートを放つも、しっかりとコースを見切った六反がまたしても防いで見せた。

 横浜F・マリノスには2012年から3シーズン在籍した。齋藤とは、ともにシュート練習に励み、食事に行った仲だ。「今思えば、F・マリノス時代によく学のああいうドリブルからのシュートというのをやっていました。試合中はそんな余裕はなかったですけど、今思えば懐かしいですね。あの時の自分があって、今こうやって試合に出られているんだなあって感じています」。ベガルタ仙台を挟んで今年から加入した清水では、開幕から先発フル出場中。正GKとして苦しむチームを後ろから支えている。

 そんな六反だからこそ、かつてのチームメートに感じることがある。「もともとシュートがうまい選手ではない」と前置きした上で、それでも「あれだけ切り割ければ5点から8点ぐらいはJ1で毎年取れる選手」と認めている。当然、今季いまだリーグ戦では無得点であることも承知の上だ。

「キャプテンという重圧もありますし、やっぱり俊さん(中村俊輔)や兵くん(兵藤慎剛)といった今まで支えてくれていた選手がいなくなってしまったことは、彼の中ではすごく悩んでいる部分だと思います。学からラインが来る時は、多分悩んでいる時なんだろうなと。だからPKを止めて、叩き落してやりました(笑)。学はまだまだ頑張れると思うので。これを一つ越えることができれば、F・マリノスの中でも本当に一握りのサポーターの心に残る選手になれると思います。それができる選手だからこそ、頑張ってほしい」

 横浜FMを離れて3年。切磋琢磨して生まれた2人の絆は固く結ばれたままだ。「『また一緒に代表でやろうね』っていう約束もしているので、それを叶えられるように、僕自身も頑張らないといけない」。いつか、2人が約束を果たせるその日まで、ともに歩みを緩めることはないだろう。

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